舌口蓋筋(glossopalatine)は、舌の筋肉でもあり軟口蓋の筋肉でもあるが、ここでは軟口蓋の筋肉として議論される【Figure 5-12 ではPalatoglossus となっているのは、舌の筋肉として扱った場合の名前】。舌口蓋筋の繊維は、舌背の縦走線維としっかりと混ぜ合わせられる舌の側面から生じる。それらは上および中へ進み、口蓋の腱膜の下面に挿入して前口峡柱(anterior faucial pillar)の実体を形成する。

軟口蓋への付着の位置は、個人によって異なり、何人かは硬口蓋の近くの前方に付着し、別の人は口蓋垂の近くの後方に挿入していることが報告されている (KuehnとAzzam、1978)。舌背が比較的固定されるとき、舌口蓋筋の収縮は、軟口蓋を下と前へ引いた位置につかせる。舌口蓋筋には軟口蓋に対する潜在的な力があるが、その潜在能力は、咽頭口蓋筋(pharyngopalatine muscle)の潜在的な力と比べて限定的である(MoonとKuehn、2004)。

[Preclinical Speech Science by T. J. Hixon, G. Weismer, J.D. Hoit ; 2008]

2019/10/04 訳:山本隆則