発声(phonation) は、声帯振動による音の生成のことを意味する。発声においては、空気流が声帯を通過することにより、声帯が最初に音を生成する。この音のことを喉頭音源(voice source)とよぶ。発声を生み出す声帯は、発振器(oscillator)として機能する。発振器は、ある種の信号を生成するものの呼び名である。声の場合のように、音響発振器(acoustic oscillator)であれば、生成されるのは音響信号である。この音響信号は、小さく(実際、微細な)、且つ、速い空気圧の変動からなる。有声音では、声帯振動がこの空気圧の変動を引き起こす。空気の流れが、声帯を通過するとき、声門が開閉し振動が始まる。この声門の開閉が同じ時間感覚で行われれば、生成された音はある周波数をもつことになる。この周波数は声帯の振動周波数と等しい。もし、440HzのA4の音を歌ったら、声門は一秒間に440回開閉する。それ故、有声音に於けるピッチの変化は、明らかに声帯振動数の変化に対応している。「Sundberg 10]