これは1996年に出版されたRichard MillerStructur of Singing, System and Art in Vocal Technique の翻訳書。
音楽之友社から2014年に、岸本宏子・八尋久仁代の訳で出版された。音楽之友社からは、同じくRichard MillerのSolution for Singers,  Tools for Performers and Teachers の翻訳書である、 歌手と教師のための手引書 上手に歌うためのQ&A 2009年、岸本宏子・長岡英訳のミラー翻訳の第二弾。

まず目を覆いたくなるのは、2冊の本に共通の装幀の趣味の悪さ。いかにも音楽之友社!
Structure of Singing は彼の2作目の著書なのでそれほどでもないが、Solutions for Singers のオリジナルの装幀は、鮮やかな黄色のバックの中央にブルーの道具箱、副題がTools for Performers and Teachaers で、発声の本とは思えないすごくおしゃれなものです。それと比べるともうちょっと何とかしろよ、音楽之友社さん。

翻訳自体はかなり雑で、単純な誤訳、日本語として理解不能なもの、訳者が明らかに理解していないで訳しているのが分かるものなど色々散見される。この本を読むためには、横に原書を置いて読む必要あり。

音楽之友社は狭い音楽の世界だけに閉じこもらないで、一般社会の人々にも興味を持たせるような専門書作りをいい加減に考えなさい。ミラーの翻訳シリーズをこれから続けるつもりなら、訳者を変えるか、まともな監修者をつけなさい。