第10章
Pedagogic strategies that Encourage Tube Stability and a Convergent Resonator
チューブの安定性と収束性共鳴体を奨励する教育的戦略

開いたノド(The Open Throat)
共鳴(キアロスクーロ、シンガーズ・フォルマント音色)のために配置される声道は、比較的開いたノドとチューブの収束によって歌唱の前に準備されなければならない。しかし、この発声前配置に達することは、ノドの形に対する我々の筋感覚が非常に誤解しやすいために、学生にとって難しいことである。
大部分の人々は、/ɑ/が最も開いたノドを持ち、その実際の正反対のケースとして、/i/が最も開きの少ない喉を持つ母音配置であると理解している(図30を見なさい)。


図30: /i/と/ɑ/の形をとる声道の側面図。人の筋感覚にとって逆説的に、/i/は開いているのどを持ち、/ɑ/はかなり閉じたノドを持っている。

いくつかの戦略は、この間違った筋感覚を回避することができる: 静かな吸気、比較的低いF1周波数、ノドと舌を正確にリマップする、調音の有効性、そして適正に動機付けられた感情の使用。

静かな吸気(Noiseless Inhalation)
静かな吸気は、開いたノドの証拠である。ノドでよりもむしろ歯と口の前面が冷やされるような方法で吸い込みながら、微妙な口蓋の引き上げ(硬口蓋の方へ、前面でより感じられる)によって、それは達成することができる。声道が最も涼し所は、つまり空気の速度が最も速く、結果として風の冷たさが最も強く生じるので、最も狭い。クーリングが口の前面にあるように、口とノドを形づくることは、開いたノドと収束性共鳴体をもたらす。

第1フォルマント周波数を降ろすこと(Lowering the First Formant Frequency)
静かな吸気のために収束共鳴体を達成する第2の戦略は、それが聞こえなくなるまで、あらゆる吸気の雑音の「ピッチ」を下げるように口とノドを形づくることである。高い周波の吸気雑音はF2の位置を強調し、ウイスパリングでよくあるように、ノドが狭くなっていることを示しています。吸気の雑音の「ピッチ」を降ろすことは、ノドを開けて、それよりもF1の位置にハイライトを当てる。

ノドと舌をリマップする(Remapping the Throat and Tongue)
「あくびの」/ɑ/の間違った開いたノドの感じを作るとき、後ろの咽頭壁の位置は、耳の後(そして、下)にあるように思える(解剖学的に不可能)。おそらく感じているだろうものは、耳の下で茎状突起に付随して、後ろの咽頭壁の方へ舌を引っ込めるそれらの外側の舌筋(茎突舌筋)だろう。咽頭壁を、実際の場所である耳の前(と下)でリマップすることは、舌の収縮を解放する。そして、垂直に喉頭へ伝わる逆にされた「L」のような、より前面にされた舌を可能にする。若干の側筋が舌骨(舌骨舌筋)に下に付着しているが、舌の筋肉 ― オトガイ舌筋 ― で最も大きな部分は、舌の主要部を形成して、舌翼の下で後ろに孤を描いて、あごの後ろの内側に付着している。このように舌のリマッピングは舌と喉頭の多くの独立を生み出し、舌を更なる高さと前面にするために開放する。(図31を見なさい。)

図31:舌のマッピング

チューブの長さの不変性をモニターする(Monitoring Tube Length Stability)
上で説明されたように、チューブの長さの不変性に対する喉頭位置の影響は、-喉頭の構造について解剖学的構造がたやすく確認できる学生では-甲状舌骨スペース(図14(38ページ)を見る)を優しく触診することによって、モニターされることができる。甲状舌骨スペースはゆるんで,開かれていなければならない、そして、ピッチ上昇と共に、上がったり、より小さく(嚥下の時になるように)なってはならない。このスペースは、個人によって異なるけれども、スピーチ生成の間、嚥下筋の不必要な習慣的活性化からの残りの緊張によっても寸法が減らされるかもしれない。そのような動きが定着しているならば、根気よく、しかし、持続的に対処され、克服されなければならない。望ましくは、適切な治療法に精通している公認のスピーチ言語病理学者による治療を通して。効果的な方策としては、甲状舌骨スペースのマッサージとストレッチ、発話中の甲状舌骨スペースのゆるさと開きをモニターすること、そして、低い喉頭と伸ばされた、または「ロールされた」舌の位置で声を出すこと、などがある。第2に、視覚的にノドぼとけの位置をモニターすることによって、チューブの長さの不変性を判断することができる。この方法は、男性にとって、平均的により大きな喉頭解剖学的構造と、構造がよりたやすく見える肉づきが少なくほっそりした頸部を持つのでより有効である。最後に、音色の深さの一貫性を聴覚的にモニターすることによって、チューブの長さの不変性を判断することができる。それが舌と唇のいろいろな調音の操作によって不正に模倣されることができるので、これはあまり信頼できない、しかし、慎重な聴取と観察はこの傾向を減らすことができる。

調音の有効性(Efficiency of Articulation)
歌っている間、収束性共鳴体を維持するためのもう一つの戦略は、発音であごを動かすことを最小にすることと、過度の口の動きを減らすこと。声帯共鳴も、母音調音も、母音の区別も、十分な内部のスペースがある限り、低中間音域における、誇張されたあごの低下、または過度の調音変化を必要としない。それどころか、母音はフォーメーションにおいて互いにかなり閉じているように思える。これらの戦略の全てはノドの開きと低いF1を良くする。そして、共鳴体の収束性を増やす。

位置と共鳴体を安定させるための感情の利用(Use of Affect to Position and Stabilize the Resonator)
完全にゆるんだ音声構造は、圧力または状況の急転の影響を受けやすい、したがって、最適な音色の多様性とは両立しない。感情は、直接の身体的操作より効果的に、発声装置を配置し、安定させることができる。特殊な、豊かな、心からの表現は、筋肉の操作または堅さまでには至らないが、身体的に安定し、つり合いがとれ、調子を整えられた声道構成が、典型的に付随する。初期のイタリアの教育者は、「微笑を通して」吸い込むことがノドを開けると主張した。これは、唇の形状についてというよりは、内なる正真正銘の深い微笑の咽頭の構えの問題である。最近では、声道のこれらの感情の位置決めのいくつかは、発声教師/研究者Jo Estelによってテストされ観察されて、Kimbery Steinhauerによって報告された(2008)。たとえば、笑いをこらえることは、仮声帯の後退を促進することができる。そして、押された発声の可能性を減らす。強い楽しみやいたずらっぽさは、軟口蓋を上げ、安定させることができる。

音の「プレイスメント」の感覚(Tonal “Placement” Sensations)
音のプレースメントは、まず第一に幻想であるので、音の「プレースメント」感覚に関するいかなる議論も危険なものでしかない、そして、第二に音の感覚の知覚は個人個人で変化する。さらにまた、声が、おそらく複数のフォルマントを持つので、音の感覚はいろいろな構成要素から成る、そして、注意力は、音の全体的な感覚のいかなる一面にも引き寄せられる可能性がある。最後に、低音域の音の倍音の内容(倍音の数と間隔)は高音域のそれとは劇的に異なる。そして、音域全体で知覚の変化を生み出す。したがって、音の「プレースメント」感覚を提唱するとき、注意力と融通性を持ち続けることは賢明である。それにもかかわらず、音の感覚の位置についての潜在的音響学的基盤が存在する。イェーリング(強い倍音を持つ、支配的なH2)とフ―ピング(より弱い倍音を持つ、支配的なH1)の間の音響感覚の違いを考えなさい。小さな空洞(例えば骨と副鼻洞が含む頭)は、高周波に共鳴して振動するので、強くて高い部分音は、歌手に、高く、おそらく前頭部の振動するフィードバックをより引き起こす可能性がある。低周波がより大きなスペースで振動するので、第1フォルマント/基本周波数-優位のサウンドは、咽頭柱のより中央に感じられるだろう。

第2フォルマントの「プレースメント」感覚(Second Formant “Placement” Sensations)
この事については、前舌母音と後舌母音のプレイスメント感覚は、逆説的である。人は、前舌母音が前で、後舌母音が後ろで感じられると思うかもしれない。奇妙なことに、ほぼ正反対が本当である(図32を見る)。これは各々の母音の第2フォルマントの定常波形の圧力ノード(節)の位置のために最適である。そして、それは口腔に主に感じられる。バランスの取れた全体的な感覚の範囲内で、下で図に示された場所に従って、第2フォルマントの音響のエネルギー-少なくとも話声音域のピッチのための-に注意し、予測することは、「位置を調整された」母音、前面に向いた舌、喉頭と第1フォルマントの低さ、収束性の共鳴体、そして、バランスが保たれる音色またはキアロスクーロを保つのを助けることができる。およそA4の下のピッチには共鳴のために第2フォルマントの音域の中でより多くの倍音があるので、これは男性の音域でより明らかである。より高いピッチで、そして、適切な母音修正(母音開き)で、音の感覚は次第に垂直になって、頭に集められる。

図32:言語構音におけるF2の共鳴エネルギー感覚の位置。(母音調音の形は、この図表において描写されていない。)

 

2018/08/07 訳:山本隆則