William Venard, SINGING 1967
Chapter 3 ATTACK p.38
The Bernoulli Effect ベルヌ-イ効果
166 この物理的現象に私が注意を向けるようになったのはRobert Taylor のおかげである。彼は次のように述べた、この科学の時代には,声門は息だけで振動させることができ、声門閉鎖ですら空域の流れに結って部分的に達成できると云うこと立証すれば、歌の学生に過重な筋肉の強さを用いないで済むことを納得させるのはたやすいことだ。
167 もし、テイラーが声の教育界の荒野においては、「ベルヌ-イ」という呼びかけはささやかなものであったとしても、声の科学の世界に於いては、彼1人ではなかった。Van den Berg その他は、Journal of the Acausic society of America にその主題で詳細な論文を書いている。またその他の人々は、振動現象を説明するときにベルヌ-イ効果に言及してきました。
168 ベルヌ-イが表明した定理は、多くの応用法を持っている。それは航空学に於ける引き上げる力であり、噴霧器に必要な吸引力を生み出し、また、管楽器の振動の要因となります。その簡単な実演は、Fig. 15. で示される。一枚の手紙サイズの紙をあごにあって(FIg. 15 A)そして息を吹き出すと、紙は水平線上の位置へ(Fig. 15. B)に浮き上がるだろう。この理由は、気体(液体でも)が動いているときは、その周辺の通常の圧力より圧力が減少する。Fig. 15. A では、大気圧(矢印で示された)は紙の両側に普通に掛かかり、紙はその重さで下に落ちる。Fig. 15. B では、紙の上での空気の動きによって、減圧されるために、下にある通常の圧力が、紙を浮き上がらせるのに十分な圧力となる。
Fig. 16. 気管の息の流れ(大きな矢印)は、声帯を引き寄せる(小さな矢印)声帯のすぐ上に見える1対の陰は、室襞(ventricular folds)、あるいは仮声帯である。X線断層写真は、Ban Den Berg による。NAT Bulletin より転載。
169 Fig. 16. は、噴霧器の図である。空気(あるいは水、殺虫スプレーのような、よくガーデンホースと一緒に使われる)は、図の左から右へ正確に動いている。このチューブは狭く、それがこのポイントを通過する速さを一定にする原因となる。チューブの開口部はここだけにあり、そこから下に向かってスプレーされる液体を入れたビンに伸びている。減圧された気圧は空気(または水)の流れによって液体を流れの中に引き上げ、噴霧器の外へ吹き出される。
170 さて、Fig. 16. の図に戻りましょう。噴霧器が、X線断層写真で見られる気管と喉頭の横断面とがいかに似ているかを見てください。声帯の外側の下部(図の左側)は、じょうご型をしています。たしかに、底にある皮膜は、弾性円錐(conus elasticus)と呼ばれるものです。声帯が互いに適切に閉じられるとき、それと同時に息が流れていれば、それらを引きつけるベルヌ-イ効果のために十分な息のとおりみちの狭小化が生じます。