輪状甲状筋

図3-58

輪状甲状筋<Tensor(Zemlin) <喉頭内筋<喉頭

図3-58で示すように、輪状甲状筋は扇形の筋肉(下より上方で幅広い)である。
それは、輪状軟骨の前と横のアーチから起こる。線維は2つの別々の部分に分かれて甲状軟骨に挿入する。低い方、又は、斜めの線維(斜部)は、上、後部へ進み、甲状軟骨の下角の前縁に付着する。上の方、又は、前方の線維(直部)は、ほとんど垂直に上へ進み、甲状軟骨薄層の下の縁の内側面に沿って付着する。
この筋肉は声の生成機構に於いて極めて重要であるので、喉頭生理学の調査で非常に多くの注意を受けた。前の線維の収縮によって、輪状アーチと甲状軟骨薄板の間隔が狭くなる。以前に指摘したように、2本の軟骨のうちどちらが実際に動くかについていまだに議論されている。甲状軟骨が固定された位置(外因性喉頭部筋肉によって)にあるならば、輪状甲状筋の収縮は輪状軟骨を上げる;、輪状軟骨が固定されるならば、甲状軟骨は中世の騎士のヘルメットのバイザーのように下に傾く。いずれかの方法で、声帯を長くして、増加した張力(音高変化のために必要である活動)にするために、甲状軟骨の角と披裂軟骨の声帯突起の間隔は広くなる。
また、前後方向のわずかなスライディング運動は輪状甲状間節によって可能であり、輪状甲状筋の斜部分の収縮はそのような動きを生みだすだろう;しかしながら、Arnold(1961)が注意したように、「輪状甲状筋の間隔が広いていても、縮んでいても、その場合、関節靭帯は緊張の状態にあるので、スライディング動きは妨げられる。」スライディングとロッキングの動きは、図3-21と3-22の中で示される。声門の緊張筋(輪状甲状筋と甲状披裂筋)、外転筋(後輪状披裂筋)、内転筋(披裂間筋と側面の輪状披裂筋)、そして、声門の弛緩筋(甲状披裂筋 ― 筋性部?)の活動は、図3-59で手短に述べる。
図3-59 喉頭内筋の活動の図解概要。部分的な内転が側輪状披裂筋の動きに起因するのに対して、外転は後輪状披裂筋の収縮に起因する。この内転は、披裂間筋組織の収縮によって完全にされる。声帯の張力は、主に輪状甲状筋の活動に起因し、対立する力は甲状披裂筋筋肉組織の収縮に起因する。

喉頭内筋の動き 

図3-59

図3-59

図3-59

[Zemlin, p.166-168]