歌唱教育の世界には、洋の東西を問わずリラックス信仰というものがあって、やたらと力を抜いてリラックスすることは良いことだと信じている人たちがいます。 「喉を使ってはいけません!」と生徒に指示する教師がたくさんいます。その類いの教師はその他にも「喉をよく開いて」、「軟口蓋を上げて、舌根を下げて」、「息を頭の後ろから回して響かせなさい!」、「マスケラ(顔面)に当てて!」等の指示とセットにされることが多いようです。まるで、肺にある息が直接頭に共鳴すると信じているようかのようですが、息はそのままでは決して共鳴しません。息をまず音に変換することによって、初めて共鳴するのです。もちろん、ウィスパーで「あいう…
2015 9月
©Takanori Yamamoto