[Lilli Lehmann, HOW TO SING 1902/1993 Dover edition] p.47
Sensation and Position of the Tongue
舌の感覚とポジション
舌の先端は、前歯に接して、あるいは前歯の下にある感じですが、私の場合は先端を非常に低く置いています。(図を参照)
舌の後部は、いずれの文字を発音する際にも、口蓋の後ろの方へ引き寄せて発音しなければなりません。
さらに、口蓋共鳴(palatal resonance)を生み出すためにしなければならないときのように、舌に柔らかい溝を作りたいと思えば、すぐに舌の両側が引き上げられるのが、鏡を見ることで確認できます。(口蓋共鳴または胸腔共鳴を伴わない頭声では、舌に溝はできませんが、それは非常に高い位置になければなりません、そうでなければ、舌の塊は喉頭を押さえつけ、締め付けた声か、別の不愉快な声を生み出します。)舌が声を妨害しない生徒の場合、あえて溝を作る必要はありません。生まれつき喉頭の上の部分を締め付けるほど誇張した溝になっている生徒がいますが、その場合は完全に取り除かれなければなりません。
歌う前の正しい舌の位置は、あくびをするように母音の [eho]、[u] を言うことで得られますが、私は、[eyi]から始めて [u] を続けるか、またはそれらのすべてを慎重に連結する方が良いと考えています。
舌は、先端を上に巻き上げてはなりません。子音のl、n、s、tとzの発音で先端が用いられ、その操作は非常に短くシャープなので、その前のポジションにすぐに戻り、それを維持しなければなりません。
正しい習慣が永久に形成されるまでは、鏡で舌の動きを観察するのがベストです。息が通りぬける形を整えるために、舌が弾力性を持っていればいるほど、私達にはより静かに思えるし感じられます。しかしながら、長い時間をかけて、顔の表情、舌の位置、口の位置、唇の動きなど、見ることができる器官のすべての機能を鏡で見ることは良いことです。
2020/05/09 訳:山本隆則