IMG_0002発声器官としての声道は、声帯から唇までの文字通り声が通る道である。機能的には、共鳴器(フィルター)として調音を行う。
声帯で生成された喉頭音源は声道を通過することによって音響的に整形され、どのように整形されるかは、声道形状に依存し、また、声道形態は調音によりコントロールされる。
その形状は、声道断面積によって記述され、声道の断面積が、声道の縦軸に沿って、声門からの距離関数としてどのように変化するかを示すことになる。この面積関数は伝達関数によって明確に示される声道の音の伝達能力を規定し、この能力を示す図は、伝達される音の、周波数の関数として示される。図5.1に、単純な例を示す。 声道によって容易に伝達される周波数は、フォルマント周波数と呼ばれている。これらの喉頭音源のスペクトルの一部で、周波数においてフォルマントに近いものは、他の部分よりもより大きな振幅で開いた口唇により放射される。
もう一つ強調されるべき事は、音を放出するために口唇を開く能力は、口唇の拡大面積と無関係である。口の開きが大きいからといって、発声器官がより大きな音エネルギーを出すわけではない。単に、フォルマント周波数が変化し、音レベルにいくらかの影響をもたらすだけなのである。