[Practical Vocal Acousitics,  Chapter 7 Male Passaggio Training p. 44. 2013]

共鳴体収束 Resonator Convergence

音声科学者Ingo Titzeは、西洋古典的歌手が、おそらく古典的な共鳴効率のためのinertive reactance(声帯自励振動を増強する力)を最大にするために、逆さまにしたメガホンのような比較的収束した声道を使うことを観察した。上で説明されたように、シンガーズ・フォルマント・クラスターとキアロスクーロ音質の創出には比較的収束性共鳴体の形が要求される。閉じた前舌母音は、舌を上の奥歯と接触させる、本来的に収束性であるが、若干の付加的な咽頭腔(あくびの暗示または、舌/歯接触のうしろの垂直の感じ)を依然として必要とするだろう。開いた母音は、許容できる母音了解度の範囲内で、最大の収束を達成するために、なんらかの調整を必要とするだろう。例えば、最少限あごを落としてスピーチ音域内で開いた母音を発音すること、そして、舌を平らにすること― 優れたディクションで統御されることができるくらい前面にされた舌を保つこと ― は、それらの収束を増やすだろう。収束はまた、比較的定まった、開いたのど(甲状舌骨スペースは圧縮されていない(図14、38ページ))に、そして、軟口蓋の若干の上昇に依存している。収束性声道姿勢は、低い喉頭、開いたのど、上げられた口蓋とより閉じた母音姿勢を促進する情動、例えば内なる喜び、こらえた笑い、茶目っ気、泣きなどのより刺激的な情動を用いることによってより自然に達成されることができる。すべてのそのような調整は、快適さと自由を勝ち取ったより良いキアロスクーロ共鳴となるはずである。

  山本隆則:訳 2018/02/19