[W. Vennard, Singing. 1967/1949]
唇と歯 (426~428)
426 最後の調節装置は、良きにつけ悪しきにつけ、音が最終的に聴衆に届く前の、最後の共鳴体の開口部である。唇がすぼめられるならば、それらは、開口部の直径を減少させ、それを柔らかな縁にして、おそらく「首」を共鳴体に加えることによって、共鳴体のピッチを降ろす。これはトーンを鈍くする、そして、暗い効果が要求されない限り望ましくない。私は、ある程度の量が「暗い」母音、AhとOoのために、必要となることは認める。私は、「カヴァリング」を論議する際に、それについてより詳しく述べるだろう。唇をトランペット型にすることは、大抵乱暴な、努力を必要とするタイプの生成と結びつけられ、それもまた望ましくない。
427 唇が後ろに引かれるならば、誇張された笑顔の場合のように、開口部の縁は歯が見え、高い部分音を促進する。開きがより大きくなるならば、共鳴体のピッチを上げるだろう。音響効果は「暗くなる」のと正反対で、「白い」または「voix blanche(仏、白い声)」と呼ばれる。歯の硬い縁は時には、たとえばファルセットのような異なる気息質のトーンに輝きを与えるために用いられる。フルで鳴り響く声の使い方を学ばなかった若い女性は、しばしば微笑むことによってトーンを善くしようとする。それは見た目をよくしても、トーンのためには良くない。
428 歌手は、彼の目で微笑むことを学ばなければならない。ほとんどの場合、唇はリラックスされなければならない。しかしながら、場合によっては、それらはたるみすぎてトーンをおおうかもしれない。少しの活力がそれらの中になければならない。上の歯の4本(縁だけ)が見えるならば、それは、表現に活気を与えるために、そして、音の中に生み出される、いかなる良好な高い部分音も保つためにおおむね適切なものとなるだろう。リンゴをかじるかのように、口を開けなければならない。私は、唇でEeとAyを形作る必要があるとは信じない。このすべては、唇が歌唱に於いて、役割を持たないことを意味しない。それらは、子音の形成においてたくさんすることがある。