[Practical Vocal Acoustics, p.104~ Kinesthetic Voice Pedagogy , p. 76~]
実際的な音声の音響&運動感覚の音声教育学の定義をまとめたもの
Definitions
定義
Absolute spectral tone color 絶対スペクトル音色:
人間によって特定の母音のような音質を持つものとして了解されている個々の周波数特性。たとえば、低周波倍音は、/u/のような音質を持つ;高周波倍音は、/i/のような音質を持つ。母音は、声道の第1および第2フォルマントによって補強される倍音の絶対スペクトル音色の組合せであると理解される。母音音質のこの近似値は、波形符号プラス母音によって示される。
Acoustic Registration 音響声区:
倍音とフォルマントとの相互作用の結果として生じる音質的転換。すべての音響声区現象は、第1フォルマントと倍音の相互作用が関係する。また、多くの音響声区現象に第2フォルマントと倍音が関係する。
Affect 感情:
感情に訴える表現、咽頭配置の自然発生的な自発性と維持にとって重要で音域と母音全体で声道安定性のために必要。
Articulation 調音:
スピーチと歌唱において、フィルタ処理された音声音源信号を変更する声道の形成またはチューニング;調音はまた、舌、唇、あご、その他のスピーチ器官が子音の生成に関わる方法を含む。
Aryepiglottic sphincter 披裂喉頭蓋括約筋
上喉頭の口(喉頭蓋と披裂軟骨を連結する組織によって形成される)。披裂喉頭蓋括約筋を狭めることは、喉頭音源からの高い部分音の増進にかかわる。それは、西洋クラシック歌唱やベルト発声の鳴りまたはトゥワングにおける歌手のフォルマント・クラスターの共鳴戦略の一部である。
Bandwidths 帯域幅:
管共鳴は、ある種の周波数値域輪郭線を持つ;つまり、それはそのピークの周波数のどちらの側にでも周波数を強化するだろう。そして、周波数の値域をカバーする。共鳴の輪郭線が高くて狭いピークであるならば、それはより狭い帯域幅を持つ。その輪郭線がよりベル曲線形であるならば、それはより広い帯域幅を持つ。金管楽器の共鳴は非常に狭い帯域幅を持つ、従って、与えられた管の長さを介しての特定のハーモニックを通すだけである。声道共鳴(フォルマント)はより広い帯域幅を持つ。そして、ピークのフォルマント周波数の両側を介してより多くの音声音源ハーモニックを可能にする。
Belting ベルティング:
第1フォルマントが第2ハーモニックを追う音響戦略を用いて、一つの優性喉頭声区による歌唱スタイル;換言すると上手い叫びかた。ベルトのいくつかの形は、ポピュラー、フォーク、とワールドミュージックの多くの形で、そして、アメリカのミュージカル劇場で普及している。モード1より上のピッチのために、高音部記号のトップから上に、ベルトのような明るい音色を広げるために、より高い部分音の補強に用いられる共鳴戦略。
Body Mapping ボディーマッピング:
アレクサンダー・テクニックの分派、我々それぞれは、体がどのように組み立てられ、機能するかという、内面的な概念上の地図を持つと主張する。正確な地図は、連携された機能に導くが、誤った地図は、危険な機能に導く。
Breathy phonation 気息質の発声:(発声の方法を見よ)
Capital C image 大文字Cのイメージ:
音響感覚経路の描写、高いピッチは、口蓋を超えて後ろ上へ向かうものと、そして、後ろ下に舌と顎の下に向かう2つの曲がった感覚の軌道に分かれる。
Chesty 胸主体の:(喉頭声区を見よ)
Closed Quotient 閉鎖指数:
1振動サイクルの間に声門が閉じている時間の平均的な割合。大きな閉鎖指数は、通常短い・厚い声帯の形(振動モード1)で、より胸主体の喉頭声区を示すだろう。より小さな閉鎖指数は、通常長い・薄い声帯の形(振動モード2)で、より頭主体の喉頭声区を示すだろう。(Contract quotient 接触指数を参照)
Close timbre 閉じた音質:
第2ハーモニックが第一フォルマントを越えて上がった声音(声を「ひっくり返す」原因となる)。また、イタリア語でvoce chiusaと呼ばれる。
Close vowel 狭母音:
低い第一フォルマント、例えば、母音/i/・/u/を持つ母音で、生得的に収束性の共鳴体を形作る。
Contact Quotient 接触指数:
一定の振動サイクルにおける声帯が接触する度合。大きな接触指数は、通常短い・厚い形(振動モード1)で、より胸主体の喉頭声区を示すだろう。より小さな接触指数は、通常長い・薄い形(振動のモード2)で、より頭主体の喉頭声区を示すだろう。閉鎖指数に結びつくようだが、完全な声門閉鎖なしで高い接触指数を持つこと、あるいは、深い接触なしで高い閉鎖指数(閉鎖の持続期間)を持つことはあり得るが、接触指数が、確実に高い閉鎖指数を持つことはより一般的である、それらのこから、閉鎖指数は確実には推測されないかもしれない。
Convergent resonator 収束性共鳴体:
声門の近くで比較的(母音を作るため)開いていて、唇の近くで狭い声道形(逆のメガホン)。このような共鳴戦略は、西洋古典歌唱とvoce chiusaで典型的である。
Cover カバー:
F1/H2の交差に伴う音質変化、ひっくり返えすこと。
Cricothyroid muscles 輪状甲状筋(CT):(喉頭の声区を見よ)
Depth 深さ:
第一フォルマントによって共鳴した、その最も低いハーモニックの1つの中で、著しい強さを持つ音の性質の記述。
Divergent resonator 拡散的共鳴体:
咽頭でより小さく、唇の近くでより開いた共鳴体形の記述。開いた母音は、生得的に拡散的な形である。この共鳴戦略は、ミュージカルの劇場ならびに多くのワールドミュージック歌唱スタイルで典型的である。
Downstream resister 下流のレジスター:
声帯から下流にあるあらゆるレジスター(ある程度空気流に抵抗する調音器官の位置または手段)、すなわち、唇の近く、または、唇。下流のレジスターは、肺からの圧力負荷を声帯と分け合う。そして、声門を通してのより高い空気流を必要として、声帯にかかる圧力差を減少する。これは、押すことを抑制する。(また、半閉鎖(Semi-occluded )声道を参照)Electroglottography(EGG)エレクトロ・グロット・グラフィー:
閉鎖指数(声門が閉じる時間の割合)と喉頭声区が仮定される、各々の振動サイクルにおける声門接触の量を記録にとること。データは、声帯接触の両側に位置にある2本の電極を流れる小さな電流によって集められる。胸声(モード1)は、頭声(モード2)より、大きな声帯接触と、大きな接触指数を持つ
Epilarynx 上喉頭:
声帯のすぐ上の喉頭蓋と披裂喉頭蓋ヒダと披裂軟骨によって形成される短い管。上喉頭は、喉咽頭のより大きな管の中で、小さな管を形成する。披裂喉頭蓋括約筋(上喉頭の出口)を狭めることは、音響リアクタンスを増やして、より高い周波数を押し上げる。
Epsilon image エプシロン・イメージ:
音響感覚経路の描写、低い中声がエプシロンの中央の「脚部」のような硬口蓋の口部でより鳴り響く、一方、高いピッチは、口蓋を超えて後ろ上へ向かうものと、そして、後ろ下に舌と顎の下に向かう2つの曲がった感覚の軌道に分かれる。
Fach:
ドイツの用語、テッシトゥーラ・キャパシティ、声の「重さ」、声の性質によって決定される特殊な声のカテゴリー(例えばスーブレット・ソプラノ、ヘルデン・テナー、ヴェルディ・バリトンなど)のための。声道フォルマントならびに歌手のフォルマント・クラスターの特定の位置だけでなく総合的な位置は、歌手の音質、したがってFachを決定する重要な要素である。
Flow phonation 流れ発声:(発声のモード(Mode of phonation)を見よ)
Formant フォルマント:
声道の自然の共鳴で、4分の1波共鳴体での定常波によって生じる。
Vowel formants 母音フォルマント:
声道の最初の(最も低い)2つのフォルマントは最も調整可能なので、音の母音音質を定める際に、最も重要である。それらは共に母音フォルマントと呼ばれる。
Singer’s formant cluster シンガーズ・フォルマント・クラスター:
歌われた音の高い周波数成分で力の増加に結びつく、低い喉頭、開いた喉咽頭、狭くされた上喉頭管の出口、によって生み出される第3フォルマントとそれ以上(通常フォルマント3-5)の集積。それは特に男性の西洋クラシック歌唱において特徴的であり、それらがオーケストラ伴奏を越えて声を運ぶことを可能にする。
Formant detuning フォルマント離調:
その効果を弱体化するために、倍音から離れたフォルマント周波数ピークのチューニング。女声/高域上のレンジでかん高さを減らすために、F2で使われ、そして、男声では狭母音の上でwhoop音色を避けるためにF1で使われる。
Formant tracking フォルマント追跡:
特定の倍音に続くか、追うフォルマントのチューニング、例えばwhoop音色(女性の高声戦略)のF1/H1追跡、またはyellやベルティングのF1/H2追跡。
Formant tunin フォルマント・チューニング:
より大きな共鳴のために、フォルマント/倍音のより良い組み合わせを見つけるために、最初の2つのフォルマントの一方または両方をチューニングすること。
Front-back dimension 前後の寸法:
身体的な調音の特徴(前面に置かれた舌丘vs後ろに引かれた舌丘)、或いは、音響の特徴(高い第のフォルマントと、したがって強い高い部分音を持つ音、すなわち、前母音; または低い第2フォルマントと、したがって弱い高い部分音と潜在的に強い低い部分音、すなわち、後舌母音)の両方に対する記述。
Fullness 豊かさ:
第1フォルマントによって共鳴して、最も低い倍音に、かなりの強さを持つ音声の特有の言い方。類似した他の用語:深さ(depth)、暖かさ(warmth)、丸み(roundness)。
Fundamental frequency (F0) 基本周波数(1f0):
音(H1)の最も低い倍音(知覚されたピッチにほぼ等しい)。
Glottal suction therapy 声門の吸引療法:
声門が閉じられ、吸気の力が起動され、声門と喉頭を下の方に吸い込む療法。声門を閉じることを除いて、活動は吸気なので、一般的に呼気の声門圧搾を伴う喉頭周辺の収縮を起こすことなく、のどを開けて下から甲状-舌骨スペースを広げると考えられる。
Harmonic 倍音、高調波:
音声の周波数成分。倍音の周波数成分は、最も低い成分(基本周波数)と、最も低い周波数成分の全整数倍数である。したがって、それらは一緒に、その最小公分母の周波数で繰り返す圧力波形を生み出す。
Heavy Cover 重いカバー:
声をturning over(回転させる)すための、F1の意図的な低下(長くなったチューブと閉じた母音によって)。使われる戦略は喉頭を降ろすこと、唇のラウンディングやトランペット・リップ、そして、母音を暗くすることを含む。
Helmholtz Resonator ヘルムホルツ共鳴器:
スペースと開口部の寸法によって決定された一つの周波数で容器が共鳴するような大きさからなる小さな開口部がある中空の容器。
Inertive reactance 不活性リアクタンス:
共鳴体の収束性によって生成される空気分子運動の停滞、共鳴体の振動体との相互作用を改善することができる。
Kinesthesia (筋肉)運動感覚:
部位がどのようにあるか、関節がどのようにつながれているか、そして、運動がどのように機能するかについての人の知覚認識。
Laryngeal registe 喉頭声区:
声帯の筋肉調整;甲状披裂筋(TA ― 短くする、厚くする)、そして、輪状甲状筋( CT― 伸ばす、薄くする )の相関的参加。
Chesty 胸の:
より短い・より厚い・よりゆるい声帯を持つ、TA優性とされる音声の歴史的な説明、それはより強い高い倍音成分の周波数を持つ。現在、振動モード1と呼ばれている。
Cricothyroid muscles 輪状甲状筋(CT):
高いピッチのために、収縮することで声帯を伸ばし・薄くする筋肉。それらは大部分が喉頭の外側にあって、声帯を引っ張るために、喉頭部の軟骨を傾ける。そのより薄い声帯の接触、基本周波数優位でより少ない倍音のために、歴史的には「頭声」または「ファルセット」声区(現在では振動のモード2)と呼ばれていたる。
Heady 頭の:
より薄い・より長い・より緊張した声帯で、CT優位とされる音声の歴史的な説明、より強い基音とより少なくて弱い高い倍音構成の周波数を持つ。現在、振動モード2と呼ばれている。
Thyroarytenoid muscles 甲状披裂筋(TA):
低いピッチのために、収縮することで声帯を短く・厚くする筋肉。声帯本体を構成し、そのより厚い声帯の接触、垂直位相差とより多くの高い倍音を伴う、そのため、歴史的には「胸声区」(現在は振動モード1)と呼ばれていた。
Linear source-filter model 線形音源・フィルターモデル:
空間的に線形である声帯共鳴のモデル、つまり、動力源(呼吸)が振動体(声帯)に空気流を供給して、それらを振動させ、倍音列を有する喉頭音源信号(音波)を生み出している、そしてそれは、フィルタ-(共鳴体;声道)によって選択的に共鳴させられ、フィルタ処理した倍音を唇を通して外界へ移動させる。
Mode of phonation 発声モード:
発声の3つの要素の比率を分類する方法:呼吸圧(声門の下で発生し、大気を上回る)、空気流(声門を通過する)と声門の抵抗(声帯弁の閉鎖筋力)。これらは連続してつながることによって変る可能性があるが、それらは以下のように発声方程式(phonation equation)で示される数によってモデル化されることができる:息の圧力/空気流=声門抵抗。発声の圧力・流れ・声門抵抗の3つの比率のものは: 気息性のもの(過剰な空気流:1/2= .5); 圧迫したもの(過剰な声門の抵抗または声門閉鎖力:1/.5= 2); 流動のもの(圧力、流れと抵抗とのバランス:1/1=1)。(振動モードで混乱しないために-上の喉頭声区を見なさい。)
Breathy phonation 気息質発声:
過剰な空気流(例えば1/2=.5)による発声方程式モデルは、気息質発声と呼ばれる。
Flow phonation 流動発声:
与えられた状況のための理想的なバランスによる発声方程式モデルは、1/1=1で、流動発声と呼ばれる。
Pressed phonation 押した発声:
過剰な声門の抵抗(例えば1/.5=2)による発声方程式モデルは、押した発声と呼ばれる。
Mode one モード1:
自由に、声帯形が短くて厚い喉頭音源の振動方法と声帯カヴァーは緩められている。それには垂直位相差(vertical phase difference)がある。そして、多く・強い高い部分音を生み出す。それは、より大きなTA喉頭筋の関与に起因する。(喉頭レジスターを見る)
Mode three モード3:
声帯の形は、長く・薄く、声帯カバーは張りがある喉頭音源の振動方法。しかし、声帯は完全には内転させられないし、全長にわたって振動もしないかもしれない。
Mode two モード2:
声帯の形は、長く・薄く、声帯カヴァーは張りがある喉頭音源の振動方法。それにはほんの少しだけ垂直位相差があるので、より基本周波数優位の正弦波圧力波になる。それは、より大きなCT喉頭筋の関与と通常受動的なTAに起因する。(喉頭レジスターを見る)
Mode zero モード0:
声帯の形は、短く・厚い、そして、声帯筋と声帯・カバーは緩んでいる声源の振動の方法。また、パルス声区またはボーカル・フライ声区とも呼ばれる。
Non-liner source-filter model 非線形音源フィルターモデル:
フィルタと音源(フィルタのこのようなそのある種の共鳴姿勢)間のあり得る相互作用の付加された構成要素による音源-フィルターモデルの声帯共鳴は振動体の機能と貢献を変える振動体のフィードバックを生じる。そして、理想的にその効率を助ける。
Openness-closeness dimension 開放‐閉鎖局面:
その第1フォルマントの周波数位置と、その第1フォルマントへのその倍音の関係についての声音の説明。(Voce chiusa, Close timber, Close vowel, and Voce aperta, Open timbre, Open vowelを見なさい)
Open timbre 開いた音色:
二つ以上の倍音が、歌われている母音の第1フォルマント以下にある声音。イタリア語のvoce apertaとも呼ばれる。時々、一般に拡散的共鳴形の戦略を記述するのに用いられる。
Open vowel 開いた母音:
/a*/のような高い第1フォルマント、そして、本質的に拡散的な共鳴体の形をもつ母音。
Overtones 上音:
基本周波数の上にあるサウンドの周波数成分の呼称。
Partials 部分音:
サウンドの周波数成分のもう一つの用語;部分音はまた、非和声的な周波数(すなわち、最も低い周波数成分の倍数でない周波数)を言う場合もある。
Passaggio パッサージオ:
パッサージオまたは高い声への移行にたいするイタリア語。
第1パッサージオ:移行ゾーンの低い入り口。
第2のパッサージオ:移行ゾーンの高い出口。
パッサージオ・ゾーン:移行地帯、喉頭声区が、TA優勢のモード1から、より大きなCT関与による軽いモード1まで変換しなければならないと思われる、男声のおよそ4度か5度の音域部分。女性の声区では、この移行音域がより長くて、下の中間と上の中間に再分割される、その間に声はCT優位の振動モード2に移行する。
Passive vowel modification 受動的な母音修正:
本書の著者が、声道の形を保持するが、その倍音のセットでピッチを動かすことによって達成される母音音質の変更に対しする名称を提案した。母音音質の変化は、安定したフォルマントと移動する倍音の変化する関係と相互作用から生じる。(母音修正を見なさい。)
Piriform Sinuses (Fossae) 梨状陥凹(窩):
4000-6000Hzの領域で反共振をつくり、すぐ下のシンガーズ・フォルマント・クラスタを強調する、喉頭部の両側への下部咽頭の小さい横の分枝。
Pitch ピッチ:
音の周波数の知覚。それは、音の複数の周波数の複合圧力パターンの周波数である。大部分の実際的な状況では、それは基本周波数に等価物と考えることができる。
Pitch of turning ターンのピッチ:
声がターン・オーヴァーするピッチ(歌われている母音の第1フォルマントのピッチのちょうど下の1オクターブの中で)。H2が歌われている母音のF1より上に交差するピッチ。
Power spectrum パワースペクトル:
パワースペクトルは、垂直位置で力を水平位置で周波数成分に表示する音声の分析である。
Pre-phonatory tuning 発声前チューニング:
フォネイションの前に、通常吸気中に、声道を形づくること;フォネイションより前の声道の共鳴の「チューニング」。
Pressed phonation 押した発声:(発声のモードを見なさい)
Pressure waveform 圧力波形:
音声を作る気圧変動のパターン。定期的に繰り返す規則的なパターンがあるならば、音声は明確なピッチを持つ。ランダムな圧力変動よりはむしろ、定期的に反復するパターンがないならば、音は雑音として了解される。
Primary acoustic register transitions 主要な音響レジスター移行:
H2がF1を越え、開いた音色から閉じた音色へ移行するポイントでの顕著な音響の声区イベント、そして、H1がF1と交差するポイントでは、フープ音色になる。それぞれ、これらの2つのイベントを純化することは、男性と女性のための西洋のクラシックな歌唱教育学の大きな目標である。前者は、多くの場合男性の声でC4- G4の近くで開いた母音のターニング・オーヴァーと関係している。後は、西洋クラシックの女性歌唱の高い音域のための好ましい戦略である。
Primary laryngeal register transition 主要な喉頭レジスター移行:
胸声区からのファルセットへの、または振動モード1から振動モード2への転換。男性のクラシック歌手はこのシフトを避け、全ての音域にわたり何らかの形でモード1にとどまろうとする。女性クラシック歌手は、C4とG4の間で、通常F1/H2音響レジスター移行(より下で)の前にモード1からモード2までシフトする傾向がある。
Quarter-wave resonator 4分の1-波共鳴体:
一方で開き、他方が閉じたチューブの共鳴体。そのような共鳴体は、4分の1-波長の定在波(共鳴)とその長さの奇数倍数になる波長をつくることができる:3/4の波長、5/4の波長、7/4の波長など。声道は4分の1波共鳴体の形であるが、より変わりやすい、調節可能な波長である。
Reactance リアクタンス:
声門と声道、またはシステムの相互作用(振動体のフィードバック)を増やす上喉頭の間での抵抗のマッチング。
Resonance 共鳴:
共鳴は、それにもたらされる特定の周波数により強く反応する(振動する)物またはシステムの傾向である。
Real time spectrography リアルタイム・スペクトログラフィー:
絶えず変わる、今現在の分析、そして、垂直線上に周波数を、水平線上に時間を、そして灰色かカラーのスケールで強さを示す音声の視覚的表示。この音声表示の形は、おそらく学生のための視覚の学習補助者として最も直観的で、得るところが多い。
Roll off ロールオフ:
第1倍音より上の倍音の強さの低下で、一般的にオクターブにつきデシベルで示される(dB/オクターブ)、。Maddeシンセサイザーでは「傾き(Tilt)」と呼ばれる。
Semi-occluded vocal tract 半閉鎖声道:
流れ抵抗または音響インピーダンスを生み出すために出口を十分に狭くされた声道。短い細いストローは、1つのメカニカルな例である。非常に小さい、カズー(笛の1種)のような/W/は、発音例である。(下流抵抗も参照。)
Singer’s formant cluster シンガーズ・フォルマント・クラスター:(フォルマントを参照)
Spectral envelope スペクトル包絡線:
パワースペクトルの力の大きさの輪郭。それは、個々の声道の形の共鳴特性(フォルマント)を明らかにすることに役立つ。
Spectrography スペクトログラフィー(分光写真法):
分光写真器(spectrograph)は、周波数を垂直軸に、時間を水平軸に、力を灰色かカラースケールで表示する。それは、おそらくスタジオで使う、最も利用しやすい音声表示である。
Speech Level Singing (SLS) スピーチ・レベル・シンギング:
Seth Riggsによって始められて、いくつかの民間の国際的グループ(などIVA、IVTOM)によって現在広められている教育学的アプローチ。
Spectral centroid スペクトル質量中心:
共鳴範囲のスペクトル成分の振幅加重平均。たとえば、声道フォルマント(共鳴)は、いくつかの倍音を拡大していることができる。知覚された絶対の音色(母音のような品質)上のそれらの倍音の蓄積効果は、それらのスペクトルセントロイドを計算することによって、決定される。単純な例では、等しい振幅による2つの隣接した、拡大された倍音は、それらの間で幻の倍音の音色知覚表象を生み出す。ある倍音が他より強いならば、その幻の倍音知覚表象はより強い倍音の絶対音色により近いだろう。
Temporomandibular joint 顎関節(TMJ):
頭蓋骨にあるあごの関節(外耳道のちょうど前)。口蓋高さと上の母音の鳴りの感覚のための便利な基準になる。
Thyroarytenoid muscles 甲状披裂筋(TA):(喉頭レジスターを見なさい)
Turning over ターニング・オーヴァー(回転する):
声のF1より上へのH2の通過とその付随的な響きと感覚。
Valsalva maneuver バルサルバ法:
胸部(胸郭)の力強い圧縮;気張った排泄、出産、重いリフティングと同様に。声門の閉鎖筋によって抵抗されたならば、それが度を越して強い声門の抵抗を活気づけて、歌唱で使われてはならない。
Vertical phase difference 垂直位相差:
声帯の垂直の接触での開閉のタイミングにおける差。それは、接触域がその上縁の開閉より前にその下縁で開閉するより厚い声帯に起因する。
Vocal tract filter 声道フィルタ:
声門から唇まで声道から成るチューブ共鳴体。この共鳴体はそれに通される倍音達を「フィルターに通す」そして、唇から放射される母音と声の音色をつくるために、それらの倍音のいくつかを強化し、他を弱める。
Voce aperta ヴォ―チェ・アぺルタ(開いた声):
開いた音色;二つ以上の倍音が、第1フォルマント以下にある、あらゆる歌われた音 ― 言い換えると、第1フォルマントの1オクターブ以上低くで歌われるあらゆるピッチの音色。この用語はまた、開いた音色によって特徴づけられる総合的な拡散的共鳴体の形を描くのに、歴史的に用いられてきた。そこにおいて、母音は、広がる、イェール音色へ移動する傾向がある、そして、ベルティングといろいろなワールドミュージック歌唱スタイルに特有である。
Voce chiusa: ヴォ―チェ・キューザ(閉じた声):
閉じた音色;第2倍音が第1フォルマントを越えるあらゆる歌われた音声-言い換えると∥第1フォルマントの下の1オクターブ以内のあらゆるピッチの音色。この用語も、西洋クラシック歌唱のキアロスクーロ音色になる全体的な収束性の共鳴体ポーズを記述するのに、歴史的に用いられた、そこでは、主に拡散的、開いた音色共鳴体の調整への縮小において、彼らがしなければならない時と場所で、母音が閉じる。
Voice source 音声源(喉頭音源):
振動体(声帯)で生成される音声信号。
Vowel formants 母音フォルマント:(フォルマントを見る)
Vowel migration母音移動:
受動的な母音修正の別の言い方;ピッチが変わる間、声道形状が維持されるとき、母音は、段階的な音色の変化を経験する;、安定したフォルマントと変化する倍音の関係の変化のために、特に倍音が第1フォルマントを通過するときに明白である。
Vowel modification 母音修正:
歴史的に、より良いフォルマント/倍音のマッチ(より反響する)を見つける試みにおいて声道の形の変化によって、それらの通常のスピーチ位置から母音フォルマントを動かすことによって達成される母音音質の変化を指すと理解されている。このテキストは、サブカテゴリを提出する:能動的そして受動的な母音変形。(受動的母音修正を見なさい)
Whoop フープ:
「hoot」(D.Miller)とも呼ばれている;第1フォルマントのピッチを歌うとき、あるいは、第1フォルマントが人が歌っているピッチを追跡しているとき、起こる音色。音響的に、その放射されたスペクトルは、むしろ優位な第1倍音を持つ。その洗練されてない形では、それはむしろ「hooty」で、舌の後方への動きが伴う可能性がある。
Yell coupling, yell timbre イェール・カップリング(結合)、イェール音色:
チューブの短縮と口の広がりを通して普通より高く運ばれたF1とH2の音響結合(F1/H2追跡);明るく、しばしば押された、そして、広げられた音質。
2018/07/13 訳:山本隆則