[Practical Vocal Acoustics by Kenneth W. Bozeman p. 43]
Chapter 7
Male Passaggio Training
Non-Linear Source-Filter Theory Revisited 非線形の音源-フィルター論再考
今、議論された能動的母音変形の目的は、利用できる音源倍音のより良い共鳴を見つけるためにフォルマントを調節することである。むしろ以前に言及されるように、特定の状況では、フィルタを通過している音響エネルギーは音源へ戻って生産的に反響されることができる。そして、効率の良さと音声源/振動体の力を促進する。そのような相互作用は、振動体の閉鎖率(各振動のサイクルの閉鎖時間のパーセンテージ)を効果的に上昇させることができる。これは、共鳴体をスペクトルの上端をより効率的にする:閉じた位相がより長いほど、高い倍音の強化はより強くなる。それはまた、より大きな筋肉の声門閉鎖力(声門の絞り)がなくても気流を減少させる。相互作用が強化されるその状況は:収束性共鳴体の形【訳注:喉が広く、唇に向かって狭くなる共鳴体の形】、安定した喉頭、開いたのど、そして狭められた上喉頭チューブの出口である。これらの状況の全ては、音響のinertive reactance*(声門の効率を改善することができる要因)を増やす。これらの特徴(開いたのど、共鳴体の収束)は、特にそのキアロスクーロ(明るい/暗い)のバランスの良い共鳴、シンガーズ・フォルマント・クラスターの生成において、西洋の古典的歌唱に特有のものである。(Sundberg、1974; TitzeとStory、1997; TitzeとVerdolini、2012)振動体への共鳴体の影響は初期の発声教師/研究者(例えばBerton Coffin、Ralph ApplemanとJohn Large)によって先鞭をつけられ、何世紀にもわたって発声先生によって直観されてきた、しかし、より最近に限ると、関係する物理学は、Johan Sundberg、Ingo TitzeとDonald Millerなどの発声科学研究者によって説明される。現時点では、非線形の相互作用は、主に西洋の古典的歌唱に存在する声道戦略(収束性の共鳴体)に適応するもので、より拡散的な声道を形作る戦略に使用する、別の歌唱スタイルでよく使われるようなものではないと思われる。
*共鳴体の収束性によって生成される空気分子運動の停滞、共鳴体の振動体との相互作用を改善することができる。(p.108)
訳: 山本隆則 2018, 2.15