INTRODUCTION

歌の黄金時代があった。
この時代は古今の最も偉大な歌手を生みだし、そして、あらゆる時代で最も偉大な教師の技巧を再びもたらした。これらの師匠達はほとんど規則を作らず、自然な法則に従うことを主張した。それらは解剖学的なものではなく身体的なものだった。筋肉ではなく耳が師匠と弟子の両方を導いたが、呼吸と声の精力的な訓練が主張された。これらの訓練は「メソッド」にはならず、声の最終的な使用において追従されることを意図されていなかった。それらは、単に「体力作り用の」運動だったのだ。各々の師匠とあらゆる歌手は、自分自身の発声法を持っていたので、歌手から歌手への口伝えによるアドバイス以外は、ベルカントの確かなシステムは、我々へ伝わらなかった。
ほとんどの訓戒の流れは、枯渇した。しかし、今や豊かで力強いものがある-ランペルティ親子の簡潔な格言である。父は、過去の偉大な歌手と作曲家 ― ルビーニ、マリブラン、プレスト、ベッリーニ、ドニゼッティ、ロッシーニ、そして、この黄金時代の他の人たちからこれらの規則を聞き、息子は彼の父から考えを吸収した。
我々の多くは、最愛の師匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ランぺルティ、(Sembrich、Stagno、Bellincione、Hastreiter、Edyth Walker、May Stone、Agnes Huntington、Radcliff-Caperton-ここでリストを書くには長すぎる―を教えた男)の伝統を「受け継いで」いる。私は、弟子またアシスタントとして長年かかわってきた、そして、この歌唱の最後の偉大な師匠の格言と教えを、あえて解釈し、解明してきた。
これらの格言は1度や2度の読みでうのみにされることを目的としていない; 私の本は何気なく読まれるために書かれてはいない。師匠の考えの上に「システム」または声の「メソッド」を築き上げようとするよりはむしろ、彼との数年の間に満たしたノートの助けを借りて、そうすることができたのと同じくらい忠実にこれらの簡潔な段落を記すことを私は選んだ。私が、いくつかの大まかな順序に区分けしたこれらの断片から、利口な読者は、発声「メソッド」のマスター・キーを見つけるかもしれない。
歌の黄金時代の壮大な声を開発した伝統と格言は、この師匠から口頭で私に伝わった。
この知恵は世紀を下って私のもとに来た;私はそれをあなたに渡します。
あなたの守護者としての手を通じて、それは次の世代から世代に達するだろう。
このように私のアシスタントならびに最愛の弟子になって、壮大な役割を持った考えを広めるのを手伝ってください。
Wm. Earl Brown.         New York.

Preventing the Decadence of the Art of Singing

Lamperti Maxms p. 12
ランペルティの格言
Quiet Throat
静かな喉

1) 喉頭は高音を作るために上がらない。輪状軟骨を後へ傾けることによって高音域は確保されます。
2) 低い声では、このリング状の軟骨は話しているときと同様に、通常の前の位置まで戻り喉を平静な状態にします。
3) 喉頭は、筋肉によって一カ所に固定する必要はありませんが、曲を通して、上下の声区のために静止させておかなければなりません。この平静状態は、喉の生理作用の目印になるでしょう。
4) しかしながら、喉は、母音や声量によってわずかながらその形を変えます。しかし語り方〈diction〉によって上手く処理されます。
5) 静かな喉は、声のエネルギーと呼吸のパワーの相関関係の結果です。
6) 声の振動と呼吸の間には、弦の振動と弓の様な密接な関係があります。

The Most Difficalt Problem   p.13
最も困難な問題

1) 歌唱に於ける最も難しい課題は、一定の音程で音声を延ばしながら膨らませるmessa di voceです。
2) 声は,上げたり下げたりして本能的に抑揚をつけたくなるもので、話しているときはなおさらです。
3) それ故、音階やアルペジオの方が単音のフレーズよりも歌いやすい。
4) 呼吸エネルギーの解放と声の振動の関係は、華麗なカデンツを歌っているときの、持続された音声を生み出すときと同じように思えます、喉が飛び跳ねることも首の筋肉を固めることもありません。
5) 音声が一定の音程で伸ばされる場合、もともと呼吸に備わっているエネルギーによって供給される情熱のような内なる生命力を持たなければなりません。
6) 筋肉のいかなる使用(エネルギーの解放以外)も、その倍音(ハーモニーと呼ばれる部分音)を妨害することによって音声を損ねる。
7) 「音声は,自己起動〈self-starting〉、自己延長〈self-prolonging〉、自己停止〈self-stopping〉でなければならない。」とランペルティはいった。
8) これを可能にするために、呼吸作用の完全な管理が絶対に必要となる。
9) 一般的に、不完全な歌唱は下手な呼吸作用によって引き起こされる。実際のところ喉の悪い習慣の全ては、単に息の不器用な制御に対する抵抗の結果である。

Desire and Reflex   p.14
欲求と反作用

1) 声を発することによって自発的に開始され、維持され、止められる身体と脳の連携活動は、歌手にとっての最終目標である。
2) 声は主人になります。
3) あらゆる音程で、あらゆる言葉で、あらゆる子音又母音によって—実際のところ、全ての発声によって—それ自身の思うように、音になります。
4) 歌声は喉からくるにもかかわらず、話し声が発せられるのと同じように、喉から独立しているように思われる。
5) 喉のメカニズムは、話すため歌うために、音程や声区を意識的に変える必要はない。
6) 勿論これは、身体と脳の継続的な共同作用が行われている場合のみ真実である。
7) 我々はいろんな物を、タイプライターやピアノでも、操作するために、又数え切れないぐらいの日々の手仕事を行うために、すぐには指を使えるようにはならないでしょう?
8) 衝動と反作用が鍛えられ、采配を振るうまで、思考と筋肉は訓練される。その後で、恣意的だったものが無意識的になります。
9) 歌うことは声を自然に使うことです。しかし、喉頭上で演奏することを学ぶことは、欲求と反作用がそのプロセスをコントロールするまで、脳と身体のトレーニングが必要です。その時、困難であったことが容易になります。
10) 知的肉体的訓練は、脳と身体の様々な部分を刺激し敏感にするために具体的なものでなければなりません。しかし、これらの組織だったエクササイズは、自然のもつ本能的なプロセスを妨げるので、最終的な歌唱と混同してはなりません。
11) 音楽、言語や呼吸作用の理解力が現実のものとなるとき、実際の歌唱は、全人格の非常に多くの活動による無意識的な共同作用となる。
12) メロディーとハーモニーの基礎、そして、頭、口、喉、胸などの中にある言葉の感覚、そして呼吸に内在するエネルギー等々の現実化は、演説者を歌手にすることが出来るでしょう。
13) 実際、演説者は、歌手のように多くのテクニックを持っていますが、彼が歌おうとするときにやることを実現化することはありません。
14) 話すことよりも歌うことにより多く求められる「方法」はありません。しかし、歌うことは明確な実現化と、欲求と反作用を刺激する連携作用を要求します。

Introspection   p.15
内省

1) 呼吸と歌唱訓練は、集中力を高められたときにのみ有効である。
2) 言葉、音声、音色の内的感覚、同様にそれらを生み出す内側の活動を心の中で予期することが、声のコントロールへと導く。
3) 脳と身体の中で何が起きているかを知るまで、歌唱中にあなた自身の思考と感じを検討することが唯一のやるべきことである。
4) 歌の心的肉体的現象の意識的な知識を得ることは、最も鋭い内省が要求される。
5) あなた自身が歌うのを聴いてなならない。
6) あなた自身が歌うのを感じなさい。
7) 内側のコンディションが正しく準備されているとき、歌声は現れる—(準備される)前ではない。

The Matyre Voice   p.16
成熟した声

来たるべき時が来たときにのみ、努力の果実は熟す。これは歌うための努力にも非常に良く当てはるので、聞いてもらおうと焦って、声が成熟することはほとんどありません。骨の折れる勉強をしていれば成熟していたかもしれない、安易な声は、滅多に熟すことなく、ただ未完成なままです。困難な声はしばしば一途な努力を通じて技術的なコントロールに至ることがありますが、音声は内面的な方向性を欠き、不快なままです。
生理学的な歌声は、話し声から発展します。その成熟は、身体の全ての部分と、脳の全ての機能との活動に左右されます。 唇、鼻、頭、喉そして胸で感じられる音声振動〈Phonetic vibration〉は、身体のあらゆる部分にはっきりしたメッセージを伝えます。これらのメッセージは、習慣的な反応が努力と考えに取って代わるまで、歌い手の意識に記録されます。
聴覚は、音楽的、音声学的に歌手を教育するけれども、感触(接触)感覚は発声的に組織化〈organize〉する。
生理的な歌声は成熟するために時間がかかります。それが暗い音色と明るい音色の両方に十分発達したら、頭と喉、そして時々胸を満たすでしょう。

Ready to Sing   p.18
歌う準備

1) 歌う準備が出来ていることの感じとは何ですか?
2) それは歌うことへの強烈な欲求に関する主観的な感覚です。
3) 綱の上に踏み出そうとする「綱渡り」のそれのようです。
4) 努力をやめて水の助けに頼るスイマーのそれのようです。
5) 飛び込みを開始する瞬間のダイビング選手のそれのようです。
6) 夜の静けさの中で不思議な音を聞いた人のそれのようです。
7) 引き金を引く直前の狙撃兵のそれのようです。
8) 矢を放つ直前の弓の車種のそれのようです。
9) まさに演奏を始めようとするヴァイオリニストのそれのようです。
10) 音を出す直前の、口笛の達人のそれのようです。
11) 芸を始めようとするジャグラーのそれのようです。
12) トゥーで立とうとするときのダンサーのそれのようです。
13) 指揮棒を空中に身構えるオーケストラの指揮者のそれのようです。
14) 待ち構える聴衆の前で口を開こうとする演説家のそれのようです。
15) これらの活動の全ては、客観的に力強い活力を要求する。

Overtones   p.19
倍音

1) 歌声は、声帯の規則正しい振動の倍音から生まれる。歌われた音程に最も近い倍音等は長3和音を作ります。全ての全音と半音は高い部分音によって再生される。
2) 音声が純粋な場合、声の中に、低い倍音だけが聞こえる。
3) 声が強要された場合、高い不協和の上音が優位を占め、堅く金属的で鋭い音質を引き起こす。
4) 上音が不足すると、声は鈍く〈hollow〉、陰にこもった〈sepulchral〉、響きの悪い〈wooden〉音になる。
5) 全筋肉と神経エネルギーの敏感な共同作業は、純音の生成に求められる状態である。
6) 生徒の音声の理想が高まるにつれて、神経と筋肉の潜在的な力は、体のすべての細胞がその仕事を喜んで行うまで反応する。
7) 耳は「透視するように〈clairvoyantly〉」に導き、声を明るくする本当の火花を理解する。
8) 我々は練習しそして待たなければならない、というのは、これはメトードの結果として起こるのではなく、コンディションが正しい場合に、自ずから現れるものだからです。
9) 歌うことは聴覚に左右されます。
10) 物理的な耳は、声、さらに楽器に於いてどれくらい純粋に響くかを知覚し知っています。
11) 心的な耳は、それをどのように作るかを少しずつ「思い浮かべ〈vision〉」ます。
12) 歌唱とは本能的なものです。そのコントロールは無意識的なものです。
13) 基本的な練習はただ身体を作るだけのものであり、想像力は、美しい声を生み出し、メロディーを保とうとする欲求に答えるために、より柔軟で敏感なものである。
14) 教師は、我々自身に我々自身のことを知らすことが出来るだけです。
15) 我々は彼の基礎訓練(真実であることがわかれば)を続けなければなりません、しかし我々自身の主導権を信じなければなりません。
16) 2つの考え方は同じように反応しません。
17) 我々の知識と力は、我々の個々の反応と実感からのみ現れます—我々の前進はそれら次第です。
18) 人間は、現存する最も完璧に調整された楽器である。
19) 最も偉大な歌手たちは、 彼らの発声器官や肺についてほとんど知らなかった—たいていは独学でした。
20) それぞれの歌手は、「それをどのようにするか」についての異なる考えを持っています、そして、その「方法」は、教師が教えたもののように正確ではありません。
21) それぞれの声は、それ自体が法則である。

Working It Out Alone   p.21
一人でやり遂げなさい

1) 多くの有名な歌手達は,教師達や方法論に対する不安を持っているので、一人で「それをやり遂げる」ことを好みます。
2) ある有名な歌手が私に言いました、「私はヨーロッパで——(最も著名な教師)について勉強しました、そして彼が『スタイル』に関してすばらしい人であることが判りました。彼の『method』を続けていれば、私は声をつぶしていたでしょう。」
3) 名高きソプラノが少しずつ声をなくしてゆきました—悪い歌い方によってではなく、多すぎる「声の医者」による『コーチング』によってです。
4) Jenny Lindは若いときに声をなくしました。パリでGarciaとの長い勉強にもかかわらず、復帰することに失敗し、彼女は故郷に帰り「それをやり遂げ」当時の最も偉大な歌手になりました。彼女の理想は非常に高かったので、演奏中に彼女が犯した誤りのために、しばしば泣いていました。
5) Pattiがmethodについて知っていたことの全ては、「声が息っぽくならないようにすること」でした。
6) ある偉大なバリトンは、彼自身のレコードで聞くことができる欠点をなくすことによって声を訓練しました。
7) 最も優れたドラマチックソプラノの一人は、20年間軽い役を歌った後で初めて自分自身の声を見い出しました。
8) 白髪のご婦人は、まだ歌っています。
9) 別の偉大な芸術家は、頭声を見いだした40歳まで、(不適切にも)バリトンパートを歌っていた、そして現存する最も偉大なテノールになりました。
10) Sims Reevesはボーイソプラノでした。変声期の後、彼はバッソ・プロフンドになった;その後バリトンになり、;最後に最も有名な英国のテノールになりました。私は彼が70歳ですばらしく歌っているのを聞きました。

Too Many Teachers   p. 22
多すぎる教師

1) 自分自身で、或いは、先生の助けで声を見つけることができたのなら、他のやり方を試してはなりません。それは致命的なことです。「私は10人の違う先生で勉強してきました」と誇らしく生徒は言いました。「9人は余計だ」とLampertiは叫びました。
2) あなたの心と身体の動機と動きは、歌唱の仕事のただの半分でしかない。振動と共鳴の自然現象が残りの半分を構成する。
3) あなたは言葉の発音の中にこれらの音声学上の現象を発見するでしょう。
4) メロディーの上にこれらの言葉を発することによる反作用の中に動機と動きのコントロールを見いだす。
5) 音源(最初の振動)から十分に肉付きのよい響き(共鳴)に発展した声だけが最後まで持ちこたえるでしょう。
6) 声が鍛えられた後は、訓練段階での考え方はやめて、頭から下に向かって歌いなさい。
7) 頭、口、胸の共鳴(倍音)の存在は、声が十分に大きく、肉付きよくなっている証明です。
8) その後で、頭から下に向かって歌う準備ができる、何故なら頭は楽器だからです。
9) 頭、口、胸はいつでも空洞、或は音で満ちています。決して空洞の感覚を消してはならない。それを通って息をとりなさい。
10) のどから上に向かって歌ってはなりません。
11) あなたはその上、ブーツストラップで自分自身を引き上げようとするかもしれません。

Some Points p. 23
いくつかのポイント

1) 一つの母音をほかの母音に口の動きなしで「溶解させる〈dissolving〉」こと、そして呼気から吸気に、筋肉反射〈jerking〉なしで「進む〈passing〉」ことは、よい歌唱の2つの目印です。
2) 息は2つの原理によって「止め」られる、肺からの圧縮された空気[compressed air]の出口をふさぐ振動(声唇の拍動)、それと漏れようとする空気のエネルギーを抑える、体を覆う全筋肉の協調された作用、つまり「栓〈stop-cock〉」としての横隔膜です。
3) 上手く楽に音声を維持している間、あくびのように口を開けなさい;それは、上の胸部と喉の活動を刺激する。 歯を閉じて始め、終わりなさい。音声の始めと終わりが乱されず、同じように感じられたならば、その訓練は有益でしょう。 もし、伸ばしている最中に声の振動が「ブレイク」したら、その練習は有害です。このエクササイズでは、振動は骨盤でコントロールされ、共鳴は胸と頭でコントロールされることが実感させるでしょう。
4) 絶えず最小限の動きと努力で互いに関係し合う弾力性のある身体の全原子は、辛抱強い生徒なら実感できるかもしれません。
5) 最上音があなたの音声からすっぽ抜けるならば、あなたは骨盤部位からエネルギーを引き離してしまっていたのです。
6) 共鳴がなくなったら、頭と胸との筋肉のつながりを失っています。
7) 声が息漏れしていれば、横隔膜は弛緩しています。それの使用は閉じ込められた息の力[imprisoned breath power]を解放、また抑制することであり、決してそれを空気として漏らしてしまうことではない。
8) 声が締め付けられていれば、ルーズな息を声帯に押しつけています。筋肉努力ではなく、圧縮された息[compressed breath]のダイナミック(動的)な力が声を「支え」ます。
9) 音声が口の後ろに行きすぎたら、発音は間違っています。
10) アタックが硬すぎると、声帯で音声をフォーカスする代わりに、喉の真下から音声を打ち付けることになります。
11)筋肉がその活動を継続するのは、そうする必要に駆られた場合だけである。持続する筋肉の緊張は、継続的な心理的、感情的興奮によって起こされる。
12)音程は、声帯のチューニングに依るべきであり、エネルギーだけを供給する息の力に依るべきではない。それは、振動に対する干渉を防ぐために、このブレスパワーを利用することであり、さらに音声にすべての聞こえ度を供給する。それは長い厳しい訓練と継続的な練習を要します。
13)声は、規則正しい振動とそれぞれのフレーズのため呼吸パワーを持たなければならない、そして継続的に連携作業を保ちながら、リズム、音声、dictionの目立った中断なしで、両者を一新しなければならない。
14)大きな声と同じ程度に、最も小さな「ハミング」が、すべての連携を刺激するまでは、うまく歌うことはできません。口を閉じて歌うことができなければ、開けて歌うことはできません。
15)練習が効力をなくしても落胆してはいけません。他のものに変えなさい。その後で「古くなった”stale”」ものに戻りなさい。
16)筋肉活動は、精神的、感情的刺激に対する反作用でなければ、ただの体操である。
17)思考と感情を分ける線はない。
18)しかし、或るものと別のものとの重要性の違いはあるかもしれません。
19)50-50は安全な混合です。
20)心理的にイメージされた音と同量の肉体的感覚を知るまでは、求める結果を確かなものにすることは決してない。すべての音は、頭と喉と胸に反映される。
21)たとえ感情的なものだとしても、機械的にコントロールされた音声ほど意味のないものはない。それは美を欠いている。
22)圧縮された空気に内在するエネルギーは、音声の高さと力の両方を確保するので、声が音階を上がっていったり、音量を増していったりするに応じて、身体の中で呼吸の「コントロール」が減少してゆくのを感じます。さらに、小さな声で歌うことやディミニュエンドは、呼吸を骨盤でコントロールすることが求められます。
23)声と呼吸とのバランスを犠牲にして、大げさな、或は爆発的な効果などを使用して、音声を色をつけたり揺らすことは、進歩と喉頭の健康に有害である。
24)呼吸、発音、聴力、感覚、視覚などの自然な機能以外は、解剖学的解剖(また、生理学的生体解剖)は、歌うことの生理的基盤を作らない。他のすべては、「過剰な重荷」である。

The Golden Rule of Singing   p. 27
歌唱の黄金律

1)身体と心を掌握するのは、我々の欲求、感覚、そして理解力を通じてである。
2)歌唱に於いて、これは特に真実である。
3)我々の活動は、メロディー、ハーモニー、詩等の理想によって形作られる。
4)理想が現実化されることはないのは、それに近づくと、それはより高いものかより低いものに変化してしまうからだ。
5)故に我々は、そうしようがしまいが、前に向かって努力するか、後退して落ち込むかである。
6)友人、書物、言葉、見ることは、我々を助けてくれるかもしれないし、また害するかもしれない。
7)もし有害な提案を受け入れれば、我々は壊れてしまう。
8)助けになるヒントを受け入れた場合、我々は統合される。
9)それを行う前の結果を考えれば、何が有益か、妨げになるかは自ずとわかる。
10)我々は何が有害か有益かを経験(自分自身又他人の)によって見いだす。
11)たとえ届かぬとはいえ、理想は簡単にその高さから落ちる。
12)破壊的な考えがそれをするだろう。
13)理想が崩れ去るとき、我々はあらゆる潮流に流される。
14)建設的な考えはそれらの理想を高める。
15)理想を持ち続ける限り、恐れる必要はない。
16)恥じることなく、恐れず、くじけないならば、我々は最も高い到達点に至ることが出来る。
17)行動の前に結果を知ることは、歌唱の「 黄金律」である。
18)あなたの音声が、沈黙から音に、努力も強制もすることなくイメージでき、更に(エネルギーの)解放や、その後ろで保持するための十分なエネルギーによって自由であるとき、あなたは最も偉大な歌手の一人になる。
19)あなたの声が驚異的であるか、又は更に美しいものであるかは問題ではなく、音楽と言葉を表現すれば、あなたは関心のある観衆を得ることになるでしょう。
20)観客の広さは、あなたの演奏に込めることの出来る人柄の質によります。
21)人を引きつけることが出来れば、世界はあなたのものである。
22)発音の明瞭さをなくすことなく、語り口dictionから乱暴さをなくせば、強度を弱めることなく声の粗雑さを取り除けるかもしれない。
23)上手く歌うために、絶えず感じなければならないのは、「空洞の頭」、「充実した喉」、「広い胸」、そして「締まったウエスト」。
24)音声を「止め〈hold〉」てはいけない、スピンさせなさい。息を止め〈hold〉なさい。
25)声種(バス、テノール、コントラルト、ソプラノ)に関係なく、高く置かれる(placed)ように感じ、高く集められる(focussed)ように響かせるべきだ。
26)低い共鳴だけを使うことは、それを試みるあらゆる声を破滅させる。
27)筋肉のリラックスは最も外側の筋肉を、ある過程でそれらの役割を果たすために、慣し、訓練する時にのみ有益である。
28)さもなければ、最終的な出力にむかって弱っていきます。
29)non-actionではなくco-action共同作業が、努力を感じさせないコントロールされた努力をもたらす。
30)ランぺルティは、歌っているか、呼吸している間 、生徒を決してリラックスさせようとはせず、最も外側のエネルギーを蓄積して、その次に言葉と音声が必要とするときにそれを解放させた。

The Secret of Singing   p. 30
歌唱の秘密

1)歌唱を左右する3つの感覚があります。
2)音程と音色(倍音)に対する感覚は、聴神経を通じて発達しコントロールされます。
3)振動と共鳴に対する感覚は、触覚神経を通じて発達しコントロールされます。
4)エネルギーと呼吸作用に対する感覚は、全身の神経を通じて発達しコントロールされます。
5)これらの感覚は、別々に勉強され発達されるにもかかわらず、活動の協調をもたらすために連携しなければならない。
6)想像力と感情が演奏を導き、意のままにするとき、3つの感覚の連携活動が起きる。
7)天才は聴神経に左右され、滅多に触覚神経をフルに活用することはない。
8)才能ある人は、聴神経と触覚神経の両方を使うので、よく天才に勝ることがある。
9)残りの我々は、音程、振動とエネルギーの3つの感覚を身につけなければなりません、そして天才や才能のある人とに負けないように、それらをコーディネートさせなければなりません。
10)このコーディネイトされた3組の感覚の連続的な活動を、目覚めさせ、継続させることは、歌唱の奥義である。
11)振動(vibration)が不変であると感じられるまで、共鳴(resonance)を楽しむことは出来ない。
12)共鳴の弾力性と順応性を感じられなければ、声を変化(modulate)させることは出来ない。
13)音声は、身体の活力の一部に違いありません。
14)怠け者の筋肉はない。動機がそれらを刺激すればすぐに全てのものは働き始める。
15)連携co-ordinationとはなんぞや?
16)「個々のための全体—全体のための個々。」
17)どんな箇所でも、過剰に押したり引いたりすれば、筋肉と神経のこの協力関係は危うくされる。
18)何が成功をもたらすのか?
19)洞察力、独創力、それと忍耐力です。
20)歌う欲求に、エネルギーを任せなさい。
21)あなたの歌を上達させ、筋肉を鍛えなさい。
22) 体力作りのための訓練(gymnastics)以外の全てのことを考慮しなさい。

Know Thyself   p. 32
汝自身を知りなさい

他人を真似ることによって得るものは何もありません。
あなたの身体組織は、結局他人の考えに対して反発するでしょう。
ゆっくりとした漸進的な成長—発展—は、前進のための唯一安全な方法です。
どのような欲求、どのような考え、どのような行動も、以前のものよりも成長していなければならりません。
「接ぎ木された」習慣は、どうすることもできない願望、独りよがりの考え、無気力な行動に帰結する。
意識的な活動は、本能的な強い衝動の結果でなければならない。
身体、魂、および心は、上手く歌うために互いに調整されるので、「汝自身を知る」ことは、他の職業以上に歌手に当てはまります。
他人から学べることは、正しく明瞭に発音するために、ゆっくり且つ深く息を吸うこと、そして熱心に注意深く聞くことだけである。
これら3つを連携させ、継続させることは、あなた自身からくるに違いありません。
汝自身を知りなさい。
正負の電流が出会うとき閃光が生命に飛び散るように、音声はそれ自身の作用を始めるに違いありません。
それぞれの筋肉および全ての神経は、全体の意志に結びつけられるにもかかわらず、それぞれ自身の仕事をしなければならない。
音声が、それ自体のエネルギーの翼の上で生まれ、自由であるという感じは、人生の最も大きな喜びの一つです、—なぜならあなたがその創造者であるから。

What Voice Have You?   p. 34
どんな声を持っていますか?

あなたの声は独自の方法と意志を持っています。
たとえ前者に注意を向け、後者を抑制するかもしれないとしても、どちらも妨げてはならない。
喉声は、そのままでにしておかねばなりません。
白い声は、その方法の正しさを持っています。
暗い声は、決して変えてはなりません。
ある声はフルートのように響き、他のものはヴァイオリンの弦のように響き、多くは耳障りで、クラリネットのリードのように響きます。
低い声は、その限界の音で決して押してはならない。
高い声は、その音域で決して引いてはならない。
小さな声は強制されてはならない。
大きな声は、叩きつけなければならない。(Witherspoon の言う〈叫び〉とおなじことか?)
いくつかの声は安定しており、他は震えている。
あえてその方法を意図的に持つことが許されない唯一の声は、息漏れの多い、支えられていない声です。
「私はなぜ歌えないのでしょうか?」
やろうとするからです。あなたは話すために努力をしますか? と言うよりは、千倍強められ、純化された同じプロセスが、歌の源です。
反動を抑制することなく、動きを止めることができるとき ―あなたは歌う準備が出来ています。
振動の焦点〈focus〉から音声を発するとき、あなたは歌っています。

Singing by Reflex p. 35
反射作用による歌唱

1)「それをしないのなら、死ぬまで歌うな。」とLampertiは言いました。
2)歌おうとする欲求と身体の間に、心理的なものと生理的なものとの関係が存在する。それは、くしゃみが出そうな時と、筋肉組織の関係に似ている。
3)動きではなく、感覚によって、歌い方をコントロールしなさい。
4)感覚が十分鋭ければ、それは可能です。
5)鼻、咽頭、口、ノド等々にある粘膜に触れる感覚を通じてのみ、気持ちの中で、歌声の振動をコントロールできる。
6)この「膜の内側」の神経ネットワークは、脳につながっています。
7)それらは歌い手に、これらの腔で起きている事を知らせ続け、最終的に発声手順を予想し、コントロールします。
8)同様に、身体の組織に触れる感覚を通して、心は呼吸の力をコントロールします。
9)無数の神経節(神経中枢)は、胴体、反射運動、脳への信号、筋肉と肺で起こる事全てに、配置、分配され、最終的に歌唱の為の呼吸活動を予測しコントロールします。
10)それから、聴感覚は、振動を声に結びつけ、エネルギーを声の音色を作る呼吸に結びつけます。
11)耳の神経、その末端はコルチ器の神秘的な小枝(内有毛細胞の不動網?;訳者)は、声と息の結合が行われている事を脳に知らせ続け、最終的に結果を予測しコントロールします。
12)故に、完全な声は数えきれないほどの感覚によって生み出されます。
13)最大の集合的エネルギーがコントロールされなければ効果的な声を作る事はできない。
14)そしてあなたの音楽に対する感情的反応と詩情が、あなたの全人格を目覚めさせるだけの強さがあれば、あなたは偉大なる歌手である。
15)君の歌唱が反射的で、くしゃみが避けられない様なものになれば、数少ない叙情的芸術家の一人となるだろう。
16)「どれ位素早く息を取らなければならないのですか?」
17)最後の音声の頭の中での感覚を消さなければ、あなたが望むだけ素早く息を吸うことが出来ます。
18)「あなたの出している音声を通じてブレスしなさい。」とLampertiは言いました。
“Breathe through your tone.”
19)「何故ですか?」
20)何故なら、それは歌のポジションだからです。the position of singing
21)あなたの呼吸パワーに、より多くのエネルギーを加えている間、なぜポジションを外さなければならないのですか?
22)頭蓋骨の中に音声の焦点focusを感じられなければ、振動は強くなく、息は圧縮compressされていない.
23)連繫作用/co-ordinationとは何ですか?
24)あらゆる部分に於ける活動の自由、しかし通常の成果を得る為に、あらゆる部分の相互責任を理解すること。
25)声の振動波のエネルギーと圧縮された息[compressed breath]のパワーがバランスを取るまで、声をコントロールする事はできない。26)それは、2人の人が手を取り合ってお互いにバランスを取りながら、鉄道の別々のレールの上をそれぞれ歩く様なものです。27)彼らを別々に分ける事はできません。
28)技術は豊かなエネルギーと均一の音声を絶えず相互依存の状態に保ちます。
29)これら全ての事を行うという事は、規則正しいやり方で、過ぎたところを心にとどめ、今現在演奏中のところを意識しながら、先の箇所を全て思い描くという作業を結びつけなければなりません。
30)「かぶされた音声;covered tone」とは、誤解を招きやすい言い方です。31)「閉じた音声;closed tone」と言うべきです。
32)それらの音声の開始時に於いて、開けていても閉じていても随意だが、全ての音声は暗く出される。
33)この静かな声の出だしは”dark-light tone”(明ー暗音)に発展します。そしてそれは人間の理想的な音質の声です。

The Dark-Light Tone p. 38
暗明音

1)たとえ広い音域を獲得できたとしても、声の共鳴が太く豊かになるまでは、響き(sounds)を変える(modulate)ことができない、chiaroscuro明暗対照法。
[chiaroscuro 《美術》明暗の配合、明暗法;キアロスクーロ〈光の明暗の対比によって物体の立体感を出す技法〉 《文学・音楽》明暗対照法]
2)声のpitch(vibration)は、勝手に口の後ろ(咽頭)から出てくる様に感じる。
3)声の共鳴は、自発的に口(唇)の前から起こっている様に思われます。
4)これら2つは互いに「暗-明”dark-light”」音を作っている様に思われます。
5)振動がその音程を変えても、その場所(咽頭)は変えない。
6)共鳴は多くの色を持っているが、場所から場所へと飛び移らない、しかし母音の形は唇の動きによって変わる。
7)圧縮された息[compressed breath]の最小限の排気で、頭蓋骨の中に感じるほど強く響かせて、求める音程を明確に出さねばならない。
8)圧縮された息[compressed breath]の連続した排気が、頭、口そして(低い音程では)胸の共鳴体を満たしながら、求められる音量と音色の声を紡ぎ出す。
9)”dark-light”toneはいつも存在すべきである。
10)声のピッチ(振動の焦点)がそれの下にある全てのものを徴用commandeerする様な奇妙な感覚が熟練した歌手に起こります。
11)この感覚を妨げる主なものはfocusのもとにある強力な”アタック”です。[muscular “attack”=hard attack]
12)あなた自身があらかじめ歌う音を聞く事が奇妙な感覚の原因になります。
13)声が大きくなるとき、エネルギーはfocusから来るのであって筋肉によるのではない。
14)それは解放であって、押すpushことではない。15)胴体のピンと張った筋肉を緩める事でこれが可能となる。
16)声がfocusされるのは、その全音域に於いて、同じ場所—頭蓋骨の中心—に始められ止められたと十分感じられるほど強い時だけである。

Vibration, Resonance and Bi-Noises   p. 39
振動、共鳴、そして二重音

1)絶えず思い出しなさい、ノドの上で起こる事は幻想である、それがいかに本当らしく感じられ発せられようとも。
2)同時に、これらの感触と聞こえの感覚の幻想が、のどが正常かつ効果的に機能している事の唯一の証明であることに気付きなさい。
3)頭と口の腔での共鳴感覚がはっきりすればするほど、声の「置き方”placement“」は良くなる。
4)頭と口の骨での振動音が鳴れば鳴るほど声の作り方は良くなる。
5)共鳴と振動の両方とも、最終的に頭、口(そして低い音程での胸)の腔や骨に攻め込み、永遠にそこに住み込まねばならない。
6)しばしば、声の二重音は避けられない。be-noises二重音
7)これらは、痰、強調、感情的な影響、演説調の叫び、息の多い発声、誇張された発音etc.が原因ですが、それらは、頭、口、低い音での胸等に共鳴と振動を満たす事を妨げる事はないでしょう。
8)二重音は「伝わらない」し、聴衆に気付かれない、もし、それに続く共鳴が豊かで振動が鳴っていれば。
9)振動と共鳴は多くの雑音をカバーすることが出来ます。
10)歌う準備として、兵士の様にまっすぐな姿勢にならなければ、あなたの身体のいくつかの重要な部分が参加していないと言う事だ。
11)客観性が支配している間は、足に始まります。
12)主観性が支配する時は、それは頭から始まります。

Inner and Outer Muscles   p. 41
内筋と外筋

1)喉頭内筋(これらは声帯の活動に直接関係している)は、喉や首の外筋が言葉の発音や、音声の共鳴に忙しくなるまで、振動を生み出したり声の音程を作ったりする事に於いて正しくかつ自由に機能することが出来ません。
2)実際、これらの外筋は絶えず身体の静止と関連する弾力的な緊張(張り)の状態にある。
3)声帯靭帯ノド(喉頭)の軟骨に付着した内筋は声が作り出される時だけ緊張する。声を出していないときには使われない。
4)頭部を胴体につなぐ外筋が、それらに割り当てられた仕事を理解せずに作動すると、これらの内筋は二重の義務を強いられることになります。
5)勿論、頭と胴体の筋肉が首の筋肉と協力しない限り同じ様に役に立ちません。
6)全身を覆う外筋が一つのユニットとして活動するときにのみ、声帯内筋は自由に機能できる。
7)横隔膜もまた、腹部と骨盤の筋肉等が、胸部首頭部の筋肉等と協力するときにのみ、呼吸をコントロールできる内筋である。
8)頭から足に至る連繫活動co-ordinationの感覚は、全ての方向に同時に引っ張られる感じである。
9)外筋が協力的かつ持続的に手助けするとき、内筋は直観的に活動する。

How Do You Breathe?   p. 42
どのように呼吸しますか?

1)なぜ呼吸するのか? 血を浄化する為。 どのように?
2)全ての肺胞に酸素を吸い込む事によって。
3)歌うために、ある部分だけで呼吸しなければならないと、或は、血液は体を作り上げるために戻る(さらにその不純物を負わせられる)、と強調してはいけない。
4)”breathe low”「低く息をしなさい」とは、身体の低いところで呼吸をコントロールする事を意味します。
5)頭部、首、胸の「空洞」の感覚を—ウエスト位置まで下げる—完全な呼吸の深いコントロールを強要する。
6)空洞の感覚を失わずに肺を「満たす」事は、歌の奥義である。
7)頭の中の恒星の様に、声のfocusが、身体の内側と外側の力によって位置を維持される以前から、あなたは歌うことが出来ます。
8)これらの力は引力のようなもので、競い合う力のバランスである。
9)身体の一部分だけでの呼吸活動は間違いです。
10)Abdominal breathing 腹式呼吸だけが高度にfocusされた声をもたらす。しかしノド声が少し残る。
11)Diaphragmatic breath 横隔膜呼吸だけが言葉の明晰さgood dictionを保証する。しかし、頭と胸の共鳴がなくなる。
12)Intercostal breathing 肋間呼吸だけが低い共鳴を大きくできます。しかし、dictionは不完全なものとなります。
13)Clavicular breathing 鎖骨呼吸 だけでは低い共鳴だけをもたらす。dictionを破壊する。

※上に述べられた4つの呼吸法は、全てone potion should breathe to sing 一カ所での呼吸法であり、Lampertiはそれらを否定している事に注意いしなければならない。

14)肺のてっぺんと底が、圧縮された空気[compressed air]で均一に満たされているとき、声は頭にfocusされ、又、頭、口、胸の全ての共鳴が呼び起こされるでしょう。
15)あなたは、最終的に、声門の素早い開閉によって演奏しなければならないのであって、声帯によるのではない。それはちょうど、弦それ自体ではなく弦の生み出す振動で演奏している、とヴァイオリニストが感じるのと同じである。
16)歌唱中に声を支える為のエネルギーを開放している様に感じられなければ、いくつかの重要な筋肉が、堅く踏ん張ったままになっています。
17)歌声とはこの様に繊細で、非常に多くの活動を要求しますが、その活動は、自然且つ単純な方法を通じて用いられたときにのみ可能です。
18)そして、空洞をウエストまで下げ、身体の支えを中身の詰まった感じにし、頭、首、胴体は弾力のある一塊の円筒形の容器を形作る。
19)苦労しないでこの状態を維持する事により、全ての歌手が、歌う事も、沈黙を保つ事も可能になります。
※singingとsilentを同等に重要視している点に注目すること。
20)努力、或は動きは、言葉、或は音声の答える反応でなければならない。
※発声の為に努力するなと言う事か?
21)硬直rigidity、或は弛緩relaxationは、この筋肉ユニットの緊張性tonicityを壊し、声のコントロールを危険にさらす。

The Glottis Must Remain Inviolate   p. 44
声門は汚されないままでなければならない

1)目に対するクリスタルレンズは声に対する声門である。
2)声帯の振動する縁は、声門と呼ばれる楕円形の隙間を作る。
3)この隙間の素早い開閉は、振動音と呼ばれるものを作る。
4)その動きは本能的であるにもかかわらず、その機能は、その上で起きる事(diction)又その下での全てのリアクション(breathing)に依存する。
5)圧縮された息[compressed breath]と明確な発音がなければ、それは役に立ちません。
6)この「上」と「下」が協力して、科学者並みの尺度の精密さで、声と力のバランスを取るために、相互理解と共同作業を成さねばなりません。
7)貧弱なdictionはこの一致を分裂させます。
8)不適切な呼吸はそれを不可能にします。
9)荒っぽさや無気力が入り込んだとたんに、振動音は音声から雑音に変わります。
10)この言葉と息の間の「友好的取り決め」は、「方法論」や「力」によってではなく、人を喜ばそうとする欲求や演奏の喜びによって元気づけられ、持続させられる。
11)声門は目の中心のごとく、元のままの状態であらねばならない。
12)声帯は、離れた状態で、望む音程で声門を振動させる。
13)圧縮された息[compressed breath]が、そのときこの振動にその内在する力を与える。
14)声を出し始める為のエネルギーは、声帯自体の離れようとする動きによってもたらせられなければならない。
15)そのとき全ての声は、messa di voceで、何の苦労もなく、沈黙から音が生じる。
16)あなたがその事実を理解するとき、あなたは歌唱をそれらに合わせる再調整に十分な常識を持たなくてはならない、そしてあなたは自分をごまかすことをやめるだろう。
17)あなたが正しければ、感覚と感じがあなたを導いてくれるでしょう。
18)間違っていれば、論理的理性があなたを正してくれるでしょう。
19)音声と呼吸に相関関係がないのは、声がまっすぐで、どの母音も混じりけがなく、全ての子音がコントロールされるに至っていないからです。
20)最終的には、歌唱とは、声と呼吸ではなく音と空気の融合に依存する。これは「ウルフ音(うなり)」の声、すなわち調和した上音を持たない音声を取り除く。
21)雑音とは裸の骸骨である。
22)音声とはそれ自身のハーモニーによって肉付けされたものであり、周囲の空間に存在する上音の衣をまとったものである。
23)声をスタートさせる為に、圧縮された息[compressed breath]を開放しなさい、押しても、強く引いてもいけません。
24)音声の大きさの程度は、力強く「解き放すこと“letting go”」による、開放された息の質によります。
25)この「解き放すこと」の漸次的移行gradationは、どんな方法でも決して弛緩する事のない横隔膜によってコントロールされる。

Fusing Voice and Breath   p. 47
声と呼吸の融合

1)声と呼吸が互いに融合し、全てのエネルギーがcoordinateされない限り、固定的な歌い癖を付けてはいけない。
2)声が現実性を持ちはじめたら、話をしている時と同じぐらい楽に、心と身体の全てのエネルギーを使うようになるでしょう。
3)話す事と歌う事の違いは、振動とエネルギーの継続性の違いである。
4)話している時、勢いは絶えず止められる;歌う時は、決してそうではない。
5)先行している部分を歌いながら、その後に続くフレーズを歌う準備をしなさい。6)言葉やメロディーの終わりまで待っていてはいけません、しかし、あらかじめエネルギーを集めなさい。7)その時、息を取る事が作品の継続を遮断しないこと。8)言い回しdictionが音声の流れを中断する事はないし、音程や力を調整し直す事が声の生命力を危うくさせる事もない。
9)声がフォーカスされないかぎり、発音(diction)は「口に頼る(mouthed)」。
10)言葉が唇の上にないかぎり、声のfocusは動かずじっとしていないでしょう。stay “put”
11)focusdictionは、dictionと横隔膜がそうである様に同等のものである。
12)実際のところ、diction,横隔膜、focusは不変の三角形を作る。
13)1つのものは他の2つがないと存在できない。
14)言葉の発音pronunciationは感覚によってコントロールされるものであり、努力してするものではない。
15)focusは純粋に感覚であり、努力してするものではない。
15’)横隔膜は、focusdictionの感覚に無意識に反応する。
16)全身は、この不変の三角形の進行状態を維持することに反応する。
17)努力は、歌う事の無意識の活動を無効にする。
18)頭、ノド、胸の音響効果を目覚めさせコントロールする事なしに、歌えると考える事は愚かな事である。
19)心と身体の全エネルギーをより少なくすませようとする事は、更に愚かな事である。
20)楽に歌う事とは、この全エネルギーの開放を正確に計る事である。
21)芸術はあなたの全人格に訴えかける。
22)あなたの声があなたを運ぶ時、全ての過程は逆になる。
23)声が最初に始まり、呼吸が次ぎにきて、最後にエネルギーが加わる。

Vibration   p. 49
振動

1)パワーは創造するか破壊するかだ。
2)正常な振動のエネルギーは建設的だ。
3)異常な振動をする激しさは破壊的である。
4)正常な振動は声に正しい音程、鳴りの好い音質と豊かな特性をもたらす。
5)それはdictionと横隔膜によってコントロールされた、圧縮された息[compressed breath]を必要とする。
6)異常な振動は、声がぶら下がったり上ずったり、声質が息っぽかったり詰まり気味だったり、震える特質の声をもたらす。
7)それは、dictionと横隔膜のコントロールをだめにする、ノドに無理矢理押し込まれた締まりのない息[loose breath]の結果である。
8)弓の上の松ヤニの助けの様な、声と息のバランスのとれた結合を維持する為の助けが加わる。
9)声+の振動は弦楽器の弦の様なもの。
10)息は弦にあたる。
11)この加えられた助けとは何か?
12)正常な振動。
13)松ヤニの様に、それはスリップを防ぐ。
14)エネルギーがそれを可能にするが、押したり引いたりする事ではない。
15)正常な振動は、刺激して息がそれを送り込むのを刺激する。
16)それは聴衆には聞こえない。
17)しかし歌手の頭の中では感じられる。
18)それは時々、嗄声(させい)、或は痰と間違えられる。
19)それが声に現れた時、歌唱の全課程を再教育します。何故なら、それが支配的になるからです。
20)それは、声がまるで1声区で、頂上から底まで1つのメカニズムの様に感じさせるものである。
21)動きではなく、筋肉エネルギーの刺激作用は、人に歌う事を準備させる。
22)それは、抑制を防ぐ。
23)いかに感じるかと言う記憶は、あなたの唯一の方法を作り出す。
24)声はいつも同じ場所で感じられるのにくらべ、focusは声を作る為に開放される呼吸エネルギーによって、異なる割合のエネルギーを持つ。
25)声とは、振動の自然な現象であって、恣意的なものではない。
26)それはいつでも「興味をかき立てられたり」、「削がれたり」することが出来る、まるで電燈の様に。
27)「パワー」を引き出したり、コントロールしたりする事は、歌手の義務である。
28)全ての言語音や音程はボタンである。
29)声の「運ぶ」力、圧縮された息[compressed breath]に本来備わっているものと同じである。
30)振動と呼吸両者の強度は、大きな音声を出す為と同様に、小さな音声の為でもある。
31)小さな音声を出す場合、例え共鳴が減少し、息を抑制したとしても、声は生き生きとしたままである。
32)大きな音声の為に、共鳴が増え、より多くのブレスが放出されるが、振動の規則正しさを危うくする事はない。
33)呼吸エネルギーを使うよりも、息を抑制する方がより多くの筋肉を使う。
34)故に、小さな声で歌う事は、大きな声よりもより難しいので、最後に学ぶべきである。
35)この伝達力なしで決して声を使ってはならない。
36)The spinning vibration回転振動は、音程とパワーに注意すること。
37)言葉の音声the sound of the wordは、共鳴と音色をコントロールする。
38)Co-ordinated breathing 連繫された呼吸作用はエネルギーを供給する。
39)注意してみなければならない2つの事は、音声のfocusと呼吸作用のコントロールである。
40)Dictionはこれら2つの結果である。
41)ヴァイオリニストが弓で弦をたたくのを見て驚きませんか?
42)さて、師匠が生徒に、声をアタックしろと主張する時、あなたは歌唱芸術の衰退を不思議に思いませんか?
43)the stroke of the glottal 声門打撃を用いる全ての声は急速に衰退する。44)ナチュラルシンガー(天然歌手)はその為に滅びました。
45)声は、ドラムでもフルートでもない、全エネルギーを使って演奏する楽器です。46)呼吸の力は弓である;筋肉はそれを導く。46)胴体が手で、横隔膜は指である。

Faults and Stand-Stills   p. 52
欠点と停滞

1)完全な発声器官は滅多にない。
2)ノドと身体のほとんどは調整不十分。
3)そのいくつかは生まれつき、他は有害な練習、そして、心と身体の悪い習慣の為。
4)多くの人たちが良くなることが出来ます。全ての人が助かるかもしれません。
5)生理的な不適合を再調整するよりも、心理的な固定観念を克服する方が難しい。
6)肉体的、心理的、両方の過程が間違っている場合、それらを正すのは長く時間のかかる仕事になるでしょう。
7)失敗しても決して落胆してはいけません、その失敗が、いずれは修正されるかもしれない欠点をいつも明らかにしてくれるからです。
8)落胆する事も、立ち往生する必要もありません。
9)我々は早く進み過ぎたので「行き詰まっている”stale”」と忠告するだけです。
10)勇気は誤りを克服する。忍耐は、停滞を取り除きます。
11)欠点のある習慣は、一般に守りの衝動の原因になる事があります。
12)歌唱に於いて、癖はやめる事だけでは正す事は滅多にできません。
13)悪い習慣の原因は通常、身体のどこか別の場所に見出され、その場所では、本来の務めが果たされていないか、或は、相反する活動がなされています。
14)身体のその部分が、他の全ての部分と調和して協力するとき、抵抗の必要性は消えて、悪い習慣はなくなる。
15)あなたは、大方の問題点を見抜くことが出来ます、もし、考え方とやり方を逆にすれば。その時あなたの注意を免れるものは何もない。
16)大方の誤りは、考えや行動が混乱する事が原因である。
17)響きsoundとなる波動pulsationは、音声を明るくlightする振動vibrationの様に微妙である。
18)両方とも触ることが出来ない。
19)更に、サウンドと明るさはコントロールされるかもしれない。
20)All tone are “closed” until “opened.” 全ての音声は「開けられる」までは「閉じられる」。
21)音声を「開ける”opens”」とき、振動の「集中”focus”」は、変化しない。
22)声が「白く”white”」なり過ぎたら、「閉じた”closed”」音色に戻る事は不可能です。
23)暗い響きthe darker resonanceを失わずに、唇に言葉や音声を持ってくる事は、絶対に必要な事である。
24)胸を開かないで呼吸する事は、絶対必要な事である。
25)圧縮された空気[compressed air]で、十分な量まで満たされた肺を維持することは、絶対必要な事である。
26)頭からウエストまでを「空洞“hollownwss”」として絶えず感じている事は、絶対に必要な事である。
27)ウエストから骨盤までを「充実した”solid”」状態にとどめる事は、絶対に必要な事である。
28)全ての筋肉が、硬直する事なく、緊張性を維持する事は、絶対に必要な事である。
29)声が思わず、次ぎにくる音程に引きつけられる様になったら、あなたは歌うことが出来る。
30)本能的に、身体と心は音程に達しようとする要求に、又、音程を支えようとする要求に反応する。
31)声が「正しい音程”in tune”」であるとき、声は「置かれている”placed”」、そして、歌おうとする衝動に内在する音楽的な情緒によってコントロールされている。呼吸も又、この衝動によって動かされている。
32)局部的な努力に頼る習慣は、連繫作業co-ordinationの実現によってのみ克服することが出来るのであって、上で述べた努力を止める事によってではない。
33)柔軟性のある共鳴感覚を頭部に感じられる様になれば、あなたは偉大な歌手である。
34)歌う前に共鳴(母音)の「感覚”feel”」を先取りする事、そして、休符の間と歌った後に、その感覚を保つ事は、失われてしまった歌の黄金時代の技巧である。
35)今日、歌手は、何をしようとしているのかをほとんど認識していない、そして、それをした後でいつも後悔する。
36)音声が、頭部の骨と筋肉に感じられるときにのみ、声に力を与える、圧縮された息[compressd breath]を作る為に、身体の全ての部分からエネルギーがわき上がるでしょう。
37)音楽家に取って、主音を識別する事と、それらが半音階的に変化するのを知る事は良い事だ。
38)これは歌手に取っては絶対条件である。
39)「移動ド」は、この知識に達する為の確実な方法である。
40)頭蓋骨の中心での声の焦点focusから、下腹部のコントロールまでの垂直の振動の感覚は、左右の声帯と、身体の両サイドが、「同時性を持って”synchronizing”」、強調して機能している印である。

“Crooked Singing”   p. 55
曲がった歌唱

1)身体の両サイドが、均一に活動する時、生気に満ちた歌instinctive singingが可能になる。
2)もし、生気に満ちた歌instinctive singingが、ノドの両サイドの強調し合う活動(同時性を持つ、声帯の活動synchronizing)と同時に起こるなら、音声の焦点focusは自然に起こる。
3)実際、この2つの側面のバランスを取る事は、実際の練習や勉強の主要な成果である。
4)非常に数少ない声だけが生まれつき、この完全な調節を持っています。何故なら、通常、身体はどちらか一方が弱いものです。
5)この弱い側面は、強化されなければなりません。
6)「一方に偏った”on sided”」歌唱は、不快uglyで酔っぱらったruined voice声の主な原因である。
7)時間をかけて、正しい練習をすれば、声は強化されるでしょう。
8)もちろん、先天的なゆがみが原因の場合、曲がった音声は仕方がないでしょう。
9)たとえ、声の開始がハミングの様に思え、頭の骨組織の中のある場所に音声を感じたとしても、身体が本能的に息を圧縮compressし、コントロールする様になるまでは、フォーカスの感覚を主張しても無駄である。
10)声が開始すると感じる箇所は、「ng」の振動が置かれる場所である。⇔ [ng]の場所で声を始めなさい。
11)高い音声、低い音声、全ての音声は、同じ場所で始める様に感じるので、声は、3つの共鳴ではなく1つの声区を持っていると言われる。※the voice is said to have one register but three resonances.
Lampertiのregistrationの見解は? registerについての言及は少ないが、他の章を読み直してみる必要あり。
12)音程は、ハーモニーに関係させるべきであり、メロディーにではない。
13)何故なら、ハーモニー感覚は、メロディー感覚よりも基本的であるから。
14)半音階的なパッセージであっても、基本的なハーモニーに含まれた「経過音」ではない音は、調整の正確さをキープする。
15)全音、半音は理論上のものに過ぎない、そして、楽器に合わせると間違える。
16)声は、「平均率」のピアノ以上に調理しなければならない、それは(平均率のピアノ)改ざんされていると言える。
17)声は、主観的な主観的なプロセス(作業)である。
18)言葉と音声は、唇で生まれる。
19)部屋の残響は、頭や胸での振動や共鳴の増幅された反響以外のものである。
20)故に、唇から発した子音と母音が、頭蓋骨と肺を通じて声の感覚を生み出すまでは、あなたは歌えない。
21)芸術性は、dictionと、その結果として生じる声の感覚(内側の)が、明瞭で、且つ効率的であるほど、偉大なものとなる。

Un-Seen, Un -Felt Energy of the Voice   p. 58
見えない、感じられない声のエネルギー

1)目に見えない、感じられないエネルギーが歌唱行為である。
2)このエネルギーを事前にためて保持する、言葉と音声があなたから湧き出るまで。
3)それは本能的な操作である。
4)言葉と音声は沈黙から密かにそして着実に現れる、エネルギーの正常な流れを邪魔しないように。
5)聞こえる音声の最初と最後は、気付かれないほどの微妙ではあるが生き生きとした様子で始め、又、終わらなければならない。これも又、本能的なものである。
6)頭部の粘膜と骨、ノドと胸に言葉の振動vibrationと音声の響きresonanceを感じなさい。
7)結局、それらを生み出す、見えない感じないエネルギーを身体に集中させる事は、言葉と音声のヴァイブレーションと共鳴の強烈な感覚を体験したいと言う欲求である。
8)決して歌うことからdictionを分離してはならない、考えるまでもない事だ。not even in thought
9)それぞれの言葉は、個々の特性を持っている。
10)どの音声も、その特別な感覚を持っている。
11)これらの事はよく理解され容認されるべきである。
12)言葉の響きsound of wordsと音声の音程pitch of toneを良く理解するまで、言葉と音楽を勉強しなければなりません。
13)言葉の響きと音程に対応する、見えない、感じないエネルギーを生み出す為に、身体は鍛え、準備しなければならない。
14)シンボルを見つけなさい。全ての努力を導き、統一するイメージ、あるいは考えを。
15)私の最も助けになったアイデアは、継続continuityである。
16)どのような音声(大きくても小さくても)でも、生き生きとして、次ぎにくる音が「燃え上がる”ignite”」ほど激しくなくてはならない、例え、間の休符が入ろうとも。
17)もう一つの幻想は、「もう一人の自己”my other self”」(第六感a sixth sense)である。それは少し離れたところから、何を、何時、どのように、を教えてくれる。
18)それは、調整された心の集中力と身体の協力的な活動をもたらす。
19)他人が私の事を見たり聞いたりする様に、私が自分自身を見たり聞いたりしている様に思える。
20)骨盤部でコントロールされた、圧縮された息compressed breathによって、力を補給された喉頭内の正常な振動で歌っている限り、あなたの声は頭蓋骨の中でfocusし続けるでしょう。
21)言葉と自然な呼吸が声を作り上げる。
22)精神的、肉体的訓練がエネルギーを開発する。
23)音楽的、詩的イマジネーションが、声とエネルギーと音程とリズムを、あなたの発声器官organにむすびつける。
24)あなたの感情的な自然が、この最も荘厳な楽器を演奏する。

Chiaroscuro”   p. 61
明暗法

1)母音の全てを含む複合された母音のような声の共鳴が存在します。
2)声の反響は、頭、ノド、そして(低音に於いて)胸を満たす弾力性のある固まりとして感じられます。
3)この合成された音が頭蓋骨の中でfocusされているとき、唇によってどのような形にも、又、1つの母音から別の母音に変える事も、自由自在に口を開閉する事も可能である。
4)全ての声区を結びつける「暗い−明るい音”dark-light”tone」は、口を開ける、或は、閉じる事で歌うことが出来る。
5)それは、頭の頂点からウエストの真ん中までの全ての筋肉のコントロールを必要とします。
6)頭の中でfocusされた音声を持続させる事は、ウエストから骨盤までの繋がれたエネルギーに依存します。
7)換言すると、「頭から足まで」使って歌うということです。
8)その時、声帯は押したり、引いたりする事なく、この”chiaroscuro”の音声を調整します。
9)この理想的なco-ordinationを何の不安もなく吸入inhaleすることが出来たら、あなたは偉大な芸術家です。
10)心と頭が結びついた結果自己認識が生まれる。
11)大きな声で歌う事は、開放である;小さな声で歌う事は、それの実行にふさわしい量co-ordinately gaugedの、肺の中に満たされた圧縮された息compressed breathの中の閉じ込められたエネルギーを抑制する事です。
12)調整されたコントロールco-ordinate controlを行う最も大きな動機は、あなたが完全に承知している、歌詞とリズムと音程でやる方法を実行したいと言う、非常に強い願望である。
13)言葉、リズム、声に対する配慮の背後に、エネルギーを強化しようとする努力の後ろ側に、本質的な力がある。
14)なぜ、それらの力を使わないのか、組織化しないのか、遅れをとらない様にしないのか?
15)「山を動かす」ほどの力があなたの根源的な本性の中に存在する。
16)これが引き出されたとき、あなたの声は、形を与えられたそれ自身の力を獲得する。その力は、身体と心によって与えられるにもかかわらず、両者からは独立している。
17)その時、あなたの口から、以前には思いもよらなかった驚く様な音声やハーモニーが、放射される。
18)あなたの身体の中の共鳴室と、あなたが歌っている部屋の音響を良く知る様にならなければならない。
19)あなたの共鳴室と、歌っている部屋の音響に気付く、アクションとリアクションの感覚を感じなければならない。
20)歌唱とは、あなた自身の経験と知識の傾向と歌唱とが関係し合う事によってのみ可能になる。
21)歌うとき、精神的なものと肉体的なものとが互いに結び合わされる。
22)肉体的な力を組織化しなさい。
23)精神的なプロセスを組織化しなさい。
24)客観的な効率とは、メカニカルなインパクト、技術的な衝撃力である。
25)歌唱の実際的な法則を知る事は、技術的な衝撃力をコントロールする事である。
26)歌唱の知識が本当に理解され、不可欠のものとなった時、それに伴う必要不可欠な活動を発展させる。
27)歌唱とは、相対立する動き、それらの間にある均整のとれたバランスによって成し遂げられる。
28)これは、休息や固定、さらには弛緩の印象を与え、紛らわしくさせる。
29)歌声は、実は、敵対する主役の衝突から生まれる、それは平衡を保とうとする相反する力の緊張である。
30)「確かな事の為に不確かな事をする、本当の事の為に間違った事をするとは、なんと馬鹿げた事であろうか!」キケロ
31)「それは、私たちがすべて価値があることが分かったと思った後、学習するものです、」とAbe Martin は言います。
32)あなたの歌詞とメロディーとテンポを知るまでは、根源的な自己は遠く離れたままである。
33)その時、采配を振るうのは真の歌手である。
34)勿論、肺を「楽にする”ease”」のと同じ様に、声門に波動を与える為に、息が漏れる事は必要である。
35)もしそうする事で肺がつぶれたら、歌唱は効果のないものになるだろでしょう。
36)これが起きるのは、空気が胸にしまりなく(圧縮されるcompressed代わりに)吸い込まれ、その後、声を支える為の力を空気に与えようとして息を押し出す時である。
37)圧縮された空気compressed airに内在するエネルギーが、ノドに振動を供給するときにのみ、漏れ出る息が声に変化します。
38)その時、肺は決してつぶれない、そして声は決して衰えない。

Compressed Breath   p.64
圧縮された息

1)フレーズのすべての細部、すべての音程を調整し、さらに最初から最後まで維持するのに十分な息のエネルギーを持っていれば、歌うことができます。
2)ルーズな息の吐き方をすると、たとえ肺の中に十分な息が入っていたとしても、役に立たないばかりか有害ですらある。それは、局部的に負担がかかり、不規則な振動とエネルギーの分散を招いてしまう。
3)圧縮された息[compressed breath]は連携作業co-ordinationを成し遂げる。それはただ導かれるだけで、控えめです。
4)その内在する力は、声帯によって作られた効果をすべて供給します。それは、声の形poseを壊さない。
5)ノドが、話しているときと同じように、自然に「開く」ようになる。
6)それは、息っぽい声も、詰めた声も取り除く。
7)それは一つの声質だけを求めるのではなく、全ての音色、最も暗いものから最も明るいものまで、また、全ての音高、最高音から最低音までを自由に操ります。
8)圧縮された息[compeessed breath]は、デクラメーションで作られた全ての効果を可能にします、もし、同じ効果が“メトード”にならないのであれば。
10)実際、息が圧縮されていれば、ステレオタイプの歌は歌えません。
11)「アタック」、「口の形」、「舌のコントロール」、「声の置き所」、「固定された胸」、ここやあそこのリラックス、身体のあらゆる部分の引き締め、等々のことはなにもしなくても、実際のところ、本能的な発声は、全てのことを成し遂げます。
12)自発的なスピーチや歌は、声を出し始めるために、口の中の息だけを使うように思われます、そしてその後で、「それを続け」ようと、喉と全身は、頭と結びつけられます。
13)その時でさえ、かろうじて心臓の鼓動を満たす程度の呼吸をしているだけのように思われるでしょう。
14)これを、ほんの少しずつ、曲の中で、声帯の振動以外のあらゆる活動を阻止することなく、できるだけ何度もやります。
15)全ての声をフォーカスして始めるには、エネルギーによって力強く充電されなければならないので、導き、抑制する「手”hand”」(横隔膜)が必要である。
16)この自動作用の「アタック」が、コントロールされたエネルギーに満たされた時にのみ、頭に、それを(focussed tone)を感じられる。
17)勿論、声の中のこのエネルギーは、呼吸エネルギーに依存するのであって、喉の活動によるものではない。 18)後者は、簡単に言うと、音を「合わせる”tunes”」ことです。
19)息を押したり、声を引いたりして、音程を調整しようとする衝動が強く存在します。
20)両者とも、バランスを壊してしまうほど、非常に乱暴なことです。
21)その時、喉の「チューニング」は,妨げられます。
22)もし、「耳の訓練」や音楽の知識の不足から、声の「チューニング」が下手ならば、歌は滑稽なものになります。
23)不思議なことですが、喉はその上で起こること、つまり、言葉、振動、共鳴を通じて頭の音響効果によってコントロールされる。
24)さらに不思議なことは、肺は、その下にある筋肉システム、ウエスト、腹部、骨盤によって支配されている、という実感です。
25)頭部と骨盤は不思議なことに、それらの間にある全ての活動が連携することによって結びつけられる。
26)考え、工夫して声を発すると同時に、振動と呼吸の自然の法則に従っているならば、失敗することはないでしょう。
27)唾液の流れは、正しい発声の印です。
28)渇いた口や喉は、間違った声の使い方を示しています。
29)一連の言葉と歌のフレーズを互いに、一つの途切れのない全体として作る力は、真の歌手の印である。
30)一つの操作をしながら、一つの刺激のもとで、呼吸作用と歌唱行為の全ての活動を関連させるための分別は、真の芸術家であることを示しています。
31)今歌っている音の跳躍spinningが終わる前に、心の中で次に来る音をとらえておかなければなりません。
32)心の中では、沈黙は存在しません。一つの音を歌っているか、その音と次の音の間の音程を跳躍しているかのどちらかです。
33)これは、振動とエネルギーの継続の法則です。
34)この法則に従うために、肉体と精神は常に活動していますが、動きは非常に小さなものです。
35)それは、あたかも、綱渡りの綱の上でバランスをとる動作のようです。

“Attack”   p. 67
アッタック;音の出だし

1)音声の始まり(”アタック”は誤った呼び方)は、筋肉刺激を与えたり、肉体的な努力を加えることなく、頭蓋骨の中心(sphenoidal sinus蝶形骨洞)で、振動がfocusし始める時にのみ実施される。
2)それは、「自立的”free-ing”」であって、「当てること”hitting”」ではない。声は、喉ではなく、頭から出ているように思える。
3)”dark-light”tone明暗音は、この真ん中の開始を要求します。
4)それは、発声のために解放された圧縮された息 [compressed breath]のエネルギーに応じて強さの全ての段階がある。
5)この息のクッションthis cushion of breath※(compressed breathを息のクッションと同じものとして述べていることに注意)は、決して使い果たされてはならず、あらゆる機会に新しくされなければならない。
6)この振動の始まりが、歌手の頭の中に元々備わっている時、それぞれの高音は、筋肉を押すことなく、さらに適切なエネルギーでその音程を引き出す:低い音声は、高い音声の強度を保ちながらエネルギーを弛緩させることなくその音程を見いだす。
7)強い振動だけが、この蝶形骨のfocusを起こす。
8)共鳴とは、その声の声区に従って、focusから唇、のど、胸部への、これらの振動の流れに過ぎない。
9)歌うことへの本質的願望が芸術である。
10)聞くもの、理解するものによって、成長は刺激される。
11)結果に対して不安を持つことなく、忠実に日々の練習を実行すれば、終わりには自分自身満足できるようになるでしょう。
12)あなたは、進歩の段階にないところで立ち止まり、習慣化しないことを定着させ、差異化がないことに満足し、成功しないことに歓喜しなければならない。
13)歌唱の全ての項目は、結局、一人の命令者であり、歌の根源であるエモーションの元に組織される。

Focus   p. 69
フォーカス;焦点

1)声のfocusとは、ただ、不規則な振動と、乱暴なエネルギーがないことである。
2)それは、うっ積した〈pent-up〉息の力(※=compressed breathの力)の解放によって作られた、声の出だしに依存する。
3)それは、たとえ喉が原因で起こるとしても、頭の中に感じられる。
4)それは、有声子音の使用と工夫を通じて発達させられる。
5)それは、無声子音によって破壊される、もしフォーカスされた母音が、これらの音に続かないならば。
6)フォーカスされた母音は、コントロールが最も難しい。
7)なぜなら過度の努力をすることもなく、振動のため以外の空気を漏らすこともなく、針穴のように始め、共鳴を十分に広げ、そして、静かに消えてゆくようにしなければならない。
8)声帯が「アタック」のために互いに「打ち」合っているなら、それは有害である。
9)声のfocusはこれらの「声唇”vocal lips”」を離すことによって始められる。
10)それらは、「強打する”whack”」の代わりに、「ピシャッと打つ”smack”」
11)音声のfocusは、太陽に当てられたレンズの集束光のようなものである。この”point”は非常に強いので、それが達するところはどこでも感じられる。
12)声門は「レンズ」である。
13)圧縮された息のエネルギーは「太陽」である。
14)リラクゼーションも硬直も、どちらも声門のフォーカスする力を破壊する。
15)ルーズな呼吸loose breathは振動となる光線を供給しなくなる。
16)このfocusの感覚は、声の、主要な客観的なガイドになる。
17)音声の「ポイント”point”」に「触れること”touch”」を感じたいという要求は、呼吸の、客観的なガイドになる。
18)頭蓋骨の真ん中の、声のフォーカスされたポイントfocussing pointの意識は、変化せずに永続するので、声を出していないときや歌っているとき、絶えずそこに存在する。
19)focusの意識は、押すことも、引くことも必要としない。
20)言葉は、声のフォーカスされた振動に、それらの色をつける色合いでしかない。
21)「良いディクション”good diction”」が「良い発声”good tone production”」の敵であるならば、あなたは間違った道にいる。
22)発音している言葉が喉を「閉める」のなら、呼吸を疑いなさい。
23)言葉の響きにあった息を吐くこと、制止することを習得したら、喉は決して間違った作動はしなくなる。
24)進歩が早いか遅いかは、3つの基本である発音pronunciation,振動vibration,呼吸エネルギーbeath energyなどに対する理解力、また、それらを連携coordinateし、コントロールする反応の実感によって左右される。
25)発音が適切かどうかを理解するのは、唇の感覚(むず痒さ)によって。
26)振動がコントロールされているかを認識するのは、頭蓋骨の感覚(電気的)によって。
27)呼吸エネルギーが力強く働いているのを感じるのは、全身の興奮状態(感覚的)によって。
28)喉頭室ventricules(喉頭内の)健康状態、正常性、大きさ、相似性、又、発生時に於ける動きの同時性は、歌手にとって普遍的に重要である。
29)カタル性状態、奇形、矮小、又、異形は歌手に障害をもたらす、そして同調化の欠如は、全ての努力を無効にする。
30)芸術的歌唱を生み出す、心と体における反応をいかに呼び起こすかを発見し学ばなければならない。そして、それらを演奏にどう組み込むかを知らねばならない。
31)これを行うのは、解釈上の知識、音楽と詩の美しさの認識、そして、この美しさを人々に伝えたいと言う欲求を通じてである。
32)列車の発車時の動きのように、声の出だしは気づかれないように始めなければならない。
33)両者ともこのようにうまく振る舞わなくてはならない。
34)声(や列車)の止まり方も、また、気づかれないほどのものである、うまく実行すれば。
35)歌い始め(と、歌い終わった後)の背後に無限の力が、エンジンの中になければならない。
36)口を開けて歌い始めるのと同じように、閉じて始めることができれば、歌うことができる。
37)声がハミングのような同じ響きを持続させ、唇の間隔が離れた後でも、開く前のように感じられるのなら、あなたは歌うことができる。
38)この調整(ハミングの共鳴の声)の感覚を消さないで、息を吸うことができれば、あなたは歌える。
39)押すことも、引くこともしないで、ただ、声に内在するエネルギーと、体の中の感覚的な反応で歌おうとすれば、あなたは歌える。

Sinuses   p. 72

1)頭や頬骨の中の様々な洞は、振動を「与える”shed”」、もし、最初の音声(声門の波動、※喉頭原音)が、それらを(※洞らを)反響させるほど強ければ。
2)これらの洞に声を吹き込むことも、それから引き出すこともできない。
3)これらの室の響きは持って生まれたものに、又、喉の源音の純度と強度に依存し、声を「置く”place”」ための努力には依存しない。
4)声帯は、それらの波動に力を供給する圧縮された息[compressed breath]の力なくしては無力である。それ故、肺は崩れてはならない。

“Voice-Placing”   p. 73
「声を置く」

1)「PLACED」voice 置かれた声は、顔面,又頭頂部に、そして咽頭やノドの深いところ、又、低音での胸、等々に感じられる。
2)音波の同様の感覚は、一定の音程で喋るときには滅多に感じないが、「抑揚」によって、音程が上がったり下がったりするときによく感じられる。
3)頭、鼻、口、喉、と胸の「プレイスメント」感覚の記憶は、コントロール媒体である。
4)天然歌手は,支障なく「配置されたposed」声維持することができる、何故なら、全身がそれを可能にする為に反応するからだ。 the posed voice=placed voice
5) その他の人々は感じ取る技術を通じて「天然歌手」以上に熟達した発声とコーディネーションを習得する。
6)「voice placing」と言う用語は、間違った言い方である。
7)「Voice-finding」が、より適切な表現である。
8)頭、口、胸での共鳴、と頭蓋骨の腔の鳴りが、声の美しさの構成要素としても、それらはただ喉の源音を開花させる事にすぎない。
9) この最初の振動が話している時の様に本能的に発声され、更により強い強度を持つならば(圧縮された息[compressed breath]によって可能となる)共鳴した歌声の美しさは必ず現れる。
10)頭、口、そして胸の腔での共鳴と響きの感覚は、喉に於ける正しく効率的な振動、と息のエネルギーの適切なコントロールの唯一の証拠である。
11)歌手の口は、最終的に口の後方で、声、息、と身体の全てをコントロールいている様に感じる。
12)コーディネーションco-ordinationが、唇、指先、足先に感じる様になるまで、歌唱はまだまだ不確実なものである。
13)唇でのほんの僅かなささやきは、身体と一体となったエネルギーの完全な流れスイッチを入れなければならい。
14)最も大きな(或は、最も高い)音声は、最も小さく囁くように作られる、ただ、自由に解き放たれ調整されたcompressed エネルギーの豊かなながれによって。
15)調整されたcompressed エネルギーを、歌唱中、又静止中に供給し続ける事は、成功した芸術家の大いなる秘密である。
15-2)唇、指先、つま先にそれを感じるまで、研究し待たなければならない。
15-3)音声振動と生理機能の不変の法則によって支配された自然の力がこれを可能にする。
16)方法論とは、誤った思い込みであり、落とし穴である。
17)成功は、停滞と怠慢(失敗)をもたらす。
18)歌唱とは、心と動きの調整である。
19)技能は終わりのない登攀である。
20)声のアタックは、最初は、声帯を振動させ始める圧縮した息[compressed breath]の漏れであり、後には、音声に変換しない空気を排出しない事である、そして圧縮されていない息を肺の中に入れてはならない。
21)それによって、呼吸を発達させ、コントロールする事が必要である、一方、肺に内在する力以外の筋肉の努力は、声を作られる為に使われる。
22)歌唱と呼吸の相互反応は、歌手を過度の、或は部分的な努力から解放してくれる。
23)これは、絶えず、声を「マスク」同様に、咽頭腔と頭に見出す様にしむけ、キアロスクーロを生み出す。
24)喉を締め付けずに、音声によってブレスせよ。
25)固くする事なく、息を圧縮compress breathせよ。
26)乱暴にならないで、声を置きplaceなさい。
27)音声のエネルギーと息のエネレギーはバランスを取らなければならない。
28)初めの振動が喉で起きようとも、音声は頭部で振動している様に思われ、又感じられる。
29)継続性と連繫作業は、努力ではなく自らコントロールする必要性がある。
30)自ら作り出された音声/self producing toneはゆっくりと始まりそして終わる、一方アタックされた音声は、”kick-off”と堅い終わりを持たなくてはならない。
31)客観性だけでは落ち着かなく、ぎこちなく、そして硬直している。
32)それは、体育の為のみに用いられる。
33)主観性によって、それは、平穏で、優雅で、しなやかなものになります。
34)両方ともに、最終的な演奏には必要とされる。
35)身体のずれとゆがみをなくしなさい。
36)それらは、コーディネイトされたエネルギーを妨げる。
37)イマジネーションは、言葉、正しい音程、そしてリズムの前触れとなる。
38)感情は、テキスト、音調、テンポを形作り、色合いを付け、そして拍子をあわせる。
39)歌唱の困難さは、3つの方向からくる;無教養な耳、鍛えていない筋肉、そして未訓練の呼吸法。
40)美術の学生にとっての線は、歌の生徒にとってメロディーである。
41)芸術家の絵にとっての価値は、歌手の歌にとっては、ハーモニーである。

Bloom and Song   p. 77
花と歌

1)バラの根は、幹から大地に降りてゆく、一方、同じ幹から枝は大気の中へと伸び花を咲かせる。
2)ウエストから、息の根は腹部に降りてゆき、一方、同じ場所から、息の枝は上昇し、そして歌になる。
3)花々は太陽に向かって開花する。
4)声は、大気に向かって放たれる。
5)木が育ち花咲くのには、時間がかかる。
6)声が開かれ、歌になるには、何年もかかる。
7)花々は、自ら開花するように思える。
8)声は自ずと出てくるように思える。
9)咲こうとする思いは気を育てる。
10)歌おうとする欲求は、体を発達させる。
11)木は、つぼみと、花を待たなければならない。
12)声は、言葉と音を待たなければならない。
13)花の成長力は、木の成長力からきている。
14)声のエネルギーは、体のエネルギーからきている。
15)自然の法則は、花咲く木をコントロールする。
16)生理学的法則は、歌う体をコントロールする。
17)歌の最初の音声は、自然発生的燃焼のように始めなければならない;マッチを擦るようにではなく。
18)次の音声の予想は、その音程を発火igniteさせるために跳躍する炎である。
19)これはメロディーラインをはっきりさせる。
20)その時、声はそれ自体の振動に支えられる。
21)炎は離れた音程を跳躍するための燃焼エネルギーを持たなければなりません。
22)燃焼エネルギーは、整合的にco-ordinately 管理された、圧縮された息[compressed breath]によってもたらされる。
23)虹彩が光の振動を自動的に調節するように、喉頭蓋(epiglottis)は、声の振動に合わせて動く。
24)この軟骨性筋肉は、音声を開くためにあげられ、音声を閉じるために下ろされる。
25)(この喉頭蓋は、”Sunday throat”の扉である。)
26)歌い始める前に、歌が、あなたを「占有”take possession of you”」しないのであれば、主観的にそれを歌う準備ができていない。
27)進歩するに従って、歌が楽になっていかなければ、客観的に、それを歌う能力がない。
28)細胞の理解cell intelligence(体を通じての神経と筋肉の感覚)と、原子的極小の力(全身に広がり、co-ordinateされたエネルギーを生み出す反作用)は、歌唱において2つの主な要素である。
29)他の全ては「肉体鍛錬”gymnasticating”」である。
30)歌は、言葉から言葉に、フレーズからフレーズに進むに従って、感情とエネルギーの強さを集めなければならない。
31)それぞれの次に続く音節によって、声のより高い質と、息のより低いコントロールを呼び起こさなければならない。
32)フレーズの最後の言葉は、最初のものより、より強くあらねばならない。
33)歌が終わっても、幕が下り、観客が去るまで感覚と反応は続く。
34)歌を美しくするものは、声の本来の質であり、sputterringsパチパチ、ぶつぶつ,gaspingsあえぎ声,hiccoughingsしゃっくり,gruntingsうなり声,wheezingsゼイゼイ声,rattlingsがらがら声,smearings不鮮明な声, tremblings震え声,scoopingsズリ上げ, slidings滑り,sobbingsむせび泣く,cacklingsガーガー声,raspingsがりがり、ざりざり声,bellowings吠え声,etc.などではない。
35)それを作るために準備する反作用を自覚するまで、発声意図の効果は確信できない。
36)それ故、主観的、客観的な力のチームワークが必要である。
37)「ナチュラルヴォイス」は「音楽的に良い耳」を示している。
38)dictionの明瞭さ、振動の強度、言葉の共鳴、声量、それと、歌うことの楽しさなどによってのみ喉が機能する方法を知ることができる。
39)これら全てを実現しようとする欲求、そして、それらをコントロールする成果は、呼吸と全人格のエネルギーを鍛え上げる。
40)頭、首、上胸部の恒常的な浮力は自由な発声と、よきdictionのために欠かせないものである。
41)これを「固定されたハイ・チェスト」と呼ばれているが、それは誤った命名である。
42)それについては、筋肉とは関しないし、固定したものでもない。
43)良い発音をしようとする、又、声量を加えようとする欲求がそうさせるのだ。それは体の位置を変化させない。

The Making of a Singing Artist   p. 82
歌唱芸術家の作り方

1)声門打撃のために息を押しつけるのではなく、声帯振動を始めるために、連携されたエネルギーを解放することで音声を出し始めれば、君は歌える。

2)反発する喉に強引に残りの息を押しつけるのではなく、声帯振動を持続させるために連携されたエネルギーをさらに解放することで音声を長く伸ばせば、君は歌える。
3)連携された筋肉組織の緊張性をなくすことなく、声帯振動の停止によって音声を止めれば、君は歌える。
4)顔をゆがめたり、口を大きく動かしたりすることなく、声帯振動が、頭、口、胸の中の全共鳴に点火すれば、君は歌える。
5)腹話術の効果を狙ったり、あなた自身や他人の声を真似たりすることは、滑稽で馬鹿げており、しかも有害である。
6)本能的で完結した、身体全体のコーディネートされた反応がなければならない。
7)これが起きなければ、喉は、この助けがないために過剰な負担を強いられる。結果的に、それ本来の務め—振動と音程を与え、発音を助ける—おろそかになる。
8)言葉と音声を開始し、維持し、終えるために、エネルギーは、肺からだけではなく、身体の全ての部分、そしてあらゆる方向から声に向かって流れなければならない。
9)その時、あなたの最も弱い声から最も強い声まで、声と身体に於いてエネルギーの全ての段階をコントロールできるのなら、あなたは、偉大な歌手である。
10)このエネルギーは、呼吸の正しい訓練と、声のための勤勉な練習で獲得できる、圧縮された息[compressed breath]とフォーカスされた音声に左右される。
11)最も開いた声から最も閉じた声まで、声の明暗の全てをコントロールすれば、あなたは偉大な芸術家である。
12)この音色のコントロールは、言語の研究と、良いdictionの練習を通じて得ることができる、言葉の発音と共鳴の完全性に依存する。
13)声のエネルギーと共鳴の音色の両方をコントロールできれば、あなたは偉大な歌唱芸術家の一人です。
14)これは、想像力の感受性と感情の強さ、又self-starting自動開始、self-sustainin自動保持、self-stopping自動終始、等に依存する。
15)それは、指摘、音楽的刺激と理解を通じて、又、呼吸の力と振動エネルギーを通じて実現される。
16)それは長い道のりである。しかしそれは報われる。
17)歌声を、コントロールすることによって、感性に訴えかけるようなスリルを感じるが、それは言葉では言い表せない。
18)卓越した芸術的な歌の演奏には、魂の喜びがある。
19)芸術家とは、芸術の客観的、主観的両面に必要なものの全てを満たす者のことである。
20)才能は必要であるが、知識の代わりにはならない。
21)器用さは都合の良いものであるが、co-ordinateされたテクニックの役目ははたさない。
22)感情は一つになるが、細部を整えるための想像力が必要である。
23)エネルギーは、努力すること、になってはならない。
24)理想的な声とは、「回転”spins”」する音声で口を満たすことであり、あらゆる母音のために、それ自身(※声自身)を作り直すものであり、唇、頭、に感じられ、下を押し下げ、外陰部を押し上げ(※意味不明)さらに胸部に下ろし、実際、あらゆる隅と割れ目を満たすものである。
25)主観性だけでは、頑迷な無知に陥る。
26)客観性だけでは、几帳面な愚鈍を生み出す。
27)無意識と意識は、同じものの両端である。それらをつなげなさい。
28)無知は教育によって、愚鈍は開くことよって克服できる。
29)偉大な人格とは、思考によって行動を定めるにもかかわらず、直感的に行動する人のことである。
30)教育とは訓練すべきものであり、主観性を殺してしまうものではない。

Subconscious Power   p. 85
潜在的パワー

1)学習の客観的な期間the objective period、声帯は互いに閉じていなければならないので、声に変わるもの以外の、漏れる息は存在しない。
2)それは筋肉の作用muscular processであり、意識な開始※を必要とする。(※conscious startとはon setのことか?)
3)主観が主導権をとるときthe subjective takes command、声帯(仮声帯と真声帯の両方)は、共鳴によって喉頭室が満たされることによって、離れにくくなる。
4)それは、弁の圧気作用valvular,pneumatic processで、self starting,self sustaining,self stoppingである
5)喉頭室は、息が喉に押されている限り膨張しようとしない、たとえ声門が波動を引き起こされたとしても。
6)圧縮された息に本来備わっているエネルギーが、声帯振動を起こし始めるとき、喉頭室は本能的に音声で満たされる、そして、声唇を互いに押しつけ、接近のための努力を軽くする。
7)あらゆる意識的な努力は、間違った振動を生み出す、たとえそれが有声子音であろうと、母音であろうと。8)これは助けることができない。しかし習慣になってはいけない。
9)声は、主観的な力subjective powersが主導権をとるまで、音程も、倍音(音質)も狂っている。
10)その時だけ、あえて習慣にしてしまう。
11)それ故、あなたの芸術は、あなたの潜在的な力と同じ大きさである。
12)思考や行動に於ける一貫性の欠如は、芸術、さらに人生に於いての大きな間違いである。
※the subjective,subjective powersは何を意味しているのか?

Importance of Consonants   p. 86
子音の重要性

1)克服しなければならない現実的な2つの欠陥がある、喉と横隔膜の硬直と、その反対の、締まりのなさである。
2)有声子音の「締め付け”pinchiness”」と、有声子音が振動しなくなるほどの「気息音”breathiness”」が無くなったとき、母音は自発的に作り始めらられる。
3)これは、喉と横隔膜の相関作用によって引き起こされる、そして、それは心と体の全ての存在の連携作用を喚起する。
4)有声子音(m,n,l,b,d,etc.)の「スタート」は、母音の自発的なはじまり—そして、完全な喉のコントロールへと導く。
5)無声子音(s,t,f,p,k,etc.)を使うことによって、これらのノイズを作り出す身体の部分を機能させ、横隔膜(呼吸作用)を操作しやすくする。
6)子音の前にある母音を強引に発声すると、良いdictionを妨げ、歌声を完全にコントロールできなくなる。
7)故に、子音とそれらを改善することは、基本的にきわめて重要なことである。
8)子音「m」の鼻音性を直すのは、子音「b」を混ぜる、「鼻風邪を引いた」時のように。
9)「b」の喉にかかる音質は、「m」を混ぜると、無くなる。その時、唇が余計に振動する。
10)「n」を発音するときに「d」を意識すると「twang(※ここでは単に鼻声を意味している)」が無くなる。これも又「鼻風邪を引いた」ときのように。
11)「d」の堅さは、「n」で止めると少なくなる。
12)その時のノイズは、下の先端からくるように思われる。
13)「ng」の狭さは、「ig」を混ぜると少なくなる—”やはり鼻を詰まらせたように。
14)「ig」は「ing」によって柔らかくすると、不愉快にならない。
15)響きはその時、頭の中で始まるように思える。
16)これらの「矯正法」を「ホメオパシー」で使いなさい。でなければ、それらは良くなるよりむしろ有害なものになる。
17)良い歌唱には、声の強度を弱めないで、不自然な部分への努力を取り除くことが求められる。
18)子音の「ノイズ」は、母音の響きを発達させ、次には、純音pure toneの規則正しい振動を進化させる。
19)純音は最終的に、強さと持続力のための、それ自身(純音)の中にあるエネルギーに依存する、なぜなら、純音は人間の全体力を徴用するから。
20)喉を通り過ぎるものは無い(ただ振動させるだけ)と悟ったら、声を「運ぶ”carry”」ために押すことも引くこともしなくなるだろう。21)「運ぶ力」は、振動の規則正しさと強度に依存し、努力にでは無い。
22)筋肉の活動を教えることはできないが、そのように行うように筋肉を刺激することはできる。
23)筋肉活動をいかにして目覚めさせるかを習得することは、歌唱の主要な研究対象であり、声を「生成”produce”」したり「置く”place”」こうと試みることでは無い、それらは純粋な自然現象である。
24)筋肉がそれらの活動をコーディネイトすること、又、本来の声を供給する準備をすることを教えることができます。
25)身体の両サイドが「同時に進行”synchoronize”」しなければ、歌うための努力は無駄である。
26)「あなたが知っている真実を行いなさい、そうすれば知らなければならない真実がわかるようになるでしょう」と賢明にも言われてきた。
27)歌声は「大気の中の城」である。
28)想像力は、その設計者である。
29)神経組織は、その設計図を運ぶ。
30)筋肉は労働者。
31)魂は、それに宿る。
32)結局、歌おうとする思いは、フルブレスに気をつける、又、はっきり話すためにはハーフブレス(”thimbles full”指ぬきいっぱいの)に気をつける。。
33)たとえスパークのように声が始まったとしても、それはあなたの全エネルギーの可能性を持っている。
34)そのスパークは、あなたの声の核である。
35)腹部は強さの源である。
36)あなたが発するどのシラブルもスパークを発光させる。
37)横隔膜は音声とエネルギーの間に立つ調停者である。
38)エネルギーが生命になる不思議な瞬間は、理解を超えている。
39)振動が音声になる不思議な瞬間も又当惑させる。
40)しかし、創造はなされる。
41)発音は起こる。Phonation happens.
42)存在の根源に於いて、出来ることを知っていれば、あなたは歌える。
43)想像力が歌を形作る。
44)感情がそれに色づけをする。
45)言葉がそれに衣服を着せる。それは生きて、動き、その存在を持つ。
46)声は、5度かオクターブが、それとともに響くときにのみ、音程(音質)は本物である。
47)オクターブは、開いた音声(母音ah,eh,aw)で、優位を占める。
48)5度は、閉じた音声(母音ee,oo,oh)で、より目立つ。

Muscles   p. 90
筋肉

1)ウエストから上の全ての筋肉は、共鳴のために忙しく働かなくてはならない。
2)ウエストの下の全ての筋肉は、開始と停止、それと振動の強さをコントロールします。
3)音程は喉の中で決定され、コントロールされる、意識的な努力とは、無関係である。
4)声帯がそれをやる。筋肉の想像力がそれをコントロールする。
5)音声のフォーカスは、頭蓋骨の骨組織の中で、意識的にはじまり、持続する。触れる感覚でそれがよくわかる。
6)肺は、身体を締め付けることで生ずる圧縮された息のクッションにすぎない。コーディネイトされた筋肉は、この閉じ込められたエネルギーを声の必要に応じて本能的に解放する。
7)固定的な吸気の取り方は歌手をだめにする。それぞれのフレーズは「それにふさわしい息をとらなければならない。」
8)意識的な音声の”placing”は声を阻害する。それぞれの発声は「それ自身の場所をみいだ」さなければならない。」
9)音程の正確さとは、規則正しい振動法則の作用に過ぎない、筋肉の作用ではない。
10)それは骨盤でコントロールされる。
11)共鳴とは放射の法則による作用に過ぎない、筋肉の作用ではない。
12)それは唇でコントロールされる。
13)音声と息は、声の中に倍音のハーモニーが現れて初めて「バランスを保つ」、筋肉の努力や、「声を置く」ことによるのではない。
14)その時、音声は、コントロールされた息のあらゆる推進力によて変えられる。
15)”フォーカス”は一点に集められた振動の放射線(喉の中で作られる)が突き当たる頭蓋骨の場所である。
16)”フォーカス”と音程は、たとえ身体で作られ、身体でコントロールされるとしても、結局、それらは無関係のように思える。
17)堅く取り付けられたフォーカスから、共鳴壁の間を縫うように進む振動の放射線を貼り付けなさい。
18)骨盤あたりからエネルギーをわき上がらせなさい、そのエネルギーはこの泡のような音声の足下をつかみ、実際に生きたもののように作り上げる。
19)フォーカスを下降する音型でキープしなさい、「興奮しやすい」馬になったように。
20)フォーカスを上昇するフレーズで声を引っ張り上げなさい、母親の胸にいる赤ん坊のように。
21)支えられた音声は、その振動を「回転”spin”」させるために両方の反応を同じ程度用いる。
22)トリルは宇宙にある双子の惑星のように思われる。
23)のどの機能は振動を生み出すことであり、音声を保つことではない。
24)振動は、圧縮された息によって蓄積されたエネルギーを「利用」する、音声はその結果である。
25)身体は、大きな声の歌唱のために、このエネルギーを解放し、小さな声のために、それを背中に保持する。
26)穏やかな行動は、コントロールされたメカニズムを可能にし、動きの無駄をなくす。
27)統一は,全ての部分の関連づけられた活動によって維持される。
28)ある部分の過剰行動は共同作用を危うくさせる。
29)どのような部分の不活動でも、関係を壊し、コーディネイションを妨害する。

Tickle of Tone   p. 92
音声のむず痒さ

1)鼻、咽頭および口の粘膜に対する共鳴(むず痒さ)の感覚が消える場合、音声と呼吸の間の相関が断たれる。
2)これらの感覚は、音節から音節へ、言葉から言葉へ、さらにフレーズからフレーズへ持続されなければならない。
3)実際、それらは絶えず存在しているように思える。
4)これが”voice placing”である。
5)それらが口と喉の後ろの部分に優位を占めたら、「カップのようにくぼんだ」手を鼻と口の上に当て、手のひらに「むず痒さ」を感じなさい、さらに、鼻梁そして口蓋でも。これが”singing in the mask”を強くする。
6)声は、2つの感覚の幻想である、触覚と聴覚。
7)音の振動のむず痒さと筋肉エネルギーの感覚は、感情がコントロールされるときのみ、結合する。
8)これらの幻想とエネルギーが持続され、強化されたら、あなたは偉大な芸術家だ。
9)思考とイマジネーションのチームワークを通してのみ聴覚は本物になる。
10)客観的な学習objective studyは、感情的なイマジネーションを通じた思考によって行われる。
11)感情が思考されたイマジネーションを喚起するとき、主観的なコントロールはこれを逆転する。
12)子音の中に「密接な関係”consanguinity”」がなければ、君は歌うことが出来ない。
13)母音と母音の間の関係が出来るまで、君は歌うことが出来ない。
14)2つかそれ以上の音声の数学的な一致が得られるまで、あなたは間違って歌っている。
15)純音pure tone(※具体的に何を意味するのかは、要注意)は、音の王国の中を、乗せて運んでくれる「魔法の絨毯」である。
16)喉は、声に力を与えるものではなく、音程と声質を決めるだけである。
17)横隔膜は歌うためのエネルギーを与えるものではなく、同じもの(歌うためのエネルギー)の使用をコントロールするだけである。
18)喉と横隔膜は不可分の活動をする、そして黙っているときも歌っているときも、絶えず機能しており、決してリラックスしていないし、さらに硬直もしていない。(明らかに、意味不明!)
19)イマジネーションは、震える、漏れる、一方に傾いた声は、操作できない。
20)声は「自らを見いださ」なければならない、無意識が所有し、導かないうちに。
21)浮遊音調floating toneのない感情は、声を衰弱させる。
22)十分に装備された声のみが、サウンドの海の上で存在することが出来る。

Objective   p. 95
目的

1)明かりをつけるとき、あなたは照明を求めて手に入れます。
2)振動を始める場合、共鳴を期待し遂行します。
3)明かりの強さは、そのエネルギーの元からきます。
4)振動の強さは、それを作り出す強さに左右されます。
5)炎のような輝きも音声も自然現象である。
6)それらを生成しコントロールするためのエネルギーと強さは、努力されるに違いない。
7)燃やすためにエネルギーを持ちなさい。
8)続けるために強くありなさい。
9)歌おうと思うなら、兵士のように姿勢をまっすぐにします、。
10)君が求める歌声は、エネルギーを抑制するのと同じ引く力を持っています。
11)声が求める分だけのエネルギーを解放します。
12)共鳴感覚は絶えず頭にあります。
13)振動は、この共鳴の中で「付け”turn on”」足り「消し”ture off”」たりします:それに応じて息をしなさい。

“Self-Control” of Tone   p. 96
音声の「セルフコントロール」

1)コントロールが歌唱中の前の音終わりから来ているように思えるまで、君はただ雑音しか出せない。
2)これを実現させるために、歌うすべての音声のピッチ、音量および音質を心の中で予想しなければなりません。
3)その時でさえ、もし、それぞれの音声が心と体の中の正しい反応を刺激しなければ、あなたは無力です。
4)歌う感情に役立つために、身体と心を効率的にすることは、あなたの主要研究であるべきです。
5)全生理的機能が反応すると、音声は自ら「置かれる”place”。」
6)ヴァイオリニスト、チェリスト、その他は、欲求の反応を左右するこの法則をよく知っており、従います。
7)声は(最も偉大な楽器)は、この”self-control”なくしてはおかしなものになります。

An “Artist”   p. 96
「芸術家」

1)振動のような現象が、心と筋肉によって作られ、コントロールされるなどと考えるとはなんと馬鹿げたことでしょう?
2)それらは単に感情の道具にすぎない。それは、想像力が聞く音を再生します。
3)心と筋肉は、「n倍」にも開発され、敏感にならなければなりません。しかし、決してそれらが演奏を操ってはならない。
4)歌手が知性と感情を50-50で用いれば、芸術家である。
5)彼の成功は、個性と同じくらい大きい。
6)この先天的な性格の混合は、天才を作る根源的な力を開発します。
7)教養のない才能は、無力である。
8)才能のない教養は、無益である。
9)あなたは、音を外し続けるヴァイオリニストを受け入れない。
10)それならなぜ、音程も音質も外す歌手を称賛するのか?
11)妙技は、我々が容易に演奏する全てのことを前もって聞いたり見たりすることにある。
12)感情が欲するもの、イマジネーションが描写するものを「具体化」すれば、偉大な芸術家である。
13)花が草から開花のための強さを引き出すように、声は身体から歌うエネルギーを引き出す。
14)喉頭は上がったり下がったりするが、それは、共鳴(母音)の変化を助けるためであり、振動(音程)の変化を手助けするためではない。
15)その位置は言葉によって決められるのであり、メロディーによってではない。
16)聞くに値するのは、あなたが支える音ではなく、あなたを支える音である。
17)歌唱を行うのは、あなたが摂る空気ではなく、肺が求める空気である。
18)音声を支えるのは難しいことではない。
19)共鳴が変化するにもかかわらず、2つの音声に共通する振動の特性があれば、ある音から他の音へ移行することは難しいことではない。
20)共鳴は絶えず変化する。
21)振動は決して変化しない。
22)声の音程は、主観的な問題だ。
23)声の強さは、イマジネーションによって起こる。
24)音声の質は、感情によってコントロールされる。
25)客観的に見る限り、対等の「両手」(”hands” of coordination)は、エネルギーの解放を防ぐために、中心に向かって互いに押しつけ合う。
26)主観的には、結合は磁石のように(自動的に)保たれる。そして、「両手」は、音声と呼吸の「バランス」によって、押すか引くかもしれない。しかしながら、声帯の規則正しい振動を「押しつぶす”crushing”」のを防ぐために、引く感覚が強く感じられる。
27)高音が「締め付け”pinched”」られず、低音が「息っぽく”breathy”」ならなければ、君は歌える。
28)高音は共鳴に応じて広がる、振動に応じて広がるのではない。
29)低音は共鳴を狭くし、振動を広げる。
30)喉から唇に向かって歌うことはたやすい、しかし効率が悪く、高音が出なくなる。
31)頭と喉から同時に唇に向かって歌うことは、効率を良くし、暗くも明るくも自由に作ることが出来る「明暗」音声を作る。高音と低音はその時同じように容易になる。
32)喉が歌おうと試みなくなり、そして肺が呼吸しようと努めなくなったら、前とは全く違うように歌える。
33)部分と全体のコントロールを鍛えなさい、そしてこの奇跡が起こるのを待ちなさい。
34)暇があればピアノの稽古、音楽理論、初見で「譜読み」をしなさい。
35)文学、絵画その他—「美しい芸術”beaux arts”」の知識を広げなさい。これは美しさに対する「欲求」を大きくし、歌う本能を目覚めさせます。
36)言葉、音声、と呼吸が共同して歌を作ると、著しい統率力が、語り口dictionに現れる。
37)子音と母音は、それ自体の構成プロセスに内在するもの以外の努力をしないで、音をスタートさせ引き延ばす。38)3つの(発音、振動、呼吸作用)の中の1つを失敗すれば、喉は酷使される;喉が閉まり音程は狂う。
39)トリオ(言葉、音声、呼吸)の一つが主導権を摂ろうとすると他の2つは反抗し、筋肉の硬直が3つ全てを危険にする。
40)急な動き(jerk)や衝撃なしで、この関係づけられた三頭政治の継続された活動があって初めて、dictionは、作曲家が意図した歌を演奏することが出来るようになるだろう。

Union of Word, Tone and Breath   p. 100
言葉、音声と呼吸の結合

1)声をそのフォーカスから決して引いてはならない。息をその土台から押し上げてはならない。また、dictionを唇から離してはならない。
2)これら3つ—言葉、音声と呼吸を決して分離してはならない。
3)フォーカスの感覚は、頭の中の羽毛のタッチのようである。
4)呼吸の支えの感覚は、胃に中のおいしい夕食の満足感のようなものである。
5)良きdictionの感覚は、「櫛の上で遊んでいる」ときの唇のむず痒さのようなものである。
6)この3組の結合は、手をつないで輪の中で遊ぶ3人の子供のようである。
7)一人が抜けると、みんなは無用になる。
8)どれか一つがエネルギッシュになると他のものは機能を損なう。
9)言葉と呼吸は概して有罪である。
10)フォーカスから来る振動は、いつも小さく感じる。
11)言葉によって開始される共鳴は一般的に大きく感じる。
12)身体から湧き出るエネルギーは、無尽蔵のように思える。
13)エネルギーが途絶えると、結合は解消する。
14)喉が「開いている」と感じるのは、dictionが、振動、共鳴と呼吸エネルギーを単一対としてコントロールするときだけである。
15)良いdictionのみが、喉での圧縮空気の活動を刺激する、そして喉に「自由」さを感じさせると同時に、心と身体全体からエネルギーを引き出す。
16)その時、歌うことは容易く、演奏者と聴衆の両方にとっての喜びになる。
17)テクニックはあなたの存在の「中枢」に触れる。
18)声とは圧縮空気(pneumatic)である。
19)(喉頭室は、仮声帯と真声帯が、キスをするときの2対の唇のように、接近して会うとき、膨張する。)
20)喉頭室の活動は、歌声にとって、声門の振動と同じくらい必要である。
21)それ故、声は、コントロールできるようになる前に、規則正しい振動と、十分な共鳴が必要である。
22)これは、”natural singer”が行っていることである。
23)残りの我々は、それが出来るようにならなければなりません。
24)頭、喉、と胸の中空の感覚は、歌うための空洞の準備(ventricular preparation)のしるしです。
25)多くの歌手の高音はなぜ締め付けられ、小さいのでしょうか?
26)喉は二重のつとめを果たすために作られています—息の流れをコントロールすることと振動の音高を与えることです。
27)声が高音に上昇するにつれて、息のコントロールは骨盤に向かって降りるべきである。
28)低音に於いて、この関係位置は横隔膜、更にもっと高くで感じられる。
29)呼吸が腹部で(ウエストから骨盤にかけて)保持され、コントロールされると、声は、高い、低いあらゆる音声に自由に拡張できる。

High Tones   p. 102
高音

1)あらゆる音程からより高い音程に声を跳躍させるために、音声の中に十分コントロールされたエネルギーと振動の勢いがなければならない。跳躍が広くなるほど力は大きくなり、より低い音声の波動においては強度も強くなる。同時に、高い音声は低いものよりよく響く。
2)声はその時、上行音型で音程から音程へ引かれるように思える。
3)これは、高音をたやすく出すための唯一の方法である。
4)これが出来るようになるまで、下降音階や音型で稽古するのが賢明である。振動の大きさとエネルギーをキープしなさい、しかし声が下降するにつれて共鳴を縮小しなさい。
5)結局、垂直の振動:perpendicular vibrationの高さと低さは全ての音声で同じである。声はその共鳴だけを変化させる、ゆえに、いわゆる「声区」をもたらす。
6)あなたの声の全音域が動くことがなく、共鳴だけが変化するように感じたら、君は偉大な歌手である。
7)あなたが、ただ肺に酸素の要求を満たすためだけにエネルギッシュに呼吸するなら、歌手のように呼吸している。
8)口を開ける前に歌声がスタートし、口を閉じた後にも声が残っているように思えたら、それが真の”messa di voce”である。
9)このハミングのような振動は言葉から言葉へ、音程から音程へ、更に沈黙を超えて持続する。
10)それは、呼吸の腹部コントロールと声の頭部フォーカスに依存する。
11)これは、頭から仙骨に至る、垂直振動(脊柱のそば或は脊柱の中)の感覚を与える。
12)身体の骨構造はこのハミングのような垂直振動に共振して振動する。
13)垂直振動の感覚を消してしまう2つの誤りがある:—母音を作るときに口を開きすぎること、そして、喉音ぽくgutturally子音を発音すること。
14)あなたは、幕が上がる前に、ハミングのような音声のこの自発的な感覚に意識的でなければならない、そして、観客が立ち去るまでそれをキープしなければならない。

Don’t “Hum”!   p. 104
ハミングするな

1)ランペルティーが、「歌うこととは、口を開けてハミングすることである。」と言ったとき、口を閉じたハミングで歌うことを言ったのではない。
2)「口を開けて歌えないのであれば、口を閉じても歌えない。」と彼は主張するでしょう。
3)「たとえ口が開いていようが閉じていようが、いつも正しく歌えるまでは、正しいハミングはできない」
4)「ハミング」は、振動の始まりであり、他のものではない。
5)コントロールされれば、それは全ての声を統一し、全ての声区、頭声、中性、胸声を均一化し、「アタック」と「ブレーク」を取り除く。
6)“The voice has one register,but three resonances,”「声は1つの声区を持つが、共鳴は3つある、」とランペルティーは言った。
7)「ハミング」は、統一の張本人である。
8)それは、母音によってよりも子音によってより多く引き起こされる。
9)それは、声と息をつなぐ虹の架け橋である。
10)ハミングするな!
11)歌い損ないは4つの原因からくることが多い:たるんだ呼吸、口先での言葉、横に広げた声、そしてばらばらの筋肉。
12)フォーカスされた振動、明瞭な発音、圧縮された息が互いに不可分に結びつけられない限り、歌唱はぎこちないものになるでしょう。
13)喉を締め付け、体の筋肉を固めることなく、感覚を保持し、歌唱の調整の感触を維持することが偉大な歌手を作り出す。
14)多くの人たちは、この統一された活動の楽さと、リラクゼーションを混同している、なぜなら、骨の折れる努力をやめてしまうからだ。
15)振動の感覚と弾力性のある筋肉が分離するとき、喉と体は不自然な活動を強いられることになる。

Silent Breathing   p. 106
音を立てない呼吸

1)大きな音を出す呼吸(喉を収縮させ、吸気時に喘息のような音を立てる)に頼る歌手は、吸気を圧縮することを身体に強要します。 2)これは身体を疲れさせ、聴衆を不愉快にします。 3)さらに、それは、息の流入と排出の両方の世話をするという二重の義務を負わせます。
4)口と鼻孔は、肺への空気の入り口を守ります。 5)さらに、それを行うときに雑音があってはなりません。
6)感情的な効果を除いては、静かな呼吸が原則です。
7)歌手が、呼吸の横隔膜と腹筋のコントロールを獲得したいのであれば、息の流入を聞いてはなりません。
8)静かな呼吸が「習性」になれば、慌ただしい呼吸も、発作的な息の取り方もしなくなり、肺の中に絶えず十分な息を保てます。
9)大きな音を出す、速い呼吸は、肺の上の部分にしか空気が入りません。 10)喉がその出口をコントロールしなければなりません。
11)ゆっくりした静かな吸気は、腹部の活動を保持したまま、空気が肺のそこから次第に一番てっぺんまで満ちてきます。 12)横隔膜が、全ての音程の音を作るために、息の出口をコントロールします。
13)話しているときや、言葉とメロディーと情緒的内容に対する反応である全ての呼吸でなされるように、最終的に歌手は、身体の中に歌うエネルギーを生み出すように感じます。
14)歌手は、歌唱中に使わなければならない桁外れの力をどこから得るのでしょうか?
15)圧縮された息 [compressed breath]からです、それは、肺をほとんど拡張することなく、身体が骨盤から鎖骨まで空気で満たされるまで、ゆっくりと静かな吸気をすることによって得られる。
16)声帯は、横隔膜、唇そして骨盤の助けで、この力強い空気を、言語音を作り、音声の振動を持続するために使います。
17)これらの歌唱に於いて、喉は、ほとんど努力なしで、ただ声の音程と強さを与えるだけです。
18)頭部は、正しく保たれた時、弾力性のある大きな音を出すスピーカーのように、声を強化します。
19)いともやさしく、音声をスタートしてそれを持続し、そして言葉を明瞭に発音できるのは、歌手たちが桁外れの力をコントロールしているあかしです。

Incorporated Breath   p. 108
合併された息

1)体の一部分への努力は、それが他の部分への相関作用を刺激しない限り無用なものである。
2)これは、吸気時、呼気時の活動に於いて、特に真である。
3)一体としての全胴体は、対等に収縮し、拡張する。
4)肩とヒップは、歌うために肺を満たすとき、呼気に先行して互いに連結される。
5)骨盤部と胸骨は、互いに分担して呼気時のエネルギーの強い張りを支える。
6)この圧縮された息[compressed breath]の力は「叉骨”wishbone”」※(鎖骨)に向かって押し上げられ、その結果、歌手は広い肩と、高い胸の感じになる(胸骨は、それぞれの肩に結びついている)
7)喉に対する息の圧力は、話し始める、あるいは、歌い始めるまでは、存在しない。
8)その時、声は自発的に振動を始め、横隔膜は、声を作り、音声と呼ばれる振動に十分な息のエネルギーを供給することを可能にする — そして、筋肉を押すことも引くこともない。
9)ゆったりとした自然な喉は、その時、音程とdictionに反応して機能する。
10)合併された息incorporated brethは歌うことに於いて、最大の必須事項である。
11)声の振動が、耳障り(異常な:irregular)な声にも、喉声(声帯っぽい声: vocal-cordy)にもなることなく、大きくなったとき、芸術的な歌唱は可能であり容易である。
12)この響く音質(「倍音」と言う)は、発声されるそれぞれの音声になくてはならない。それらは、隅々までよく届き、次に続く言葉や音声に火をつける。
13)心の様式美は、次のものを要求する:—
14)発音はエネルギッシュではあるが、大げさにはならない。
15)聴衆はそれぞれの言葉を理解すべきではあるが、あなたの発音行為を意識させてはいけない。
16)表現は、当を得たものであらねばならないが、やり過ぎては良くない。
17)聴衆は、あなたが発するそれぞれの音声に音楽的、感情的な中身を感じ取るべきだが、あなたのやり方に気付かれてはならない。
18)あらゆる言葉と音声は、その論理的裏付けを持たねばならない。

Interpretation   p.110
解釈

1)解釈に於いて、3つの基本的に必要なことがあります:役に立つ十分なテクニック;歌手の独自のスタイル;言葉とメロディーの中の情緒的雰囲気(作曲家と詩人によって描写された)です。
2)解釈(創作)の統一性は、全体的な歌の聴覚的イメージに左右されます。細部への配慮は、稽古場でなされるもので、ステージではありません。歌手は、細部を意識し始めたとたんに、感覚と雰囲気の連続性をなくしてしまいます。
3)振動の感覚(と共鳴)又連携作業coordinationの感じ(筋肉活動)が分かちがたく関係づけられている限り、歌唱時あるいはサイレント時に、音声の良好な継続性があります。
4)これらの感覚や感じの記憶、又、それらを体験しようとすることは、歌う準備をさせます。
5)これらの感覚や感じの相互依存の実現化が究極のテクニックである。
6)解釈は同じようなことは二度と起こりません。事故、間違い、忘れること、緊張であがってしまうこと、病気、大げさな表現などは、演奏を危うくします。 そんなとき、客観的なテクニックが失敗を防いでくれる。
7)解釈はまた、演奏ごとによっても変化します、もし歌手が、音楽的、詩的情緒に忠実であるならば。 ステレオタイプな形や表現はこれを邪魔します。
8)あなたの歌は、あなたの想像力から生まれます。
9)あなたのテクニックはあなたの思考から発生します。
10)あなたの解釈は、想像力と思考が互いに結びあわされたあなたの感情によって形成されます。

Do Not Yawn!   p. 111
あくびはするな!

1)人は、その要求に負けて、同じような感覚を感じるまで、あくびはできない。
2)人は、その同じような感覚を感じ、その欲求に負けるまで歌うことが出来ない、。
3)歌うことの満足感は、あくびの満足感より感覚的です。
4)この「喜び」は、歌の間中続きます。
5)あくびの満足感はすぐになくなりります。
6)しかしながら、歌う感覚とあくびの感覚は、どちらも、非常に刺激的である点、やむにやまれぬ点、よく伝染する点に於いてよく似ています。
7)しかし、あくびは歌うことの助けにはなりません、たとえそれが同等の反応の感覚を実感させるものであたとしても。
8)人は、欲求が差し迫るまであくびは出来ません。
9)「もしそうしなかったのなら、死なない限り歌ってはならない。」”Do not sing unless you’d die if you didn’t”
10)彼は決して歌唱中にあくびをさせようとしなかったにもかかわらず、「歌うことは、あくびに似ている」と言うのがランペルティのやり方です。
11)多くの人たちは、誤解して、同時に両方のことをやろうとしました、それによって[喉を開ける”open throat”」の感じを新たに引き起こすことを期待して。
12)音程や言葉の色を得るため以外の、あらゆる恣意的な喉の使用は、声のコントロールのためには有害である。13)あくびはするな。

Prescience   p. 112
先見の明

1)心理的に先んじる、肉体的に感じ取る、感情的に感じる、詩と音楽が歌手を作る。
2)まるで、歌詞と曲があなた自身のイマジネーションから湧き出たように、あらかじめあなたの歌を聴きなさい。3)あなたの声を、それがスタートする前、なっている間、出し終わった後に、まるであなたの一部であるかのように感じなさい。
4)言葉と音楽の雰囲気を、それらがあなた自身の感情のほとばしりであるかのように感じなさい。
5)聞くことは連続的でなければならない。
6)感じることは決してやめてはならない。
7)フィーリングは全てのものに浸透します。

A Focused Tone   p. 112
集められた声

1)フォーカスされた声とは何でしょうか?
2)自動スタート、自動ストップする音声です。
3)何が音声をフォーカスするのでしょうか?
4)努力しない、乱暴でない、さらに声帯の強い振動です。
5)何が、声帯の振動を強くするのでしょうか?
6)圧縮された息に内在するエネルギー、それが声帯に供給されます。
7)振動は、のどで作られるにもかかわらず、なぜ頭部で感じられるのでしょうか?
8)なぜなら、振動が喉の真上の頭蓋骨の骨部分に打ち当たるまで障害物がないからです。
9)なぜ、振動は絶えず咽頭の一番上の同じ箇所に[当たる”hit”]のでしょうか?
10)それは、その箇所への開かれた道があるからです。
11)頭の中の鼻の後部箇所で振動が始まるのを「感じる」助けをするものは何ですか?
12)頭蓋骨の中央の洞の共振反響—咽頭のすぐ上の頭部の中にある閉じられた腔です。 実際、頭蓋骨の骨組織は、喉で起きる全てのことを伝えてくれます。
13)何が音声のフォーカスを妨害しますか?
14)フォーカスを始めるために、喉に向かって圧縮されていない吸気を押すことです。
15)どのようにして、フォーカスされた音声を作ることが出来ますか?
16)出来ません! それは起こるのです。
17)それは、連繫された活動のネットワークを仕上げながら、身体と脳の全ての部分部分の関係が達成されたときに起こります。
18)結びつけられた活動のこのネットワークを作る為に、私は何をすればよいのでしょうか?
19)感情的な想像力は全ての活動を互いに結びつける。
20)フォーカスされた音声は虹と似ている—それは「起こる」のです。

Solfeggi and Voccalizzi   p. 114
ソルフェージュとヴォカリーゼ

1)ソルフェージとヴォカリーゼ(母音唱法)は、音楽的価値がなければ、時間とエネルギーの無駄です。
2)更にその時、生徒の必要と欲求にアピールするものでなければなりません。
3)移動ド を使って、単純な歌やアリアを歌うのはいいことです。発音が発声の助けに成るぐらい進歩したら、それらの歌詞の同じ作品は、レパートリーに成るかもしれません。
4)メロディーを母音で歌うことは、過度の努力なしで歌えなければ、進歩にとって有害です.
5)「ある音声を、別の音声に感じるとき、あなたは歌っていいでしょう。その時まで、シラブルで歌いなさい。Do,re,mi,fa,sol,la,ti,doは、何よりも良い。」(Lamperti).
6)音楽的技量と同様に発声技術も、移動ドを使えばたちまし成長します。
7)結局、音楽的技量は生徒が創作する事を可能にするために十分先に勧められるべきで,更に彼自身のソルフェージュと母音唱法を即興できるぐらいになるべきです。 これは彼の音楽的想像力と感情的反応を刺激し、それは単なる発声技術よりもっと重要なものです。 創造的な音楽の教養もまたそれによって達成されます。
8)基本訓練は、シラブルで、又生徒が準備ができれば母音で、毎日稽古すべきです。 しかしそれらは単純な音階とアルペジオで構成され、特に生徒の個人個人と進歩の状態に合わせなければなりません

Escaping Breath   p.   115
息漏れ

1)それは、息ではなく、歌声の初期振動を供給する、閉じ込められた空気のエネルギーです。
2)声門の振動を供給するために、この閉じ込められた力をため、それを開放するコントロールが可能になることは、あらゆる歌唱にとって、絶対に必要な事である。
3)くさびを入れる様な漏れる息は、振動を「分裂〈splitting〉」させる。
4)これとは反対に、歌い手は筋肉で喉を狭くすると、喉声guttural toneになる。
5)「悪い歌い方が2つる—息っぽいbreathilyものと喉っぽいgutturallyものである。」 (Lamperti)
6)フォーカスされた明暗音は、最初の振動と圧縮された息との健全な関係のしるしです。
7)このような音声は、振動と息の関係性を壊すことなく、大きな音、小さな音、明るい音、暗い音、陰気〈somber〉な音、陽気な音で「演奏」することができます。
8)初期振動は、漏れて声にならない息によって決して弱くなってはならないし、それを防ぐために筋肉の努力によって押しつぶされてもいけない。

Do Not Relax   p. 116
リラックスするな

1)歌声の「生成」は、初期振動を持続する強さと、本来備わっている呼吸エネルギーの連続した解放に依存する。
2)初期振動は、いつも自発的で、規則正しく、更に動的〈dynamic〉でなければならない。
3)本来備わった呼吸エネルギーは、いつも準備が整っており、力強く、さらに役立つものでなければなりません。
4)これらの常に存在する要素(歌手の努力ではない)の結びつきが、歌声を「生成」するのです。
5)(全人格の好奇心をそそる)連携作用〈co-ordinate action〉のために、筋肉的な努力と意志の力は停止状態のように思える。
6)これが起こす楽な感じ—均衡—は知らぬ間に進行するので、歌い手は、心身共にリラクゼーションに頼り始める—それは完全な失敗をもたらす砂地獄である。
7)頭脳と体のエネルギーは累積的でなければならない。そして、歌手が、残りの呼吸と予備の意志力を求めることなく彼のフレーズを終えることが出来る。
8)「一回歌おうとするならば、その前に二回フレーズが歌えなければならない。」(Lamperti)
9)「出来るだけ、たびたび息をとりなさい。」 (Lamperti)
10)「ある音声の振動は次の音声に点火する。」 (Lamperti)
11)そうランペルティーは語った。
12)堅くなるな!
13)しかし、決してリラックスするな。

The Soul of a Singer   p.117
歌手の魂

1)歌手の魂は、音声として現れる前に、声と呼吸の両方のテクニックを要求します。
2)強い振動と十分なエネルギーが絶えず得られなければならない。
3)倍音はそれの色です:
4)リズムは鼓動:
5)共鳴は、それの身体:
6)母音は、それがとる形:
7)子音は、それの手:
8)感情は、それの生き血:
9)想像力は、それの耳と目:
10)思考は、それの足:
11)欲求は、それの翼;
12)メロディーは、それの言葉:
13)歌い手の魂は、潜在意識そのものです。
14)それは体と心を使うことが出来ます、ただし、これらが意識そのものによって訓練された後に限ります。

Lamperti and His Pupile   p. 118
Letter from Lamperti to W. E. B.   p. 127

Supplement:
Lamperti Notebook  p. 128

教師は、生徒に「下手くそ」などという言葉を決して使ってはならない。彼は、生徒がフラットに歌っていると言うかもしれない 。フラットに歌うことは 、十分に広く口を開かないならば、あるいは、疲れていたならば、当然である。下手に歌う人々は、決して歌手になることができない。人が必要以上にシャープに歌うならば、それは耳の責任である。
低い音声は自然な者である、それ故、それらを歌っている間多すぎる呼吸を注入して(押して)はいけない 。人がバイオリンで音声を始めるように、音声を始めなさい。
最初に歌うことを学ぶとき、フルヴォイスでエクササイズを歌う必要がある。音声がしっかりと配置されたあと、あなたは極めて弱く歌うことができる ― 呼吸を節約することによって。
速い音階は、声に大くのことをしてくれる。やがて、あなたは同じ容易さで遅く歌うことができる。速い音階をレガート決して歌ってはならない。呼吸をとる際に、すでに肺にある少しの空気も失わないように気をつけなさい 。
声は、オルガンのようにある。肺は、ふいごである ― 喉と口はそのパイプである。多すぎる空気がふいごの中にあるならば、音声は悪い ― 不必要な空気が音声を妨害するので、音をつくることができない。ふいごが必要以上に少ない空気しかもたないならば、音声は悪い ― 音声が支えを十分に持たないので。
あなたが進歩するにつれて、あなたは音声の量ではなく、音質を聞こうとする。声の勉強の初めに、決してピアニッシモを歌ってはいけない ― あなたが喉を締め付ける(つまる)ので。
本論文でアイデアを理解することは、不可能である ― それらを演奏する(試してみる)ことなく。あなたが常に豊かであったならば、あなたは、貧弱であることが何を意味するかを実際に知ることができない。あなたは貧困を理解するためには貧困でなければならない。
教師と音楽家はこれを理解しない-彼らの音楽的な好みは病んでいる。
私が2つのレストラン、良いのもと貧弱なものを持つならば、私は、私が良い食物の鑑定家でない限り、良いレストランが良いと理解することができない。
オペラでは、「ああ!彼女は、美しい声をしている!」と、人は聞く。「彼女は何と上手く歌うのだろう!」という風には決して聞いていない。 多くは、美しい声ならびに美しい姿と顔を持つ、全く自然に。声は花のようであるが!-急ぎなさい-それは枯れてしまう。
最終的に、声が呼吸をコントロールする ― 逆でない。私は、前もってあなたによく説明しました-しかし、今や、そのすべてを ― それ自体であなたのところへ行かせましょう-レガートもまた、それ自体で来なければならない。決してレガートを引きずっては(引っぱる)なりませんの!
あなたはわかっている ― 「ケーブルカー」の一方が上がると、別のものは下がることを。最初の声音で、声と呼吸は同じと場所で別れる-声は上へ行き、呼吸(エネルギー)は下に行く。これらの力がそれら自身でバランスをとったとき、人はレガートの歌うことができる ― 1つの音声が別のものと融合する。
トリルがまったくできない人々がたくさんいます。私には、美しく歌う生徒がいたが、トリルができない。私の生徒はコンダクターと結婚した、彼は言いました「トリルができていない!勉強しなさい!」彼女はトリルを勉強しましたが、声を失いました。
トリルは生まれながらのものにちがいない。それは、声帯において特定の神経によって決まる。これらの神経なしでは、声帯は弱々しくその鳴りを失う。人は話すことができても、歌うことはできない。
「生徒に、下手な歌だと決して言ってはいけない。」と、私は言いました。それは ― 誰かを紹介すると同時に、「注意しなさい、彼は泥棒だ。」というのと同じ事です。これを聞いた人々は、彼らの所持品をしまい込むだろう。
人が有機組織に起因する、このMのような、生まれながらの欠点(たとえば鼻の音声)があるならば、それを消去しようとしてはならない、なぜならば、これは声を損なうことになるでしょう。声を美しくして、強化するが、欠点はそのままにしておきなさい。
有名なバリトン-フランス人は、恐ろしい鼻声であった、しかし、彼はなんてすばらしく歌たことか! タマーニョもまた、 ― 言葉はすべて鼻声である、しかし、なんという音声でしょう!
歌うために、「声、声と声」を持つことは必要である、しかし、よく歌うためには、音楽性を持つこと、音楽的に知的であることが必要である。
B氏-{教会で歌った} 私の生徒は、洗練されていなかった。彼は初見で歌い演そうした ― 偉大な歌手のように美しくて激しい音声で。彼は、音楽的に知的で、さらに15の少年のように世知に疎かった。
言語(発音)の位置で、音声を始めなさい。高音で、あなたは広く口を開きすぎます。あなたの音声は、暗過ぎます。高く歌うか、低く歌うかにかかわらず、共鳴は一貫して同じ場所にとどまる。
歌唱にに於いて、エクササイズは常に「ラ」を使う。
その場合、すべての欠陥と欠点が、明らかになるというわけではない。
人が暗い母音の言葉で歌うならば、欠点は明らかにならない。
「ラ」の音節は、疾患の原因を見いだすために、医者の身体検査のような役目を果たす。
音声を出し始める際に、押してはならない。感覚は、むしろ吸う(または飲む)感じである。
音声が高いか低いかに関係なく ―出だしで押すことは良くない。やがて、それらは良くなるだろう。
あなたは、あまりに多くの音声を生成しすぎる。音声が大きすぎると、声を導くことができない。
バイオリンの音のように純粋な音声で始めなさい、のど声ではなく唇で。それは、イタリア人が「音声は、唇の開花である」という理由である。
音声が鼻にかかるのは ― 呼吸が弱いからです。あなたは知っている ― 鼻音で話すことが、「唇で」話すより楽であるということを ― 。
あなたは、ここ(胃)が弱い。あなたの音声は、あなたの呼吸に対して大きすぎます。あなたの音声は、通りにいる少年のようだ。そのような音声で表情豊かに歌うことはできません。それは気息質の音声(空気が多すぎる)である、そして、音声はバイオリンの音のように振動しない。あなたの音声は冷たい(cold)。ドレスデンのオペラ歌手は、肺を空気でいっぱいにして、肩を上げて爆発的に歌う。
あなたは弱い-横隔膜の神経が弱い。人は強くあることはできるが、よく歌うための力を持つことができない。人はよく歌うことができるが、別のことのために力を持つことができない。
ポルタメントで、ある音声を他の音声に、息〈breath〉(空気〈air〉)でではなく響き〈sound〉(音声〈tone〉)で運びなさい。
生徒に ― 胸部音声を必要以上に高く運ぶことをー決して許してはいけない。
なぜ、音声をカバーするのか!それが美しいならば、それをカバーすることは間違いである。イタリアでは、生徒が音声をカバーすることを決し許さない。それらは、常にこれ(キアロスクーロ)のように歌う。必要以上に白く歌うことは、間違いである。しかしながら、必要以上に暗く歌うことは、必要以上に白く歌うのとちょうど同じくらい悪い 。
人は唇の上で音声を維持しなければならない、音声を胸部(低い音声)で、口(中声音声)で振動させ、そして音が高くなれば高く振動させるが、音声は常にリップの上にあります。
ソプラノの声は、木のようである。
中声は気持ちの良くて強いかもしれない ― しかしそれは本質的なことではない ― 何故なら、そこで(中声で)、あなたは高い声を育てるからです。あなたは、木の最上部にではなく根に水をやります-そして自然の結果として、その木は、背を伸ばし花が咲くのです。それが、美しい頭声をもたらす 中声の正しいトレーニングである。

Selected Essays From The WM. EARL BROWN Manuscripts p.136

TEACHING
「私は、メソッドを決して書かなかった」と、私の師匠、若いランぺルティは言った、「それは、歌手が知っていなければならないすべてのことは、私の手のひらに書くことができるからだ。」
基音は、3つである:強力な呼吸エネルギーのコントロール、すべての音声の正確さと容易さ、そして、明晰で、正しいディクション― その後で、生徒の能力、気質と知性による進展。」
歌唱の教師は、3つの能力(彼の生徒を聞く3つの方法)をマスターしていなければならない ― 教師は、彼らをあるがままに、彼らの可能性を、そして、彼らがやらねばならないことを聞き取ることが出来なければならない。
彼は、彼自身と彼の知識を、それぞれ生徒の能力、知性と気質に合わせなければならない。
彼は、生徒の自発性を殺す規則と説明に気をつけなければならない。
彼は、心を体と同様に鍛えなければならない。
彼は、性格をオープンにすることを助けなければならない。
彼は、美に対する欲求を目覚めさせなければならない。
「まで、生徒に局所的習慣またはメカニカル・トリックを持たせてはならない 。
そのとき(すべて条件がが満たされて、互いに関連付くとき)、音声、音節と呼吸は互いに強く依存するようになるので ― 振動、話し方と呼吸は、沈黙、または、歌と互いに不可分に結びつく。」(Lamperti)
教師は、2つのツールー圧縮空気と集中する振動(彼独自の歌い方を形づくらせるために)ーを与えることによって、彼の生徒を協力者にしなければならない、。
すべての生徒は、自分で考え判断しなければならない。彼は、毎日全身全霊で練習しなければならない。彼は、発声と呼吸の結果として生じる現象を発見しなければならない。彼は、{ 歌唱の 2つの要素―コントロールされた呼吸と純粋な音声 ―のバランスを可能にする} 体と声の相互の関係を感じなければならない。
「歌声は、話し声から漸進的に変化する。このプロセスを急がせてはならない。耳を訓練して、発声と身体的な訓練を実行し、歌声が自然に生まれるのを待ちなさい。」(Lamperti)
自然な生理的な事実と機能には頼るけれども、ランぺルティの教育は技術的な細部について意外なことに自由だった。
次の意見は、教師への彼のアドバイスであった:
「教育は、動物の調教のようなものである!彼らに棒を飛び越えさせなさい!」
「理由を与える前に、生徒の知性の徴候を待ちなさい。」
「彼らの背中に一度に大きすぎる荷物を背負わせてはなりません!」
「何人かは『それ』をするだろう、けれども、理解してはいない。他のものは理解するだろう、けれども、偉大な歌手にはならないだろう。」
「能力と知性は、芸術家を作るために要求される。」

MULTICOLORED VOICE 多彩な声
「歌唱の2つの不都合なやり方がある:口の前に行きすぎること、咽頭の後ろに行きすぎること ― つまり、明るすぎることと暗過ぎること。普通の天性の声は明るくて暗い ー キアロスクーロである。この多彩な声は、精神的、身体的な状態が正しいときに現れる。
それは、自動的に生成されることもできないし、客観的にコントロールされることもできない。」(ランぺルティ)

喉で作られるけれども、音声は頭のまん中の骨から口の方へ反響しなければならない、そこで、それは唇の快いむずむず感覚として感じられる。(鼻の骨もまた、振動するが、音声を反響しない。)
この音声は、重要な歌唱の「キアロスクーロ」(明暗法)音声である。それは、声に1声区―トップから底までの 単一のメカニズムーの印象をもたらす。それは、意のままに開けたり閉じたりできる。
いくつかの声が生まれつき白く(明るい)他のものが、先天的に暗いが、すべての歌手は、この頭蓋骨の中央に音声を集中させることを理解しなければならない 、音声はそこから四方八方に広がる。それは、自動的に頭、口と胸部で共鳴するだろう ― ピッチの必要に応じて。
変角の場所が後ろ過ぎれば、音声は口ではなく喉の方へ向けられて、カヴァーされたように聞こえる。それは、言葉をモグモグ言うことになる。それは暗いままで、開けることができない。それは1つの声区音質を妨げて、高いピッチと低いピッチに達するために、さまざまな不自然なメカニズムを要求する。
直接に歯に対して反響する音声は、過剰に白くなる(開いた声)。話し方ははっきりしているかもしれないが、声は意のままに暗く(閉じた声)にすることが出来ない。それはまた、音程の高低に関わらず、すべての音声が同じ場所で始まるという感覚を妨げる、そのうえ音域または力を得るために、メカニズムの変更を必要とする。白い音声(カヴァーされた音声と同様に)は、不自然な労力なしで変調されることができない。
肩の上の頭とまっすぐ脊骨の直立した姿勢は、「キアロスクーロ」歌唱のための2つの本質的事項である。歌っている間、頭を必要以上に後ろに傾け過ぎると、響きは白くなりすぎて、コントロールをあやうくする。頭を必要以上に前方に傾けることは、音声が暗くなりすぎて同じように扱いにくくする。
「専門的な歌声は、暗く明るく聞こえなければならない、頭では高く、喉では低く、そして、口では前方に思われなければならない。」(ランぺルティ)

SING THE SILENCES 沈黙を歌いなさい
沈黙が生まれ出ようとする音声をはらむまで、あなたは騒音しか出すことはできない。「あなたがそうしなかったならば死ぬまで歌うな」と、ランぺルティは叫んだ。
音楽的に大声で考えることは、口を使って大声で考えることと同じくらいとらえがたい。声音は、体のすべてのエネルギー、心のすべてのイマジネーションそして魂のすべての吸引を染み込ませた沈黙から与えられる。生まれるとき、それは振動現象、スピーチ・サウンドそしてこころの思いから成る。
「沈黙を歌う!音声は、自ら歌う!」とランぺルティは言った。音楽的に言語化されたメロディーを大声で考えることは、大声で言葉のフレーズを口にすることを考えるより楽である 。推進力と連続性の法則は、歌唱中に、音声から音声そして音節から音節に声を運ぶ 。話される言葉は断続的である。そして、連続性の法則と推進力の助けを無効にする。しかしながら、真の雄弁家は、メロディーの代わりに声の抑揚を用いる歌手のように、彼の台詞の時間を調整したり加減したりする。彼もまた、沈黙を声にする。「それは、歌や演奏の真の芸術をもたらす音声の間で、我々がそうするものである」と、偉大な師匠Leschetitzkiは私に言った。
「1つの始まりと1つの終わり、歌の始まりと終わりがあるだけである」と、ランぺルティは言った。

HIGH CHEST BREATHING  ハイ・チェスト呼吸
「開いた喉」の感覚は無いかもしれない ― 肺の上部が低い部分と同じように圧縮された空気で充分に満たされてない限り。
呼吸の最も強い圧力は、肩と鎖骨にかかるが、喉にはかからない。
呼吸がすべての可能な機会で新たにされるとき、肺は決してしぼむことなく、固定された胸部の感覚が結果として生じる。
これは、「決して肺の残気でなく、そのデュナーミク・エネルギーのみを使いなさい。 肺のどの部分でも崩れ始める前に息をとりなさい― 危険な状態にあるならば音節の最中でも。」と言うことによって、ランぺルティが意味したものである。
このハイ・チェスト呼吸は、骨盤、腹部、横隔膜、肋間の関与を犠牲にして決して成されてはならない。これらの領域に対して、胴の最上部に対してと同じくらいの多くの圧力がある。

HEAD – THROAT- TORSO 頭ー喉ー胴体
あなたは、左手だけでバイオリンの音楽を生成していると思いますか?
いいえ。それは、曲のそれぞれの音のピッチを確保するだけです。
右の手は、弓を扱うために訓練されなければならない ― それが弦の振動で演ずることができるまで。
「あなたは腕が引きちぎれるまで弓の練習をしなければならない」と、彼の有名な生徒(M・パウエル)にヨアヒムは叫んだ。
さて、歌っている間、呼吸は弓である
それは、喉での振動で「演奏する」前に、完全に胴体の管理下になければならない 。
「呼吸は、声に先立つ1年でなければならない」と、ランぺルティは言った。
頭と喉は、自然に自己調整する、ダブル・リード・オルガンである。それはそれぞれ音のピッチと歌のそれぞれ音節のサウンドを本能的に手に入れる ― 胴が呼吸を十分に管理するならば。
「あなたの声だけをそのままにしておいて、呼吸を訓練しなさい」、とランぺルティは勧めた。
「偉大な歌手は ― 息を圧縮して、しっかりと腹部でそれを保持して、横隔膜でその使用を計量して、喉でそれを振動に変えて、それを唇で音として花を咲かせることができなければならない。」(ランぺルティ)
声と呼吸は、親和性である
声と呼吸は、熱心に互いに接近し、一体化する2人のダンサーのようである-そして、一体となって音楽のリズム、メロディーと気分を表現する。
それぞれは、もう一方が考えているもの、感じているもの、行っているものについて知っている。
それぞれは、一方が音を滑らかに進めー 動き ― 跳躍しーB休むのを助ける
各々は専門家でなければならず、効率的でなければならない、あるいは、一方は重荷として別のものを運ばなければならないだろう。
各々は、他のものが、運動の途切れない連続性を保つために平衡力として動かなければならない。
各々は、コンタクトが瞬間的に壊れているときでさえ、別のものの目的と動きに順応する。
声と呼吸のコンタクトは、衝突または緊張なしで、リズム、メロディー、曲とテキストの気分によって要求されるすべてのエネルギー度を持たなければならない。
この関係はとても密接で満足なものなので、すべての堅さとぎこちなさも、押すこと引くことも全くなくなる。
呼吸と声の結合は、「体が何かおいしいものを味見している舌のように、頭の先から爪の先まで全身に感覚的な喜びをもたらす」(ランぺルティ)。
それぞれにおいても、声と呼吸は最後に分離できない親和性となる。「音は呼吸の上の端(upper end)である、そして、呼吸は音の下の端(lower end)である」と、ランぺルティは言った。

OBJECTIVITU and SUBJECTIVITY 客観性と主観性
両方の側面からトンネルを掘ると、労働者は最終的に山の中心で出会う。
両方の終わりから訓練して、エネルギーは人柄の中央に最終的に結合する。
歌の美しさのための欲求は、一方の側面(歌唱のための技術的容量は、能力の別の側面で働く)で調べる。
メカニカル側面上の作業は、足から始まって、骨盤、腹部の中枢、横隔膜と胸トを通って喉に伸びる。
歌の美しさの実現は、頭蓋骨で始まり、頭、鼻孔、口と咽頭を通して喉に下向きに伸びる。
ここに、欲求と有効性は最終的に一緒になる-才能とテクニックは1つになる-歌手が出現する。
個性の美学と実際的な側面が触れ合うとき、過剰な主情主義は終わり ― 同時に、計算されたメカニズムが姿を消す。
能力の両方の特性が同程度に育てられるというわけではないという事実は、今日、有能な歌手の嘆かわしい不足の原因である。才能はそれが熟する前に食い物にされる ― 実力をつける前に公衆に押し付けられる安易な演奏 ―― 、あるいは、恵まれた感情豊かな個性は世界にその感覚を未完成のままひけらかす。
{精神的で身体的な有効性をプラスした美しさがその美しさを表現する} 願望は、歌唱を生成する。
「こころを熱く、頭を冷静に保ちなさい。こころと頭は、協力しあわなければならない。」(ランぺルティ)

EDITOR’S COMMENT  p.145 
編集者のコメント

私は、圧縮された息が、いかにデュナーミクに引き起こされるかという概念を加えなければならない。
「圧縮された息の吸い込んだ、或いは、内在するエネルギーが弱くなっていくとき、体を決して大きく拡張(あらゆる方向で)してはいけない。」(ランぺルティ)
歌唱の呼吸は話すときの呼吸のようである、しかし、より多くの息が、話すときより歌うときに必要とされるので、歌っている間、呼吸と声のバランスが崩れやすい。
スピーチにおいて ― 我々の肺での空気の喪失点に来たとき、我々はこの喪失点で息をとる。我々は、この「点」から離れないで、それから文を終えるために、相当な量の空気を吸い込む。我々は、言ってみれば、言葉を通して呼吸する。
静かな呼吸がスピーチでできるならば、歌でもできる。空気で最初のフレーズを口で歌いなさい。肺が空になる前に、そして、ウエストラインから離れることなく(without pulling away from your waistline)、静かに鼻と口を通して、小さな、ゆっくりした呼吸、(開いたあなたの口をそのままにしておく)をとりなさい。その時、あなたは肺の残気を失うことなく、最初のフレーズを歌うために使われる空気を入れ替えた。あなたの歌または一連のエクササイズの終わりまで、これをやり続けなさい、そして、肺のあらゆる崩壊を防ぐためにたびたびブレスして、さらに空気を肺に加えている間、常にウエストラインから離れないのを忘れないこと。
初めのうちは、これはわずかに窒息の感覚を引き起こすので、短期間この種の呼吸は練習されなければならない。このプロセスが主観的になるにつれて、内部から空気が新たにされる感覚以外の息が詰まる感覚はもはや感じなくなる、そして、「あなたは音を通して呼吸する。そして、歌の終わりまで息を取らない」(ランぺルティ)。
歌または一連のエクササイズの間、息を補給しているとき、あるいは、サスペンションの感覚を失うとき、あなたは決してリラックスしてはならない。歌が終わっている時だけ、あなたは「解放する(let go)」かもしれない。綱渡りとの比較は、最もよくこれを例示する。歌手が、息を取るときリラックスするか「解放する」ならば ―、綱渡りがステップのあいだにリラックスしすぎてバランスを失うのと同じだろう。
これは具体的 (objective)な訓練で、1日につき10分以上練習してはならない。圧縮した呼吸は強制されることができない。どのようにこの静かで強力な呼吸エネルギーをコントロールするべきかは、少しずつわかってくる。
「ランぺルティは『唇の花(flowers of the lips)』に注意した、そして、 ― 彼が横隔膜が正しく機能しているのを感じて、呼吸を圧縮して、歌っている間、発声と呼吸エネルギーの相互関係が歌唱音に『ハミング』をもたらすのを確信するまで、生徒のみぞおちの上に文字通り彼の手を当て続けた。」(Wm.アール・ブラウン)
「最終的に、あなたはいつどのように呼吸するかを考えてはならない。話をしているときにそれを考えますか?、千倍強化され鍛えられた同じプロセスが、歌唱でなされる。」(ランぺルティ)

2015/09/27  訳:山本隆則