リリー・レーマンはドイツのヴェルツブルグ生まれ。カッセルの主役ソプラノであった母マリーから声楽の基礎を学ぶ。17歳の時、プラハ歌劇場の「魔笛」で第1の少年でデビューし、1870年ベルリンでマイアベ-アの「シュレジェンの野営」で、本格デビュー。1876年にはバイロイトで「ニーベルングの指輪」の初演でヴォークリンデ、第1のヴァルキューレなどを歌った。ロンドンでは1880年に「椿姫」、「ミニョン」に出演する。
この頃から、軽いソプラノからドラマチックなソプラノへと変化する。1884年にロンドンでイゾルデを、1885年にはアメリカに渡って、イゾルデ、ブリュンヒルデ、オイリアンテ、アメリア、ノルマなどでアメリカで初演した。
35年に及ぶ舞台生活の後、ベルリン郊外のグリューネバルトで後進の指導に当たると共に文筆活動にも従事した。
1902年、”Meine Gesangskunst”を出版し、すぐに英語とフランス語に翻訳され大きな話題となった。また、1904年には「フィデリオの研究」と「トリスタンとイゾルデの研究」、1913年には自叙伝「わが生涯」をかいている。
20世紀初頭の大ソプラノである、Galli-Curci は、独学で発声を学びましたが、多くの書物を読みその中で最も影響を受けたのがリリー・レーマンだと言っています。

【証言】
舌の先端は前歯にあったっているか、あるいは歯よりも下にあるように感ずる。私は舌の先端をぐっと低くし、そうすることによって、舌を前の方へ押し出すようにして高く盛り上げる。
そのときには、舌の表面は上あごの方へ引っ張られるように感ずる … 舌が平らになっていると舌全体でのどをおさえつけるので、舌は高く盛り上がっていなければならない。
また、Tetrazzini は溝をつくると言っているが、Lehmann はそれすらも否定して;
声を出すのに舌が邪魔にならないという生徒の場合には、特に舌を溝状にする必要はない。生まれつき舌に深い溝をつくる人がいるが、そのような舌はのどを押さえつける。そのような溝はなくなるようにしなければならない。[私の歌唱法、(Meine Gesangskunst の日本語版、川口豊 訳)]