声を生成するときに用いる様々な構造物のことを、「発声器官」(voice organ)とよぶ。発声器官は呼吸器官、声帯、及び声道の異なる3つのシステムから成り立っている。
発声器官の3つの構成要素;
呼吸器である肺は、圧縮機(機能)として呼吸(breathing)を行う。主な部位は、腹筋、胸筋、横隔膜筋。
声帯は、発振器(oscillator)(機能)として発声(phonation)を行う。主な部位は、喉頭筋群、空力学。
声道は、共鳴器(filter)(機能)として調音(articulation)を行う。主な部位は、口唇、舌、顎、筋肉。

発声器官によって、様々な音を生成することが出来る。音が適切な列として並べられた場合に「話し声」(speech sound)となる。「歌声」では、話し声と、話し声とは異なる音、両方が用いられる。歌唱で用いられるそれらの音を「歌声」(singing sound)とよび、必要に応じて、より一般的な”note”や”tone”といった言葉で呼ぶこともある。歌声は程度の差はあれ話し声の変化したものと考えられる。
[Sundberg,  榊原健一:監訳 p.1、10]