チャールズ・サントリー卿(1834-1908)は、有名な英国人バリトン。
1855年、彼は、シム・リーブスに勧められ歌の勉強のためにミラノでランペルティーに会ったが、彼はガエターノ・ナーバを選び、生涯の友となる。1857年にロンドンにもどり、ハイドンの天地創造を歌った。それを聞いていたガルシアが、レッスンの申し出をし、サントレーは喜んでうけた。
生涯、イギリス諸島、オーストラリアとアメリカ合衆国で歌い、1907年にナイト爵に叙された。
【著作】
The art of singing and vocal declamation. New York: Macmillan Co., 1908. [NYPL]
非常に多くのスペースを回想に捧げられており、これを教育的著作物と呼ぶための技術的な議論とはなっていないが、有益な発言も多くあります。
「マニュエル・ガルシア・ジュニアは、歌唱に於ける科学的教師のパイオニアと言われていが、彼は―歌うことを教えた、外科的処置ではなく!」「わたしは、1858年に彼の生徒となり、生涯の友となった。私たちが交わした全ての会話の中で、声を出すときに使われる喉頭や咽頭や声門、その他の器官等の語について、一度たりとも聞いたことがない… 彼は知っていた ― 歌唱の技巧についての知識を身につける際にそれが優れた目的に奉仕するはずがないということを。」
【提言】
[We sang Better by James Anderson]
Tip 34
サー・チャールズ・サントレーは、英国人歌手として初めてナイトの称号を授与さ れました。
エレガントなバリトン歌手であった彼は、1908年に出版した『歌の技術』の中で、息継ぎについてこのようにアドバイスしています:
話し手や 歌手は、フレーズや文章にそって切れ目なく話したり歌ったりしなければならないというのが、当たり前の考え方である。彼らが学ぶべきは、フレーズの中の都合の良いところで、そのブレイクが分からないように息を吸うことができるようになることである…
呼吸の技術に神秘や 困難はない…
息継ぎの技術は、肩をすくめるなどの目に見えるサインや、耳に聞こえる音を伴ってはならない。
呼吸を管理するために必要なことは、これらのいくつかの注意に注意し、慎重に練習することである。
コメント
同時代の多くの歌手も同じことを言っていました。音楽の長台詞を歌いながら、実は何度も(目立たないように)息を吸っているのです。特にこの「Tip」は、歌い手だけでなく話し手にとっても自然な形で伝えることを肯定しているように思います。たしかに、そうであれば、観客にとって一番納得がいくでしょう。現在の歌唱では、非常に長いフレーズを使いこなそうとするあまり、息が詰まるような音や 退屈で型通りの表現になることがあります。素早く息を吸って、美しい音色と知的な抑揚で続けることができれば、より意味があります。
Tip 37
サー・チャールズ・サントレーは、不自然な呼吸理論についてさらに率直な意見を述べ、これを『歌の技術』(1908年)にまとめました:
呼吸法については、いろいろと面白いことを聞いたが、なかでも『腹式呼吸』が一番滑稽だと思う。私は、腹部のどこに息のための貯蔵室があるのかを見つけようとしたが、無駄だった。息はあるのかもしれないが、呼吸には使えない。