[W. Shakespeare:The Art of Singing]

The Tongue p.21

舌は、ah の位置から、at,et, it そして、ee,に向かって徐々に上がる。
舌の本体(図7のA)は、後部から先端に縦に走るもの、中心に沿って横に走るもの、そして、その厚い部分の中を下向きに走る3組の筋肉から成る。これにより、ほとんどの母音に必要な位置を決め、多くの子音の動きを実行することを可能にする

他の筋肉(B)は舌とあご(C)をつなぎ、他の筋肉は舌の側面(D)から舌骨(E)に向かって走り、これらすべてが口の中の床を形成するのに役立っている。また、舌の本体(F)と口の奥の頭蓋骨(G)をつなぐグループがある。

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舌の「外因性」筋肉と呼ばれるこれらの筋肉が全く役に立たないのか、あるいは舌の本体内の筋肉をどれだけ助けるのかは、判断が難しい。強調しなければならないのは、舌の本体がバランスよく、無意識のうちに自由に行動することである。舌が口の中で静かに伸ばされ、中央に上がったり下がったりしていないとき、結果として豊かな音である「ああ」が得られる。 これには、舌の後ろだけでなく、上にも大きなスペースが必要である。【訳注;ahは舌の後ろのスペースが一番狭い母音である。】at、ay、et、it、eeの母音は、舌が中央に上がります。これらの母音はすべて、ahと同じように、舌の後ろに開いたスペースを必要とし、その純度は、このスペースがいかなる収縮もしないことに依存している。母音oh, aw, ot, er(earlyの), そして、ut(otherの)の発音で、舌体は後ろに引き寄せられ、喉のスペースは各々の形によってわずかに変更される。舌の形状に特徴的な変化が起こることは、上記の各母音を静かに長く発音することによって簡単に確認できる。

舌を堅く後ろに引き寄せるようなあらゆる筋肉の使用は、すべての母音の純度を破壊するだろう。オルガンのパイプが音階を上るにつれて長さや幅が小さくなるように、私たちが歌う音が上がるたびに、自然と無意識に喉が収縮して下降しているかもしれない。声のプレイシングにおいて、舌や喉の自由を妨げるような筋肉を使ってはならない。残念ながら、学生が常に警戒しなければならない強力な筋肉の使用がある。次の実験では、これらの使用の影響は、舌体の堅さに見られるかもしれない。

実験。ウイスパーでcaw,caw,caw,caw,caw,cawとささやきなさい。これは、2つの方法で行われる:第1、静かに、しなやかで無意識の舌によって、次に、喉と舌がゆがめられたように感じる堅い方法で。同様の方法でog、og、og、og、og、ogを繰り返しなさい。1つ目の方法では、上手な歌い方のように、kとgの筋肉の自然な動き(硬いg)を感じることができ、2つ目の方法では、喉の収縮が頻繁にきかれる。(30ページ参照)

もう一度、「er,er,er,er,er,er」(カーネルのように)と二つの方法でささやいてみなさい。静かに行うと、喉が開いた感じになりますが、硬くなるとクリック音が感じられ、嘔吐(病気)のように喉が硬くなる。歌っているときに、このような硬さがあると、後述する前頭の音が出てきます。(31ページ参照)。静かにang,ang,ang,ang,ang,angと囁くと、喉と軟口蓋は無意識のままだが、喉が少しでも硬くなると軟口蓋が影響を受け、不快な鼻音質が発生する。(31ページ参照)

最後に、最初は緩んだ喉で静かにat, at, at, at, at, atと囁く。これを繰り返し、舌と下唇を硬くして下歯を見せれば、「ホワイトボイス」や「シリートーン」と呼ばれる声が出るだろう。(31ページ参照)

学生が音を設定くために採用した誤った方法の中で、筋肉がどのように組み合わされるかを説明したり、飲み込む行為に使われるある種の収縮筋が誤って働かされていないかどうかを問うことは、あまりにも複雑な問題である。しかしながら、舌体を締めつけるあらゆる堅さが、舌を下の方に押すか、または、または別の方法によってか、実際に喉頭を変位させるということは間違いない。

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舌の外因性筋肉(図7を見る【茎状舌筋のことか?】)は非常に近くにあり、配置筋(placing muscles)(図6を見る【茎状舌骨筋のことか?】)と同じ方向に走っている。経験が浅かったり、堅苦しい話し方をしていたり、現在の技術よりも大きな音や大きな音を歌いたいという誘惑があったりすると、生徒は無意識のうちにこの2つの筋肉を硬く結合させてしまいます。その結果、舌体部分を巻き込んでしまい、音や発音だけでなく、チューニング・マッスルの自由度も阻害してしまう。

実験。— あごの下にある口の底の筋肉を指と親指を使って調べながら、lah, leh, lee,と気音で(つまり音にしないで)発音し、それからこれらのシラブルを歌う、 その気音と歌を繰り返す。まず、発音に必要な筋肉を観察し、次に歌うときに発揮される追加の筋肉を観察します。我々が、あらゆる発音の機能障害が体験されるのは、歌唱の瞬間のことであって、気音で発音しているときではない。このように、舌の筋肉が硬くなることは、歌が下手になる原因ではなく、声の出し方が下手になった結果であることは明らかである。学生は、気音で発音する際と同じくらい自由な喉と舌で歌うことを学なければならない。

昔の巨匠たちが示した歌唱の重要な条件、すなわち、首の自由と発音の完璧さに従えば、喉頭を支える筋肉(図6、図7のE~C参照)は、その機能を妨げられることなく自力で発揮し、音色や発音の際に舌の位置を制御する筋肉(図7参照)は、完全に独立して働くことができるだろう。今や邪魔するものがなくなったので、音が配置される。

学生の最大の欠点は、意図した音程の下で音を始めることにあることを、どの師匠も気付いているに違いない、というのは音程より上で音を始めることはほとんどないからだ。その誤りとは、発声器官の状態を自然な状態よりも長く、あるいは太く使おうとしたことであり、言い換えれば、意図した音程で正確にスタートしていればその状態が望ましかったであろう。この間違って配置された音の放出は、生徒がコントロールできる以上の大きな息の圧力が必要になる。この息の暴走を止めるために、彼は4つの典型的な方法のうちの1つで喉を閉じる。舌の本体を上や前に引き上げる筋肉(図7のF、G参照)や、顎を固定して鼻腔を収縮させる筋肉、下唇や顎の周辺を引き下げる筋肉などを使用するのである。ところが、上記のような締め付けの補助なしで、バランスよく無意識に声を出すことが、達成すべき技術である。

舌の後ろのスペースが開いている感覚で歌うことは師匠と生徒の目標であり、それが舌によるあらゆる干渉なしで配置されていることを証明する。間違った筋肉の使用は、ah を aw, か oh, か er のゆがんだものに変えるが、純粋な音では後者は決して生まれない、なぜならば、純粋な音は喉のゆるんだ状態を要求するだろう。

舌の前方の位置はその自由の証拠である、それゆえ例えば ah や、前方の活動を生成することのためのlahのようなエクササイズのすべてで、正しく努力するならば、望み通りの自由を得ることになる。

喉は、決して必要以上に開いてはならない。音を出したときに、歌手は丸いものが邪魔されずに喉に入ってくるような感覚を覚える。ある種の母音では、喉の空間を修正する必要があるが、そのためには舌が自由でなければならない。

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その時、喉の空間、軟口蓋と鼻腔の締めつけ;口腔底、唇、顔面、そして、目の硬直、眉間のしわ、頭と首の全般的な固定などが、歌が下手な人の特徴として挙げられます。口腔底の堅さは、あごの固定された状態をもたらすだけである。つまり、息のコントロールができる範囲を超えて大きく歌うということは、喉を閉じ、顎を固定することになる。音程が変わるたびに、顎や舌、口の中の床が動かざるを得なくなってしまう。

このように、喉、舌、顎の間には3つの悪しき組み合わせがあり、これらが固定されていると、声帯は位置がずれているとしか言いようがありません。

正しく声を配置(placing)することで、この悪のトリプル・コンビネーションは消えるだろう。その代わりに、昔の巨匠たちが教えてくれた顎と舌の独立、そして喉の自由がある。

固定された喉頭では、音の中心にチューニングすることができない。的確なチューニングは、それ故、声が正しく置かれているというしるしである。

喉頭の変位は、1つの音から他の音への移動(痙攣的な移動を除く)が無能力で、ピアノからフォルテへのクレッシェンド、ランやトリルができないなどでも明らかである。

このような困難を一つ一つ乗り越えていくことで、学生は自分の勉強が大きく前進したことに気づくでしょう。どんなフレーズを歌っても、無意識のうちに最初の音が意図した通りの音程で鳴っていることに気づくだろう。

 

2022/01/25 訳:山本隆則