Breathing

口臭のきつい歌手

Breathing

歌唱中に体から出ていくものは2つあります! 1つは、息です。『空気は歌唱中に呼吸器の中を1つの方向に動く。』歌唱中に息は肺から喉を通り過ぎ口または口と鼻から出ていきます。この息の流れはあまりにも当たり前のこととして理解でき、また感じることもできます。それ故にその息の流れにとらわれ過ぎる傾向が生まれます。 もう1つは、音です。『音は体の中を2つの方向に動く。』例えば、両手を打ち合わせて音を立てると、四方八方に伝わり一方向だけに伝わることはありません。歌唱中の場合であれば、音は口または口と鼻から出ていくと同時に、喉頭から下に向かって気管に伝わり胸部を振動させます。 目に見えないとはいえ実体のある塊…

歌唱には呼吸法は存在しない!

Breathing

「声を出しているとき、声帯は開いているでしょうか、それとも閉じているでしょうか、どっちでしょうか?」 これは、私が歌を教えているあるミュージカル劇団で、10年以上にわたり、最初のレッスンのときに生徒さん達に必ずする質問です。生徒さん達は私とのレッスンを受ける前にすでに何年かにわたって声楽のレッスンを受けている人たちです。 この質問の答は、常識的に考えてすぐに回答できるもので、「何を当たり前のことを聞くのか?」と反論されてもおかしくないほどのものですが、驚くべき事はその正解率の低さです。正解率はおよそ30~40%(少し甘く見て!)、つまり70%近い人たちが、即座に「開いて」と確信を持って答えるの…

テトラツィーニを読む

Breathing

テトラツィーニのThe Art of Singing (カルーソーとの共著)に於ける記述の中から選ばれた文章に、山本のコメントや他の著者の記述などを加えて読み解いていく試みです。(基本的に、「カル―ゾとテトラツィーニの歌唱法」川口豊訳、シンフォニア出版によりますが、部分的に翻訳を変えている部分は明記します。) テトラツィーニ(1871-1940)は、数多くのレコード録音を残していますが、歌唱中の映像は、引退後の61才の時に撮られた Luisa Tetrazzini Sings Again With Caruso (1932 Movietone Newsreel Footage : You-Tu…

コラム:それダメ!1.声を出すために大量の息を使ってはダメ!

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もし、発声に対して最も常識的なことは何か?と聞かれたら、迷わずこう答えるでしょう。「出来るだけ少ない息で声を出すこと。」 発声教育の中でも、呼吸法に関しての意見の相違は、他の分野以上に意見の一致がなく、いまだにこれが正しい呼吸法であるというものはありません。それにもかかわらず、この「大量の息を使わないこと」に関しては、わざわざ言う必要も無いほどの常識として認識されています。 音声のもと(喉頭音源)は、声帯の振動によってつくられます。声帯の振動とは、のど仏(喉頭)の中にある襞が、くっついたり離れたりすることで、管楽器では唇がその代わりをします。この襞がくっつく瞬間に息が多いと、息の流れに邪魔され…

©Takanori Yamamoto