スピーチ科学者と言語聴覚士は、Gunner Fant(スウェーデンのスピーチ科学者)に、スピーチ音響効果の理論的な基礎の開発に対して恩恵を受けている。Fantは1940年代と1950年代にその理論に基づく多くの研究を行って、1960年に彼の規範的な書物を、スピーチ生成の音響理論というタイトルで出版した。それに先立って、2人の日本の科学者(ChibaとKajiyama、1941)が声道の音響効果についての同様の数学的な理論を開発した、しかし、この著作は、西洋諸国においては第二次世界大戦のずっと後まで基本的に知られることはなかった。【訳注:この本は、終戦直後にロンドン大学のダニエル・ジョーンズとハーバード大学のロマン・ヤコブソンにGHQ経由で寄贈されている。】Fantは、このテキストの全体を通じてみられる名前(Kenneth Stevens、Osamu Fujimura、Arthur House、James Flanagan)の 科学者達の小さなグループと同様に、1950年代、1960年代と1970年代におけるその理論を発展させ改善させ続けた。実際に、理論的な進展は今日も続く。特に、Flanagan(1972)と、より最近のStevens(1998)のテキストは、FantとChibaとKajiyamaの(Story(2005)参照)オリジナルの著作から、スピーチ音響理論の成果を前面に押し出している。

Gunnar Fant教授は、有名なスピーチ音響学者で、広くスピーチ音響学の父とみなされている。Fantは、1919年にスエ―デンで生まれ、StokholmのRoyal Institute of Technology(KTH)(王立工科大学)の、スピーチ、ヒアリングと音楽学部の名誉教授である。Fantは、マサチューセッツ工科大学でその分野におけるもう1人の巨人Kenneth Stevens教授との研究で1949と1950年を過ごした後、1951年にSpeech Transmission Laboratory・音声コミュニケーション研究所としてこの部門を設立した。長年にわたって、Fantの部門はスピーチ音響学の領域における豊かな価値ある研究を生み出した。そして、KTH Speech Transmssion Laboratory Quarterly Progress Reportと呼ばれている有名な出版物において、その全ては報告された。Fantの1960年の本、Acoustic Theory of Speech Production(スピーチ生成の音響理論)は、言語科学者のバイブルである。[Hixon 2008 p.357]

彼の理論は、身体的にスピーチとは何であるかについて、一般に述べて、母音と子音が特徴的な聴覚の特徴を生じるためにどのように作られるかについて説明する。これは、音声が、声道であるフィルターによってどのようにダイナミックに変えられ生成されるかという開拓者的な量的前進であった。
これらの出版物(特に彼の本)は、たちまちスピーチ処理の分野の標準的な基準になった。
Gunnarの理論は、分析-合成方法(analysis-synthesis methods)によって音声コミュニケーション分野の現在のテクノロジーの多くの基礎をなす。スピーチの説明は、言語の一般的な無所属で、正常とゆがめられたスピーチ両方にあてはり、人間の歌う、そして話す声をカバーしている。

彼の理論は、線形音源‐フィルター・モデルとして現在の音声研究のベースとなっている。

【著作】
1960:Acoustic theory of speech production.
1979:Glottal source and excitation analysis.  Speech Transmission Laboratory – Quarterly Progress and Status Report, 1, 85-107
1982:Preliminaries to the analysis of the human voice source.    Speech Transmission Laboratory – Quarterly Progress and Status Report, 4, 1-27
1986  :  Glottal flow: Models and interactions. Journal of Phonetics, 14, 393-399