[Lilli Lehmann HOW TO SING 1902/1993 p.75]

The Tongue

喉頭の上にある息の流れを共鳴室に導くのが舌の機能であるので、話すときも歌うときも、舌とその位置にいくら注意を払っても払いすぎることはありません。舌が高すぎたり、低すぎたりすると、それは息を締めつけることによって音に深刻な変化をもたらし、喉頭に圧力を加えるや否や、それを締め付けたり、あるいは完全に閉ざしてしまいます。

実行するには、とても繊細で難しい仕事です。舌は、喉頭や喉頭蓋を圧迫しないような位置になければなりません。舌と喉頭は常に協力しながらも、お互いの邪魔にならないようにしなければなりません、そして、一方は他方を邪魔してはならず、一方がこれ以上引き下がることができなくなったとき。 他方は自らそれをしなければなりません。このため、舌の後ろは高く上げられ、喉頭は低くなければなりません。

舌は通常溝を作っています。最も低い音では比較的平らな状態になります、先端は舌の後が自由に上がったり沈んだりできるように常に前歯に接触してそれより下に位置します。強くありながらも繊細に、それはあらゆるアルファベットの文字にフィットしなければならず、その音を形成するのを助けます。あらゆる音の振動に適応するためには、最も敏感でなければならないし、あらゆる音と言葉の変化を、閃光のように素早く正確にサポートしなければならない。 その位置を急激に変えたり、長くとどまり過ぎたりすることなく、最高音域では子音を空気の流れで発音しなければなりません。

舌は、その強さとかたさによって、息に対して最も敏感でなければなりません。 これは、私がしばしば言ったように、喉頭や喉頭自体に少しの圧力もかけてはなりません。圧力は腹部と胸部の筋肉に限定されなければならないし、圧力というよりもストレスと呼ばれるべきです。

障害物がなければ、息の柱はその上端で発散する光線のように、その振動ですべての粘膜を均等に満たし膨張させ共鳴室を通って拡散し頭の空洞に入り込まなければなりません。舌の後ろがそれ以上高く上がることができなければ、喉頭は降ろされなければなりません。これは高音域ではよく起こることで、歌われる母音の中に[u]を混ぜる必要がありますが、これは深くセットされた喉頭が口の前にあると感じられてはならず、鼻の後ろに感じなければなりません。喉頭が非常に低くになければならないとき、舌は自然にあまり高過ぎてはなりません、でなければそれは喉頭の位置に影響を及ぼします。
喉頭、舌の後ろ、口蓋を、常に相互扶助を提供する準備ができている状態に保つためには、習慣化する必要があります。

例えば、私はすべての音節のすぐ後に舌をすごい力でグイと引き上げて、続けて鳴らす(dinging)ときの正常な位置に戻します、つまり、舌の先端を前歯の下に下げて根元を上げます。それはフラッシュと同じくらい速く絶えず続きます。同時に、私の喉頭は、舌が喉頭に干渉することができない、つまり、喉頭を圧迫することができないような位置にあります。

悪い、悪い舌!1つは厚すぎるした、2つ目は、細すぎる舌、3つ目は、長すぎる舌、4つ目は、短すぎる舌。

レディース&ジェントルマン、これらは怠け者の言い訳でしかありません!

【太線強調は、山本による】

 

2020/07/19 訳:山本隆則