[Witherspoon, Singing. 1925  p.90]

Lift of the Breath
呼吸リフト

我々の最後の現象は、より適切な用語がないのでそのように呼ぶ、「呼吸リフト」”lift of the breath”である。
例えば音階の上方向への歌唱のように、ピッチが上がるにつれて、呼吸器官は話し声の音域より高い最初の音で、特別な「リフト」やエネルギーの増加を与えるようである、私の知る限りでは、より高いピッチ(人間の声の「並外れた」或は驚異的な音声)での発声器官の協働作用の維持のために必要とされる、非常に多くの呼吸エネルギーと誇張した発声ポジションを保証するためである。
この活動は、ピッチ、音質、母音と共鳴に関係する。つまり、それは発声器官の活動の進行を前方、上方向へ保証するので、ピッチは完璧に保たれ、倍音は協和的な比率を維持し、頭部共鳴は十分に増加し、音質は損なわれず、その結果、母音は正しく変更される。これは、通常の発声慣用句で、「頭声」の真の始まりで、頭共鳴の実質的な増加を示す。それはいずれの声でも、その音域に見合った音階の位置で観測され、おそらく2声区理論をうみだしたと思われる。私はそれがはっきりした法則に従い、個人によってわずかに異なることを見いだした。この「リフト」は頭部共鳴を保証して、いわゆる「カヴァリング」を無用なものにする。
リリックまたはコロラトゥーラ・ソプラノにおいて、それはCシャープまたはDで生じる。
ドラマティックなソプラノは、BまたはCで。
メッツォ・ソプラノは、AまたはBフラットで。
コントラルトは、Gで。
リリック・テノールは、CシャープまたはDで。
ドラマティックなテノールは、Cで。
バリトンは、Bで。
バッソ・カンタンテは、Aで。
バス・プロフンドは、Gで。
それぞれ個人の声により、それは音階のこれらのポイントで頭部の音色の極めて明白な増加を示す、けれども「声区」のような何かでない。
もちろん、声がその使用と共鳴によって熟達されるにつれて、この「リフト」はより少なくてより知覚できないようになる、しかしそれが完全に消えてしまうことは滅多にない。それは特に注目に値するものであり、さらにまた昔の楽派の理論の1つの証明でもある。これは主に正しい呼吸法によるもので、間違った呼吸法を使う歌手には見られない。これを守ることは、教師が対処しなければならない困難な問題の一つである声の分類に大いに役立つでしょう。

訳:山本隆則