2012年に出版されたJames Anderson の『WE SANG BETTER』は、1800年から1960年の間の歌手たちの歌い方に於ける250のヒント、助言、提言を集めた2巻本です。全体的な量は非常に長いのですが、カテゴリーごとにまとめられ、1ページごとに書かれているので非常に読みやすく構成されています。

この書での様々な歌手達の提言(Tips)は、最新の声に関する科学的な研究成果ではなく、あくまで昔からの教えや、歌手の個人的な経験や、上手く歌うための歌手の感覚に基づいています。

しかしながら、歌唱教育の伝統のない(明治時代に洋楽が日本に入ってから相当な時間が経過していますが)我々にとってはなかなか知ることのできない非常に貴重なヒントが多く含まれています。

 

WE SANG BETTER

Vol. 1 HOW WE SANG

ACKNOWLEDGMENTS
謝辞

『オープン&ナチュラル』–そう、歌という偉大な成果を身につけるための2つのキーワードであり、最近では必ずしも重要視されていないものです。私は当然、現在の『歌唱業界』に多くの人脈を持っていますが、彼らは私のこのプロジェクトを不要だと考えている部分が非常に大きいのです!彼らの反応は、私がこの本を創る上で最も大きな原動力となったかもしれません!

嬉しいことに、広い世界では、それが必要だと信じている人たちに出会うことができました。 – 現在のクラシック歌唱(オペラだけでなく、オラトリオや歌曲、一部の合唱や古楽器も含む)の『皇帝』は、彼の親しい信者が主張するほど多くの『服』を持っていないと考える人たちです。そして、彼らの継続的な励ましに感謝します。

30年以上前、私はある経験をしました。それは、そう遠くない過去にこそ、最も明確で優れた声の知恵があるのではないかということでした。ほぼ同時に、引退した歌手や音楽管理者、音楽教師などの高齢者にばったり会い、『自分の信念を貫くべきだ』と言われました。彼らは皆、その後すぐに亡くなってしまいましたが(私から見れば、あまりにも早すぎます)、私は彼らに感謝しています!

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CONTENTS OF VOLUME 1
目次(第1巻)

PART I: The Singer’s Tips 
パートI:歌手の提言

Preface 序文

1. Let’s get going さぁ、行こう

2.The model モデル

3. A side glance only at breathing 呼吸への流し目

4.Ease 楽さ

5.Attack アタック(起声)

6.Initial quality to go for 目指すべき最初の音質

7.Throat ノド

8.Mouth 口

9.Vowels & Consonants 母音と子音

10.What will ‘work’ mean? 『仕事』とは、何を意味するのか?

11.Develop a beautiful voice 美しい声の開発

12.Practising – guidelines 練習-ガイドライン

13.Registers 声区

14.Practising- with More Awareness Now  練習 – 今より更に意識して

15.Teachers 先生

16.The key elements of old Italian singing 昔のイタリア歌唱の鍵となる要素

17.Your role あなたの役割

18.Tuning and your voiceチューニングと声

19.Practising – the fine details 練習-細部にわたる

20.Repertoire, learning & presenting it レパートリー、学習&発表

21.Inflection 抑揚

22.Performing 演じること

23.Is there a final objective in singing? 歌に最終的な目的はあるのでしょうか?

24.Epilogue エピローグ

CONTENTS OF VOLUME 2
目次(第2巻)

PART II:
ISSUES
課題

Some definite reactions from out singers 
歌い手たちからの確かな手応え

Effort
Pressure 圧力
Force 力
From the chest 胸から
Throat and larynx 喉と喉頭
Chest voice 胸声
Head and headiness 頭声と頭声性
Forward 前に
Breathing  呼吸
Support 支え
Dans le masque マスクの中に
Legarto and diction レガートとディクション(語り)
Breath control 呼吸管理
Covering and closed カバーと閉鎖
Attack 起声
A science of voice-production? 発声の科学
Ideals 理想
Vowel modifications 母音の修正
Register 声区
Playing around with registers  声区で演奏すること
Voix sombree 暗い声
Those tenor high notes  あのテノールたちの高音
Exercises エクササイズ
Criticism   批評
Spontaneity 自発性
Natural tones and carrying power 自然なトーンと運声力
Portament ポルタメント
Varying the volume ボリュームの変化
Vibrancy  振動
Expansiveness and expression 拡張性と表現力
Complicated or simple? 複雑か単純か?

 

PART III:
CYCLES
サイクル

Looking briefly at the history of singing & where we are now 
歌の歴史を簡単に振り返り、現在の状況を知る

Cycles サイクル
Golden ages come and go 黄金期は移りゆく
Why do golden ages not last? なぜ、黄金時代は続かないのか?
Instrumentalists 楽器演
Singers can be more like instrumentalists 歌手は楽器奏者に近い存在になれる
Success in any art-form needs a basic grounding どんな芸術分野でも、成功には基礎的な土台が必要
Where are we now? 今、私たちはどこにいるのか?


PART IV:
SO ARE THERE LESSONS FORM THE PAST WE CAN APPLY NOW?
では、過去の教訓を今に生かすことはできるのでしょうか?

If you tread your path well, yes, there are
自分の道をしっかり踏みしめていれば、そう、あるんです

Concentrate on ability first, then you can tackle any style まずは実力をつけてから、どんなスタイルにも対応できるようにする
Use the past for your benefit 過去を利用して、自分の利益につなげる
Singing is finally up to you, not anyone else 歌うことは、最終的に他の誰に対してもでなく、自分自身によるもの
The twelve differences 12の違い
Some recent and good advice 最近の良いアドバイス
Stick to the ideals and ignore the closed minds! 理想を追い求め、閉ざした心を排除する!
Pure and beautiful sounds; bells, for instance 純粋で美しい音、例えばベル
Example of Battistini バティスティーニの場合
Pure singing on its own それだけで、ピュアな歌声
A science? 科学?
An art
Even something more さらに何か

PART V:
SOME FUN THINGS
いくつかのお楽しみ 

Singer in court  法廷での歌手
Two raconteurs tell of their singing lesson 二人の評論家が語る、歌のレッスン風景
Body parts  体の部位
Waiting in the Green Room グリーンルームでの待機
Rossini sings for Addenbrooke’s Hospital
You don’t need to copy these pictures
The price of the claque at the Grand Opera
A singer rehearses an orchestra
Heroism in performance
The trill